ねがい
基地のない沖縄、そして日本を

「沖縄に基地があること。沖縄の中に基地があること。
仕方がないとあきらめていないか」
4月25日米普天間飛行場の県内移設に
反対する県民大会に参加した
17歳の高校生の言葉です。

私たちは半世紀以上もの間、沖縄県民に想像を超える
苦痛と犠牲を強いてきました。
アメリカの海兵隊は、本当に必要なのでしょうか。
暮らしと安全を守るのに、
米軍基地や軍隊が必要なのでしょうか。
軍事基地は、海にも陸にもいらない!
平和な沖縄を!
それは、日本に生きる私たちみんなの問題です。

これは、沖縄緊急意見広告運動が、
2010年5月15-16日に朝日新聞、琉球新報、沖縄タイムスに
掲載した全面意見広告の一部です。
私たちは、3・11震災の中で、災害救助を口実に
米軍基地が固定化されることを危惧しています。
この「ねがい」の心で、国内紙への沖縄意見広告運動を継続しています。
沖縄と東北を結び、苦しみも希望も共にする
本当の平和への扉を開く一歩をここからはじめましょう。

沖縄の痛みを、全ての人びとの痛みとして、みんなで受けとめよう!
「普天間即時閉鎖、辺野古(海・陸)やめろ、海兵隊いらない」緊急意見広告
わたしたちの発意
(沖縄・緊急意見広告への「呼びかけ」趣意書として、第一期当時に発したものです)

わたしたちは、ここに、緊急の沖縄・意見広告を、普天間米軍基地問題をめぐる鳩山政権の動きに深い危機感と憤りをもって、発起しました。

昨年の衆議院選挙や本年の名護市長選挙の結果、沖縄県議会の全会一致「県外・国外移設」決議、県知事をはじめ県下41市町村長の政治姿勢の一本化、更に3月8日の名護市議会の「シュワブ陸上案反対」決議をもって、沖縄県民の「普天間閉鎖・返還、辺野古新基地建設断念」「県内移設反対」の総意は示されました。
わたしたちは、自公政権からの政権交代を選択し、新政権に大きな期待を託してきました。とりわけ、鳩山首相の「県内移設」ではない「県外・国外」への強い意思表明に、沖縄の願いの実現に向かって大きな扉が開かれたと希望を抱いてきました。
ところが、鳩山政府の内部から、「辺野古シュワブ陸上案」など、沖縄県民の民意に逆らう露骨な政治的動きが強まっています。鳩山首相は3月末には政府案を決定すると断言しています。わたしたちは、このまま行けば日米政府の「5月決着」の内容が、沖縄の民意を踏みにじり、普天間米軍基地の「県内移設」という最悪の≪基地のたらい回し≫に集約されるのではと危機感を募らせています。

民主主義社会にあって、政権が替われば政策に変更が生ずるのは当たり前です。それにもかかわらず、アメリカ政府は鳩山新政権に対し、普天間は辺野古が最善だ、旧自民党政権との間での日米「合意」を守れ、辺野古がなければ普天間返還はないと、まるで占領者意識丸出しに圧力を掛け続けています。
これは、世界の良識からみても、常軌を逸しております。
沖縄の人々の人権も、アメリカの人々の人権も、日本本土の人々の人権も全く同じ人権です。人権に上下なく等しく扱われるのが人権宣言や憲法の精神です。いつまでも沖縄の人々の平和に生きる権利を無視し、「基地」が存在することからくる恐怖や苦しみを押し付け続けていいのでしょうか。
この問題は沖縄だけの問題でなく、日本に暮らすすべての人びとがその苦しみ・痛みをみんなで受けとめ、真剣に考え、解決していくべき問題です。
普天間即時閉鎖・返還へ、まわりはじめた歴史の歯車を逆に戻してはならないのです。わたしたちは、今こそ、声を挙げていく時です。

1、普天間米軍基地の即時閉鎖・返還を求め、「県内移設」に反対します。
住宅密集地の中にあり、米政府自らも認める世界一危険な普天間米軍基地は、1945年、日本の敗戦直前の6月に米軍が本土を攻撃するために建設されたものです。戦後65年もの間、村の役場、田畑や学校のあった暮らしと命を育む土地を強制的に取り上げ、飛行場を造り、使い続け、爆音被害と死の恐怖を与え続けてきたのは、米軍なのです。奪われたものに奪った生活の場を返すのに、返す代わりに代わりの基地をよこせ、というのは「盗人猛々しい」というものです。
鳩山政権は、「移設先探し」ではなく、まず、普天間基地の即時閉鎖と返還を米政府と真剣に交渉すべきです。

