大内裕和中京大教が科学研究助成費助成(科研費)をつかった研究の一貫として発表した「奨学金」に関する著作多数に、本ブログ筆者(三宅)が過去に発表した雑誌記事の一部と酷似する記述があるなど「盗用」が疑われる問題について、29日、文科省の委託により科研費事業の事務を担う独立行政法人日本学術振興会に対して告発を行った。以下内容を転載する。
★独立行政法人 日本学術振興会監査・研究公正室 研究公正係
https://www.jsps.go.jp/j-kousei/madoguchi.html
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日本学術振興会御中 2020年9月29日
前略
私はジャーナリストの三宅勝久と申します。科研費の助成を受けた大内裕和中京大学教授による研究「1950年代における地域文化活動の実証的研究-民衆の自己教育運動の史資料発掘」(22330222)に関して、不正が疑われる事案が発覚しましたので通報いたします。しかるべき調査・対応をとられるようお願いいたします。
早々
記
●告発内容
大内氏は「研究成果」として次の各刊行物を報告している。
1 大内裕和、岩重佳治ほか、『日本の奨学金はこれでいいのか!ー奨学金という名の貧困ビジネス』(あけび書房、 2013 年) 11−60頁
2 大内裕和「現在の奨学金制度:何が問題なのか」
『ヒューマンライツ』318 巻(2014年) 2−9頁
3 大内裕和「子どもの貧困 : 奨学金問題の視点から」
『貧困研究』12 巻(2014年) 38−44頁
4 大内裕和「奨学金返済の重荷と雇用劣化が中間層解体と人口減を深刻化する」
『Journalism』294 号(2014年) 52-59頁
5 「大内裕和、奨学金制度はこれでいいのか」
『人間と教育』81号(2014年) 96−103頁
6 大内裕和、ブラックバイト・全身就活・貧困ビジネスとしての奨学金、
『現代思想』41巻17号(2013年) 112−118頁
以上6編の記事・著述のなかに、他者の著作物の盗用、データの盗用・改竄がみられる。
「1」は単行本『日本の奨学金はこれでいいのか!』(2013年10月あけび書房刊、大内、三宅ら複数の著者による共著)の1章部分であるが、24頁16行目〜25頁6行目の記述は雑誌『選択』2012年4月号掲載記事「奨学金『取り立て』ビジネスの残酷」(三宅勝久執筆、著作権は三宅に所属)の101頁3段目13行目〜4段目4行目の記述と表現・内容ともにきわめて似ている。著作・データの盗用にあたる。債権回収会社の回収額に関するデータは、三宅が『選択』記事を書く際に取材を通じて得た情報であり、三宅自身の著作物を除いて一般に公表されていない。
2〜6の各雑誌記事についても、『日本の奨学金はこれでいいのか!』と同じ箇所において、『選択』記事と酷似した記述がそれぞれ認められる。
またこれらの雑誌記事のなかに、債権回収会社への日本学生支援機構の手数料支払額として「約1億400万円」との記載があり、盗用データの改竄が疑われる。三宅の取材に対する日本学生支援機構の回答は「1億400万円」であり、『選択』の記事に三宅は回答どおりの数字を記載した。ところが、大内氏はこれを根拠なく概数にしたとみられる。
大内氏の上記行為は、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」及び「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」に照らして明らかに問題がある。研究助成を行った貴法人においてしかるべき調査および所属研究機関に対して調査指示をなされるよう求める。
資料
・『選択』2012年4月号記事(三宅執筆)
https://www.sentaku.co.jp/articles/view/11610
・『日本の奨学金はこれでいいのか!』抜粋(大内氏執筆部分)
・『ヒューマンライツ』318 巻抜粋
・『貧困研究』12 巻抜粋
・『Journalism』2014年11月号抜粋
・『人間と教育』81号抜粋
・『現代思想』41巻17号抜粋
以上
三宅勝久