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【書籍化】虐待されていた商家の令嬢は聖女の力を手に入れ、無自覚に容赦なく逆襲する【本編完結】 作者:てんてんどんどん
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1章 43話 想い(3)

「お母様!!どうなってるのっ!!」


 声が聞こえた。

 聴きたくなかった声。

 いつも私を虐めていた人の声。


 私がおそるおそる振り向けば――そこにいたのは……従姉のシャーラだった。

 シャーラが何故か変な男の人とそこにいた。



 ……殺さなきゃ!!!!


 怖い怖い怖い!!!


 殺さなきゃ虐められる!!また閉じ込められちゃう!!!

 毎日痛い痛い事されて、寝ることも許して貰えなくて、お腹がすいても何ももらえなくてただ、立たされるの。


 嫌!!嫌!!嫌!!!!


 私は一生懸命聖女の力を使って倒そうとするけれど、シャーラは痛い痛いというけれど、全然死んでくれない。

 そして今度は私を虐めてた叔母さんまででてくる。


 怖い怖い怖い怖い。


 助けて助けて。ファルネ様。シリル。リベル。樹の精霊さん。

 みんなどこ!?どこにいるの!?


 ずっと一緒って約束だよ?

 守ってくれるってシリルが言ってた。


 べしべし力を当てるのに、シャーラも叔母さんも死んでくれない。

 壊しても壊しても元通りになっちゃう。

 なんでなんでなんで!?

 聖女の力には誰も逆らえないってシリルが言ってたよ?

 なのに何で死んでくれないの?


 潰しても潰しても顔も体も足も手も復活しちゃう。


 シャーラもおばさんも私に何か言ってくる。

 でも怖いから口ごと光で貫いた。


 助けて助けてファルネ様!!!


 会いたい会いたい会いたい。


 怖いよ。怖いよ。怖いよ。


 溢れる涙が止まらない。


 どうして誰も助けにきてくれないの?


 記憶をなくさない悪い子だから助けてくれないの?

 リーゼは悪い子なの?

 ファルネ様との思い出をなくしたくないって気持ちは、そんなにいけないことなの?


 リーゼはやっぱり死んだ方がよかったの?



「そんなことはありませんっ!!!」


 私が目をつぶれば声が聞こえた。

 大好きなファルネ様の声。


 声の方を観れば、ファルネ様が立っていた。


 ずっとずっと会いたかったファルネ様。


 ファルネ様。ファルネ様。ファルネ様。

 ごめんなさい。ごめんなさい。

 記憶をなくさなくてごめんなさい。


 私は一生懸命ファルネ様に手を伸ばす。


「大丈夫です。もう心配ありませんから」


 ファルネ様。ファルネ様。

 悪い子だけれど、お願いどうか嫌いにならないで。


「私の方こそすみませんでした。

 貴方の気持ちを何も考えていなかった……」


 言って、ファルネ様が私に向かって歩いてくる。 


 会いたかった会いたかった会いたかった。


 大好き大好き大好き大好き!!!!


 お願い私から記憶を奪わないで。

 ファルネ様を好きなこの気持ちを奪わないで。

 私はとっても幸せだから、人を殺すのもやめるから!


「……はい。貴方に無理強いはもうしません。

 私が……間違っていました……すみません」


 言って泣きながら差し出したファルネ様の手が顔に触れる。

 その途端ファルネ様の身体が光った。


 ぎゅっと抱き寄せられて、私は安堵する。

 よかったファルネ様だ。ファルネ様だ。ファルネ様だ。


 ファルネ様はやっぱり天使なんだ。

 私を包み込んでくれる天使様。


 だって抱っこしてもらうとこんなに安心できるもの。

 怖くない。とっても嬉しい。


 大好きだからもう一人にしないで。

 一緒にいて。


 悪い子ならいい子になる。

 人間が嫌いなのがダメなら頑張って好きになる。

 いい子になるから。

 ファルネ様を大好きな気持ちを私から奪わないで。


 これはママがくれたご褒美。

 頑張った私の証なの。


「はい。もう二度とこのような事はしません。

 約束します。


 ……本当に、本当に」


 ファルネ様が何か言いかけて私をぎゅっとした。

 ファルネ様も泣いているみたいで、何か言おうとしてるのに言葉にならない。


「大好き。大好きファルネ様」


 ちゃんとお口で言えば


「私もリーゼの事が大好きですよ。

 愛してます。好きです。愛おしいです。

 もうずっと一緒ですから。

 これから沢山楽しい記憶を作りましょう。

 綺麗な虹を見て。いろいろな場所を見てまわって。

 動物たちと触れ合って。

 美味しいものをたくさん食べて。

 これから二人で思い出を作りましょう。

 嫌なことなど忘れるくらいに」


 本当?本当?嬉しい!


「ファルネ様も一緒?」


「はい、もちろんです。

 これからはずっと一緒です。もう二度と離しません」


 言ってぎゅっとしてくれる。


 私も大好き。愛してる。

 私の大事な大事なファルネ様。

 もうずーっと一緒。リーゼの事、離さないでね。

 記憶をなくそうとしないでね。

 約束だよ?


「はい。約束します」


 その言葉が嬉しくて私はぎゅーっと抱きついた。

 迎えに来てくれてありがとう。ファルネ様。



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☆悪役令嬢ですが死亡フラグ回避のために聖女になって権力を行使しようと思います☆
☆コミカライズ連載中!☆
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