- メイン州で行われた結婚式が、「スーパースプレッダー」イベントとして、今も研究対象になっている。
- この結婚式に関連して、177人が新型コロナウイルスに感染し、7人が死亡することになった。
- 最新の報告書によると、参加者は、マスクを着用して社会的距離を取るようにという施設側の要請を無視していたという。
- 結婚式の出席者の5人がCOVID-19に陽性反応を示した後、症例は周辺地域にまで大きく広がった。
メーン州の結婚式がスーパースプレッダーイベントに変貌した事件を数カ月にわたって調査した結果、メイン州疾病予防管理センター(CDC)は、このイベントが177件のCOVID-19感染につながったと判断した。
11月13日に発表された報告書によると、メイン州の田舎にあるホテル、ビッグ・ムース・イン(Big Moose Inn)で8月7日に行われた結婚披露宴には、コロナウイルス感染症、COVID-19の陽性反応が出た出席者が5人いた。
州CDCの職員は5人の症例の調査を開始した後、結婚式に直接関係した30の感染例と周辺地域での27例を発見した。
当局はその後もこの結婚式に関連した症例を探し続け、合計177症例、7人の死者、および3人の入院患者を見つけ出した。この事例による感染は、結婚式の会場から200マイル離れた矯正施設と100マイル離れた介護施設にまで広がっていた。
イベントの際、ビッグ・ムーズ・インにはゲストにマスクを着用するように指示する掲示がなされていた。CDCの報告書によると「ゲストはこの要請に従わず、6フィート(1.8m)離れることもなかった。また、スタッフにはこれらは要求されていなかった」という。スタッフは自主的にマスクを着用していた。
メイン州CDCの広報担当、ロバート・ロング(Robert Long)は、結婚式関連の症例発生以前は、メイン州で感染したことがわかっていた場所は事業所と生活支援施設だけだったとCBSに語った。
結婚式はホットスポットになっている
アメリカの他の州でも、結婚式でコロナウイルスのアウトブレイクが発生している。
2020年7月には、サンフランシスコのカップルが教会で秘密裏に行おうとしていた100人規模のイベントを市の職員が中止させた後、カップルとゲストの8人が陽性反応を示した。
「これは、公衆衛生当局が大勢で集まらないように人々を説得する理由を示すのにうってつけの事例だ」と、カリフォルニア大学バークレー校の感染症専門家であるジョン・シュワルツバーグ(John Swartzberg)はサンフランシスコ・クロニクルに語った。
その同じ月に、世界保健機関(WHO)は、レストラン、バー、礼拝所、結婚式場などの閉鎖された空間で歌ったり、話したり、叫んだりすると、COVID-19が広がる可能性があると警告した。
以前の研究では、感染した人から放出されたウイルスはすぐに地面に落ち、6フィート(1.8m)以上離れた別の人に感染する可能性が低いことが示唆されていた。しかし現在、研究者たちは、人の話す声の大きさなどに関係なく、ウイルスは室内では違った形で広がる可能性があるかもしれないと考えている。室内で感染者が空気中を浮遊するエアロゾルを放出した場合、これらは換気が不十分な室内では飛沫よりも長い間空気中にとどまる。
「アウトブレイクの発生では、感染者と混雑して換気が不十分な場所で長期間過ごすことによるエアロゾル感染の可能性を排除することはできない。現在、研究が進められている」とWHOは述べている。
ニューヨーク州、ペンシルベニア州、カンザス州での結婚式も、コロナウイルスの感染に関連していると見られている。
ヒューストンのウェディングプランナー、サラ・ベット(Sarah Bett)は、ニューヨーク・タイムズに対し、特に会場によってルールがまちまちなので、すべてのゲストにコロナウイルスの安全基準を守ってもらうことはほぼ不可能だと語っている。
「会場によっては花嫁にもマスクを着用させるところもあれば、バージンロードを歩く人は免除されるところもある」と彼女は語った。
「ここは無法地帯だ」
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)