開発部員D
今回の覚醒編では文明ごとに『〜ソウル』という、
種族とも名前とも違った括りのクリーチャー群がおり、
更にそれらにはそれぞれ固有のキーワード能力が配されています。
これらのデザインについてのお話をぜひお聞かせください。
研究員しゃば
そもそもサイキック・クリーチャーの案を採用する前の
今セットのテーマは「チーム」でした。
白騎士や死神を過去にやっていますが、
別軸でチームを表現しようというのが目的だったのです。
それぞれの個性を出すために各チームにゾーンの設定を行い、
それを生かしたチーム能力をつけました。
各文明ごとのチームが各文明の担当する領域で新能力を得ることが
コンセプトとなっています。
開発部員D
なるほど、それはフレーバーテキストやイラストにも反映されている感じですね。
個人的には、種族でもなく、名前でもない、
新たな「〜・ソウル」というパラメータが用意されているのが新しいな、と感じました。
研究員しゃば
そうですね。
カードのデザインの段階で手を加えられる場所は常に探しています。
コスト・パワー・テキストは普通のことですが、そのほかに新たなパラメータを
使えるのはどこか、新たなゾーンを使えるのはどこか、というように
探して見つけたのがサイキックであったように、ソウルもまた
新たなパラメータを追加したことですので、カードの持つ可能性は
すごく広がったんじゃないかと思います。
開発部員D
大型弾ではどうしてもバニラクリーチャー(特別な能力のないクリーチャー)が
入ってきてしまいますが、これらにもソウルが設定されていることで、
また違った意味があるように感じます。
研究員しゃば
そうですね。
バニラクリーチャーやフレンチバニラのクリーチャーに、
名前に死神を持つとかソウルを持つとか、そういった方向で何かしらの
スパイスを混ぜることが出来れば違った意味合いを出せるのかなと思います。
開発部員D
なるほど。
ではここからは、個別のソウルについてお聞きしたいと思います。
まず、光文明は「ホーリー・ソウル」、
固有のキーワード能力は「ホーリー・フィールド」ですね。
研究員しゃば
H・ソウルはシールドゾーンをテーマとしています。
そのため能力のH・フィールドもシールド枚数依存の能力
H・フィールドは当初は5枚あるときに発動する条件でしたが、
難しすぎたので相手以上で発動というゆるい条件になりました。
その特徴ゆえにシールド追加の能力が多くなっており、自ら殴りに行くか、
シールドを増やすかでH・フィールドの条件を狙えるようにしています。
開発部員D
なるほど、当初よりアグレッシヴな能力設定になっているということですね。
研究員しゃば
そうですね。
デュエマ全体に言えることですが、もっと殴ってほしいんで
なるべく殴るデザインを取り入れています。
開発部員D
確かに、今までの光文明とはまたちょっと違った趣がありますね。
研究員しゃば
光のイメージが少し変わることで、
対戦するときにどのタイプか見極める目が必要になりますね。
開発部員D
光の戦術により幅が増したわけですね。
これからは光文明のビートダウンにも期待出来そうです。
開発部員D
では、次の文明です。
水文明は「マジック・ソウル」、キーワード能力は「連鎖」と、
その強化版である「激流連鎖」ですね。
研究員しゃば
基本は連鎖ですね。
M・ソウルは「デッキ」をテーマとしています。
実は神化編と比べると火と水でゾーンが逆転しています。
開発部員D
なるほど、神化編はデッキ進化と手札進化でしたもんね。
研究員しゃば
そうですね。
今回は《転生プログラム》等をイメージさせる連鎖という能力で
割り当てを変更しました。
連鎖能力自体は《転生プログラム》などの水文明の持つ変身をイメージしています。
デッキの1番上のカードと限定することでランダム性を持たせて程よく仕上げています。
開発部員D
なるほど。
研究員しゃば
開発段階では「連鎖3」のように上から3枚見て的なことも試したのですが、
単純化してほうがいいだろうということで今の形に落ち着きました。
その名残を残しつつ変化させたのが激流連鎖なのですね。
開発部員D
なるほど、当初よりはややバクチ性の高いギミックとして
