新型コロナ、回復者の約17%がウイルスを保持
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から完全回復した患者の17%近くが、ウイルスを保持し続けている可能性のあることが、イタリアで実施された研究から明らかになった。
呼吸器症状、特に喉の痛みや鼻炎が続いている人は、追跡検査で新型コロナウイルス陽性を示す可能性が高いという。
このことは、たとえCOVID-19から回復しても、呼吸器症状を軽視すべきではないことを示唆している。研究の詳細は、「American Journal of Preventive Medicine」9月18日オンライン版に掲載された。
Fondazione Policlinico Universitario Agostino Gemelli IRCCS(イタリア)のFrancesco Landi氏らは、COVID-19から回復して退院した患者のための医療サービスプロジェクトに、2020年4月21日〜5月21日の間に登録された患者131人(平均年齢55.8歳、女性38.9%)を対象に今回の研究を実施。
COVID-19から回復後のRT-PCR検査で再陽性となるケースに関連する潜在的なリスク因子の同定を試みた。
対象者は全員、WHO(世界保健機関)が定める以下の隔離解除基準を満たしていた;1)解熱剤の使用なしで3日間以上発熱がない、2)咳や息切れの軽減など、COVID-19関連の全ての症状が改善、3)発症後7日以上が経過、4)24時間以上の間隔で行われた2回のRT-PCR検査で新型コロナウイルス陰性。
対象者から鼻スワブを採取してRT-PCR検査を行ったところ、22人(16.7%)が新型コロナウイルス陽性を示した。
年齢と性別に関して、陽性者と陰性者との間に有意差は認められなかった。また、対象者の中に発熱者はおらず、全対象者が全般的な症状の改善を報告していた。
倦怠感(51%)、呼吸困難(44%)、咳(17%)などの症状が多くの患者に残っていたが、こうした症状に陽性者と陰性者の間で有意差は認められなかった。
ただし、陽性者では陰性者に比べて、喉の痛み(18%対4%)と鼻炎(27%対2%)が持続している人の割合が有意に高かった。
こうした結果を受けてLandi氏は、「これまで臨床医と研究者は、もっぱらCOVID-19の急性期医療に集中してきた。
だが、患者の退院後も、長期間持続する影響について継続してモニタリングする必要があることが明らかになった」と結論付けている。
そして、「われわれの研究結果は、COVID-19から回復した患者のうち、かなりの割合の人が、回復後も新型コロナウイルスの無症候性キャリアである可能性のあることを示唆するものだ」と強調している。
その上でLandi氏は、「COVID-19パンデミックを封じ込めるために今後解決すべき大きな課題は、体内に残存する新型コロナウイルス断片に感染力があるのかどうかの解明だ。なぜなら、PCR検査が陽性であれば、患者がまだウイルス断片を排出していることを意味する。しかしこの検査では、ウイルス断片やウイルス保有者の感染力までは判定できないからだ」と今後の課題についても言及している。
Landi氏らは、COVID-19の関連症状が続く患者に対して、自分の症状に注意を払い、他者との密接な接触を避け、マスクを着用し、追加の検査を受けることを勧めている。(HealthDay News 2020年10月30日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.ajpmonline.org/article/S0749-3797(20)30393-7/fulltext
構成/DIME編集部
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