【独自】困窮者に食品配布会、無情の三角コーンやポール 東京都庁と歩道の境界に「入るな」警告?
2020年11月20日 10時50分
東京都庁の敷地の一部に今月中旬、歩道との境界を示す複数の三角コーンが突然設置された。生活困窮者の支援団体の食品配布の前に設置され、終わると撤去された。食品配布に並ぶ人の列が、敷地に伸びないように警告する意図が浮かぶ。団体側は「新型コロナウイルスの感染拡大で困窮者が増えている。排除と受け止められることはやめてほしい」と反発している。(中村真暁)
◆6年前から月2回、食品配布や生活相談
支援団体「新宿ごはんプラス」(中野区)は約6年前から月2回、都庁北側の歩道で食品配布や生活相談を続けてきた。新型コロナの影響で困窮者が増えた4月以降、認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(新宿区)も加わり、月4回に。最近の1日あたりの利用者数は約160人で、例年の2・5倍に上る。
都がコーンを置いたのは、都庁第1本庁舎と議事堂の間を南北に走る都庁通りの高架下。雨天時、団体は困窮者らに、屋根代わりとなる高架下の都庁敷地に並んでもらっていた。
コロナ禍で利用者が増え、歩道に並ぶと密になるため、天候にかかわらず、敷地に並んでもらうように。しかし、4月ごろから、敷地から出るように都職員が求めるようになった。
◆説明なくコーン20個2列に並べる
食品配布に157人が集まった今月14日、都は団体側に説明もないまま、幅約30メートルの敷地と歩道を隔てるように、コーン約20個を2列に並べ、それを結ぶポールを設置した。敷地に並んだ人はポールを避けて通り、歩道に出て食品を受け取った。コーンは食品配布の後、撤去された。
都総務部の庁内管理担当者は取材に「敷地の範囲が分かるように置いた。排除ではない。活動したい他の団体に不公平に思われるので使用許可を取ってほしい」と説明。ただ都の別の職員によると、敷地を使う場合、一般的には都が活動を主催や共催、後援しなければ許可が出にくいという。
◆「困っている人への支援必要を妨げないで」
列に並んだ野宿生活の男性(39)は「食品配布で助かってきたのに、嫌がらせのようだ」と不快感を募らせる。ごはんプラスの大西連共同代表は「排除のメッセージと受け取ったり、中止と思って帰ったりした人もいただろう」と話す。
次回の食品配布は21日。またコーンが設置されるのか、都の担当者は18日時点で、取材に「検討中」と答えるにとどまった。
団体側は対応を検討しているが、利用者が歩道に並べば密になりやすい。大西さんは「困っている人への支援が必要な状況なので、民間と協力してほしい。せめて活動を妨げないでほしい」と求めている。
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