仕上がったという感じでしょうか。
研究員しゃば
そうですね。
確実性を持たせすぎるのはよくないので、《バルガゲイザー》的な感じにしてみました。
開発部員D
積み込んでも良し、運を試してみても良し、ということですね。
連鎖は、前回のバクチ担当である「デッキ進化」と組み合わせても面白そうです。
研究員しゃば
そうですね。
これからソウル間の連携が出てくるかもしれませんし、
いろいろ試してもらえるとうれしいかなと思います。
開発部員D
なるほど、縦だけじゃなくて横の繋がりもあるわけですね。
実はマーシャル・タッチとの相性もいいですよね。
研究員しゃば
そうですね。
その辺は、どのソウルとどのソウルが組み合わさると強そうだなって
思ってていただけると組み合わせのオモシロさが出てくるかもしれません。
開発部員D
なるほど。
では、次のソウルに行きたいと思います。
次は闇文明の「エヴィル・ソウル」、キーワード能力は「返霊」です。
研究員しゃば
Eソウルは墓地をテーマとしています。
開発部員D
ここは前回と変わらないんですね。
研究員しゃば
そうですね。
闇文明お得意の感じです。
返霊が墓地活用するため、墓地肥やしが多いのも特徴。
これは前回のギミックを後押しする意味も込めていますので、
墓地進化も強化されるんじゃないでしょうか。
開発部員D
確かに、墓地進化は墓地がないと使えないのが弱点だったので
優秀な墓地肥やしが増えるのは嬉しいですね。
研究員しゃば
そして返霊はすべてアタック・トリガーとしてデザインされています。
これはつまるところコストの必要なアタックトリガーであるため、
通常より強くあるべきというバランス感覚で作っています。
開発部員D
なるほど、うまく墓地を肥やせれば通常よりも強力な効果を発揮できる訳ですね。
研究員しゃば
そうですね。
逆に、山札切れを防止できる手段でもあるのでその部分で見ても
新しいギミックではないかと。
開発部員D
山札切れを防止できるとなると、それを利用してライブラリアウトを狙おうという
良からぬ企みが出て来るものですが、返霊がアタックトリガーなのは、
そこを微妙に封じているような気がしました。
研究員しゃば
さっき光で言った殴り合い推奨な部分の意味も込めてですね。
あんまりゲームが動かない状態が続くのは好ましくないので。
開発部員D
なるほど。
では、次のソウルに行きたいと思います。
次は火文明の「カンフー・ソウル」、キーワード能力は「マーシャル・タッチ」です。
研究員しゃば
K・ソウルはバトルゾーンから手札の移動をテーマとしています。
マーシャル・タッチが場のクリーチャーを減らす能力なため、
手札に戻ることをトリガー条件とするカードなども投入しました。
火はマンガやアニメの主人公キャラの占める割合が多いのでソウルとしては
目立たないかもしれませんし、マーシャル・タッチ自体
クリーチャー減っってしまうので実は初心者には使いにくい能力なのかもしれません。
開発部員D
確かに、火文明にしてはややテクニカルな印象を受けます。
研究員しゃば
そうですね。
その分ヒーロー要素のカードを追加している感じです。
マーシャル・タッチはアドバンテージ獲得手段として優秀なので
効果が強力なものがあれば、今後使われていくと思います。
開発部員D
他のソウルよりも、単体で使いやすい感じですね。
研究員しゃば
そうですね。
開発部員D
では、次は自然文明の「ワイルドソウル」。
研究員しゃば
W・ソウルはマナゾーンをテーマとしています。
開発部員D
キーワード能力もズバリ「マナ爆誕」ですね。
研究員しゃば
そうですね。
マナ爆誕はマナを第2の手札と出来る自然が獲得したアドバンテージ手段であり、
そのためマナを増やす能力が多いのも特徴です。
開発部員D
このあたりは、闇文明の墓地利用と同じく
今まで自然文明が得意として来たところですね。
研究員しゃば
そうですね。
ただ、マナ進化のサポートにはなってません。
マナ進化がそのままで強いってのはあるんですけどね。
マナ爆誕は最初期から決まっていた能力で、
本当はカードをさかさまにしたときに今のエキスパンション・コード(PSマーク)の