2、辺野古新基地建設計画(海・陸上)の断念を求めます。
辺野古新基地建設計画に沖縄県民が反対している理由を、日米両政府と本土に暮らす全ての人びとも知るべきです。
辺野古の海はジュゴンのすむ豊かなサンゴの海、命を育む海です。旧政権時代の「日米合意」案は、この美しい海を10トントラック525万台の土砂、海砂で埋めるという計画です。今、急浮上している「シュワブ陸上案」は、普天間基地の危険を移し、名護市の大自然を破壊し、基地建設による赤土の流出で生物多様性に富む辺野古の海域を「死の海」へと追いやり、全ての生き物を死滅させ、住民の命と暮らしを破壊するものです。
米本国では、そのような自然環境の破壊や海洋汚染、生態系の破壊につながる計画は米政府自身が認めておりません。なぜ、自国で認められない無理難題を、米政府は日本政府に、沖縄県に、名護市民に対し押し付けてくるのでしょうか。
米政府の「日米合意」実施要求の裏には、普天間にはない軍港建設計画があり、弾薬庫があり、オスプレーの配備計画があるのです。日本政府の膨大な国家予算で、米軍の使用する基地のため、陸を削り、海を埋めて、二十一世紀型の最新鋭の巨大基地を夢見ているのです。政府予算は国民の血税であり、主権者たるわたしたちは黙ってそれを認めていいのでしょうか。
鳩山政権はすでに破綻している辺野古新基地建設計画を白紙に戻すべく、米政府と交渉すべきです。

3、もう、安保はやめましょう。
東アジアの一員として平和に生きるために、みんなで海兵隊の存在、日米安保条約を見直し、軍事力によらない平和を構想しましょう。

鳩山新政権は、その公約で「緊密で対等な日米関係」を築くと明言しました。戦後の日米関係は、米ソ冷戦構造を前提にして作られた「日米安全保障条約」の下に、アメリカに日本を軍事的のみならず経済的にも縛りつけ追従させてきた同盟関係です。同時に、沖縄に当初は外から、後に(沖縄返還によって)内からこの安保体制を支える役割を強制してきました。つまり、安保による日米関係は、この対米追従と構造的な沖縄差別の上に成立しています。これは、憲法前文と九条でしめしている「平和国家」のあり方として、「平和的に生存する権利」、人権などの原理と相反するものです。
考えてもみてください。他国に「殴りこみ、人を殺すための陸上部隊」である海兵隊は、本当に必要なのでしょうか。わたしたちの安全を守るに、米軍基地や軍隊が必要なのでしょうか。わたしたちは、いらないと考えます。
安保改定50年。時代は、冷戦思考から脱却し、平和と連帯の東アジア・世界の創造を求めています。普天間基地だけでなく全ての基地の縮小・撤去を目指していくべきです。わたしたちは、地位協定をはじめ日米軍事同盟の根本的見直しを求め、軍事力にたよらない平和の構想を創造し、安保に代わる「日米平和友好条約」の締結に向けた、対話と交渉を始めることを求めます。

わたしたちは、日本全体の0.7%の面積しかない沖縄に米軍基地の75%を押し付けてきたことを深く反省し、岩国・厚木・佐世保・横須賀など本土各地の基地に苦しむ人びとの痛みも沖縄の人びとと同様であると考え、「移設先」探しでなく「米軍基地はアメリカに持って帰れ」と声を挙げようではありませんか。
沖縄の人びとの闘いと本土に住む人びとの闘いを結び、世界で平和を求め、軍事基地はいらないと考え行動する人びとの闘いにつなげたいと考えます。沖縄の闘いは、日本を変える闘いだけでなく、世界の人びとの闘いの希望なのです。
基地ありき、安保ありきのこれまでの「常識」を見直し、これら問題を真剣に考え、公論を起こす時です。そこから、沖縄とともに苦しみも希望も共にする本当の平和への扉を開く一歩が始まると思いませんか。今、そのチャンスです。

このような思いから、わたしたちは緊急意見広告を発起しました。
「沖縄の痛みを全国民の痛み」としてみんなで受けとめ、緊急意見広告でわたしたちの意思を表明しましょう。事は急ぎます。力をあわせましょう。
2010年3月7日     沖縄・緊急意見広告運動

発起人(アイウエオ順)
安次富浩(名護・ヘリ基地反対協議会共同代表)
上原成信 (沖縄・一坪反戦地主)
尾形 憲(法政大学名誉教授)
大野和興(脱WTO・FTA草の根キャンペーン事務局長、日刊ベリタ代表)
武 建一(連帯労組生コン支部委員長、中小企業組合総合研究所代表)
山内徳信(参議院議員)
本山美彦(京都大学名誉教授、「変革のアソシエ」共同代表)

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