市販のかぜ薬について、使用者の65%が「ウイルスを倒す効果がある」と誤解していることが武田コンシューマーヘルスケア(東京)の調査で分かった。気温の低下でかぜが流行しやすい季節になっており、同社は「正しく服用しないとかぜが長引く可能性がある」(マーケティング部の上西宏一マネジャー)と指摘し、症状に合わせた服用を呼び掛けている。
 調査は昨年12月にインターネットで実施。市販のかぜ薬が細菌やウイルスを倒すかどうか聞いたところ、30%が「すべての薬に当てはまる」、35%が「一部の薬に当てはまる」と回答。正解の「このような薬はない」は35%にとどまった。
 市販薬は喉の痛みや鼻水、発熱などを抑える成分を配合しているが、ウイルスを倒す効果はない。撃退するのはあくまで人体で、薬は「免疫機能を発揮できるように症状を抑えて体力が奪われないようにする」(同)のが主な役割だ。
 医療機関で処方される抗生物質に対しても、誤解が多い。国立国際医療研究センター病院が今年8月に実施した調査では、約半数が「ウイルスをやっつける」と誤解しており、効果がないと正しく認識していた人は2割を切った。
 同病院の具芳明医師は「念のために抗生物質を出しておくという治療法が適切だと長く考えられてきた」と、背景を説明する。近年では抗生物質の乱用で、耐性を持つ菌が生まれる問題も起きているが、処方を求める患者もいるため医療現場はなかなか変わらないという。
 調査では抗生物質の効果について、3割超が分からないと回答した。具医師は「市販薬でも処方される薬でも、どう作用するのか、自分の体に入れるものなので積極的に知ってほしい」として、啓発活動を進めている。 (C)時事通信社