ある辺りにマナ爆誕用のマナコストを書こうと思ってたんですけど、
いろいろな調整した結果、今のマナコストの所に三角マーク書くことで
マナゾーンに置いたときに分かりやすいように変更しました。
開発部員D
なるほど。
この△マーク、ちょっとカッコいいですよね。
マナ爆誕、既に使ってみたのですが、地味そうに見えて、
実は一番強いかも?と思いました。
研究員しゃば
僕はは一番好きですよ。
使い勝手の良さが半端ないですね。
開発部員D
場に出るだけなんですけど、他のものとの組み合わせでいくらでも夢が広がりますね。
研究員しゃば
そうですね。
《リーフストーム・トラップ》などそれ用にデザインしたカードも多いですし、
今までの母なる系の呪文との相性も相当いいですね。
開発部員D
なるほど。
手軽に進化元を用意できるようになったので、マナ爆誕がいる種族の
進化クリーチャーは相当強化されたのではないかなとも思いました。
研究員しゃば
そうですね。
パグノスケもいることですし、ビッグバンも夢じゃないですね。
開発部員D
《ポン吉》もいますからね。
開発部員D
地味ながら、デュエル・マスターズの常識をまた一つ破壊してくれそうです。
研究員しゃば
これからは今まで以上に相手のマナに気をつけろ、ですね。
開発部員D
では、最後にソウルのまとめ的な話になるのですが、
現時点では、「〜・ソウル」はそれぞれ文明ごとの結びつきが強く、
『単色推奨』的なギミックのように見えます。
ですが、36弾で最も異質とも言えるカード、《アクア・ドッペル》にはまだ見ぬ
「ブラッディ・ソウル」というソウルが用意されています。
研究員しゃば
おお、よくお気づきですね!
開発部員D
いや、だって、完全にツッコミ待ちじゃないですか。
研究員しゃば
はい。
アクア・ドッペルには、プレビューの意味を込めて
「B・ソウル」のマークをつけました。
《アマテラス》が先行してオリジンを持っていたように、B・ソウルも今後登場予定です!
開発部員D
ズバリ、この「B・ソウル」はレインボーカード復活の
予兆ではないかと考えているのですが、そのあたり、どうでしょうか?
研究員しゃば
そこはどうでしょう。
今のところお答えできませんが、レインボーなのか、
はたまた第6の文明なのか胸をドキドキさせて待っていてください。
開発部員D
第6の文明…だと…!
分かりました、首を長くして待っていますw
研究員しゃば
まあ現時点の情報何もない状態だとどの可能性もないとはいえませんからね。
ひとつ確実に言えることは、今後の弾でB・ソウルも現れますよということだけです。
開発部員D
その時を楽しみに待ちたいと思います。
少し話が脇道にそれるのですが、先ほどの《アマテラス》といい、
《アクア・ドッペル》といい最近のセットは少し先の能力を
先取りしたかのようなカードがいくつか収録されているように思います。
研究員しゃば
そうですね。
プレビューは少しずつ入れていこうと思っています。
開発部員D
実は、戦国編の《ヴィルジニア》も神化編を先取りしたようなカードでしたよね。
研究員しゃば
そうですね。
われわれがテストする段階ではほぼ1年先のセットまで開発してますので、
開発のほぼ終わったセットにその後発売になるセットと関係のあるカードを
仕込ませておくということをすることがあります。
開発部員D
なるほど。
研究員しゃば
「お!このカード」って気づいてもらえたらうれしいなと思って。
開発部員D
それらに注目しておけば、最新のエキスパンションの謎が解けるかもしれない、
ということですね。
研究員しゃば
かもしれません。
逆に既に作ってるカードのポテンシャルを引き出せるように
次のセットを作ることもありますしね。
やっぱりひとつのセットだけでなく前後の弾で遊んでいる場合が多いと思うので、
すでに持ってるカードを育ててあげられるようにしたいとは思ってます。
開発部員D
なるほど、それこそまさにTCGの醍醐味という訳ですね。
研究員しゃば
そうですね。
開発部員D
実は今弾には「裏テーマ」と呼ぶべきものがあるのではないかと思っています。
それは、各色にある「1コスト呪文」のサイクルです。
研究員しゃば
よくお気づきですね!
