コロナ禍で年齢が低いほどうつ病の可能性が高くなる傾向

2020.10.24

年齢が低いほど、うつ病の可能性が高くなる傾向に

うつ病」は日常的なレベルの疾患でもあり、誰でもなり得る病気だ。

今回、ジャパンイノベーションはコロナ禍における精神疾患スクリーニングツール受検者7,589人のうつ病の可能性の割合を公開した。

その結果、うつ病の可能性がある人(軽度~重度)の割合が受検者の5割を超え、うつ病の可能性がない人の割合を上回る結果になった。

うつ病重症度分類について

軽度

日常生活は何とか支障なく行えており、他人とのコミュニケーションにも生じる障がいはわずかで本人には心身に違和感はあるものの、うつ病という自覚はなく、周囲もあまり気がつかないことが多いレベル。最近の傾向の自覚症状として身体症状(睡眠障害、食欲不振、全身の倦怠感など)のみの場合も多い。意識的な生活改善により、治癒が可能。

中等度

自覚症状としてうつ症状(精神症状)を認め、それが日常生活や他人とのコミュニケーションにも支障をきたし、周囲も「何かおかしいな」と気づき始めるレベル。

重度

自覚症状としてのうつ症状(精神症状)により日常生活や他人とのコミュニケーションが極めて困難な状態であり、周囲も明らかにおかしいと気づく、放置するのはとても危険なレベル。

うつ病の可能性がある人(軽度~重度合計)の割合が52.29%と半分を超えています。コロナ禍以前に、当社が法人向けに実施した際はうつ病の可能性がある人(軽度~重度合計)は20%未満になることが通常であり、この割合は異常に高い。

 また軽度うつ病の可能性がある人の割合が52.29%中40.9%を占める大きな割合になっていますが、重症度分類で説明した通り軽度の場合は意図的な生活環境の改善により治癒が可能ですので、軽度の場合、まず自分なりの発散方法を確立し中等度以上への増悪を防ぐことが大切です。

年代別受検者数

40代が2,536人と最も多い受検者数だった。

受検者数7,589人を年代別に分けると、40代が最も多く次に30代、50代、20代の順になっている。以降の職業別や世帯別の分析に関しては、統計解析上1,000人を超えている20代~50代に絞って分析をしている。

20代~50代の全体・男女別

年齢が低いほど、うつ病の可能性が高くなる傾向となった。

各年代の全体のうつ病の可能性がある人の割合の合計(軽度~重度合計)を比較すると20代が65.2%と最も高く、以降年齢が高くなるにつれうつ病の可能性がある人の割合の合計(軽度~重度合計)は低くなっていく傾向となった。

また各年代の男女を比較すると、どの年代も女性の方が男性よりもうつ病の可能性がある人の割合の合計(軽度~重度合計)が高い数値になったが、30代までは軽度~重度のうつ病の可能性がある人の割合が全てにおいて女性が男性を上回っているのに対し、40代~50代は軽度うつ病の可能性がある人の割合に関しては女性が男性を上回っているが、中等度・重度うつ病の可能性がある人の割合は男性が女性を上回る結果となった。

20代~50代の職業別

20代はどの職業もうつ病の可能性がある人の割合の合計(軽度~重度合計)が20代~50代の全体の割合の平均以上となったが、「無職」に関しては年代に限らず、うつ病の可能性がある人の割合の合計(軽度~重度合計)が平均を10%以上上回る結果になった。

20代~50代を職業別で分けてみると、20代は「会社員」~「無職」まで全ての職業でうつ病の可能性がある人の割合の合計(軽度~重度合計)が20代~50代の全体の平均割合を上回る結果となり、年齢が高くなるにつれて、ほとんどの職業のうつ病の可能性がある人の割合の合計(軽度~重度合計)が低くなる傾向になった。

また心療内科・精神科への受診が望ましい中等度~重度のうつ病の可能性がある人の割合もほとんどの職種において20代が高くなっていることから、コロナ禍においては職業を問わず、若年層ほど危険な状態であることが分かる。

一方で「無職」に関しては20代~50代まで全ての年代で、軽度~重度のうつ病の可能性がある人の割合が平均値を上回る結果になった。 

精神科医・伊藤英樹氏による総括

予期せぬ事態が起きた時、その負担やストレスへの耐性や反発できる力(レジリエンスとも言います)は多くの場合、人生経験が長いほど強くなる傾向にあります。これは人生経験が長い方がそれだけ物事に打たれ強くなる可能性が大きいからです。「こんなこと前にもあったな」や「案外なんとかなるものだ」と思えるのは経験の賜物ですからね。

ましてや今回のように社会そのものがストップしてしまうような緊急事態であれば、40代~50代でも日常よりはるかにうつ病の可能性の割合は高くなっているのですから、若ければ若いほど先行きが不安になったり、自粛による制限に強烈なストレスを感じてメンタル不調に陥りやすくなるのは当然です。

また、人の不安要素の多くには金銭の問題が絡みます。学生でいえばアルバイトができなくなったり、会社員でいえば自分の働いている会社の存続への不安などが影響しているのかもしれません。

構成/ino.

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