ここ近年、ミステリー小説は、現代の日本社会が抱える社会問題を背景にした作品が数多く出版されるようになった。そんな中でも弱者に焦点をあてたミステリー作品は心に強い印象を残す。
昨年夏に発売された、「最果ての街」(西村健、角川春樹事務所)は、日雇い労働者の現実を背景にホームレス殺害事件の真相を追うミステリー小説。だが、物語の大半は事件捜査の過程で日雇い労働を余儀なくされた彼らが語る厳しい現実だ。なぜホームレスになってしまったのか? 経済活動を最優先させた結果、そこから外れ底辺へ落ちてしまった人たちが語る日本社会のゆがみ。それこそ著者が描きたかった本当の物語だと気づく。そんな生活の中でも前を向いて生きる人がいること、希望に繫(つな)がるラストに心が救われる。
今後、さらに少子・高齢化が加速する日本。いま、介護の現場では何が起こっているのか? 難解な資料を読むより、「ロスト・ケア」(葉真中顕、光文社文庫)を読めば、ほぼ把握できるのではないだろうか。
体の動かない老人ばかりを巧妙…
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