1コスト呪文はリードデザイナーのお気に入りで作った遊びサイクルなんです。
まあそれを僕らデザイナーも面白がってせっかくなので各文明に用意しました。
イラストで遊んでみましたがけっこう面白くなったんじゃないかな。
開発部員D
今までの1コストクリーチャーが描かれていますね。
研究員しゃば
そうですね。
本当はフレーバーテキストもこれらのクリーチャーに
しゃべらせたかったんだけど、そこまでは行かなかったですね。
開発部員D
なるほど。
これだけなら単純に「1コスト呪文のサイクルがある」というだけで終わりなんですが、
今回、光文明に何枚か『1コスト呪文』を参照するカードが登場しています。
開発部員D
ええ。
ここから考えると、今後も1コスト呪文を参照するカードが
こっそり増えていくのではないかな、と思ってるんですが…
研究員しゃば
そこら辺は今後のお楽しみですね。
今のところ内緒です。
開発部員D
なるほど。
1コストの呪文を参照するカード群は結構面白そうなので、
個人的には結構期待しています。
研究員しゃば
将来的に1コストデッキが出来ても面白いかもしれませんね。
開発部員D
今弾には、新たに「XX」の名を冠する一連のクリーチャーも登場していますね。
公式にも「NEXを継ぐもの」と大々的に紹介されていますが、
「XX」は今後どのような展開を見せていくのでしょうか?
研究員しゃば
XXは新たに登場した火文明のヒーロードラゴンです。
XXは裏テーマというより、マンガやアニメにおける
メインテーマといってもいいでしょう。
これからはNEXにかわってXXが相棒となります。
映画に登場する主役もXXですからね!
開発部員D
夏の映画ですね!
研究員しゃば
そうです。
ちなみにカリスマでおなじみのZはXXのライバルという設定なので
今後チェックしてください!
映画の敵役の名前も《殲滅の覚醒者ディアボロスZ》なので、
こっそりZがついてますよ!!
開発部員D
おお、となると「Z」がつくシリーズも今後強化される可能性がある、ということですね。
研究員しゃば
大いに期待してもらっていいと思います。
開発部員D
個人的に、デーモン・コマンドに「ゼータ」がついているのは異質だと思っていたのですが、それを聞いてちょっと納得しましたw
研究員しゃば
そうですね、今までの命名ルールからすると
最後にアルファベットが付くのは進化サイバー・コマンドなどなので
かなり異質ですよね。
開発部員D
ええ、ですが、XXのライバルシリーズとなれば期待大です。
研究員しゃば
XXとZの物語がどうなっていくかも背景ストーリーの観点で
楽しんでいただけたらと思います。
あと、一応XXにも《ルピア》のような相棒がいまして、
「アイニー」と名の付くクリーチャーはXXのサポートをしていくことになります。
開発部員D
今弾では《チャイ・アイニー》が登場していますね。
研究員しゃば
そうですね。
ドラゴン全体へのサポートもさることながら、
XX限定の能力を持ってることにも注目です。
開発部員D
映画のほうにも《レッピ・アイニー》というクリーチャーが
登場することが既にアナウンスされていますので、
今後は「アイニー」にも注目していく必要がありそうです。
開発部員D
では、今回はここまで!
次回は覚醒編カードをピックアップしてその裏側に迫ってみようと思います。
次回もお楽しみに!!