クラスター多発 感染の連鎖を断ちたい

2020年11月19日 07時21分
 新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらない。ここでなんとしても拡大を抑えたい。特にクラスター(感染者集団)の発生が増えている。科学的知見を生かし、できる対策に取り組みたい。
 北海道は感染拡大を受け札幌市内での不要不急の外出や、市内外の往来の自粛要請を決めた。今の感染拡大はペースが速く、中高年層にも広がっているのが特徴だ。
 注意を要するのはクラスターの多発である。医療機関や高齢者施設での発生が目立つ。患者や高齢者は重症化リスクが高い。医療機関での発生は医療スタッフの確保にも支障がでかねない。
 入院患者、入所者、医療スタッフへの検査を徹底し、施設内へのウイルスの侵入を阻止したい。
 クラスターは多くの地域でも発生している。この感染症はクラスターを介して広がりやすいことが分かってきた。密閉・密集・密接の三密の回避が重要で、政府の感染症対策分科会は感染リスクが高まる「五つの場面」を具体的に示し注意を呼びかけている。
 (1)大きな声で会話しがちで注意力が低下する飲酒を伴う懇親会(2)大人数や長時間の飲食(3)昼カラオケや車移動の車中などマスクなしでの近距離での会話(4)寮生活など狭い空間での共同生活(5)職場の休憩室や喫煙室、更衣室など気が緩んで会話が発生しやすい場所への居場所の切り替わり−である。
 ここから職場や家庭などに感染を広げており、このクラスターの連鎖を今のうちに断ち切りたい。
 こうした対策に利用できる科学的知見は社会が共有できるよう政府は積極的に情報発信すべきだ。
 コロナ禍が長引き、ここにきて日常に戻りたいとの意識が高まっているだろう。これから年末にかけては飲食の機会が増える時期であり、どんな対策を取れば効果があるのか個々人で再確認したい。飲食店も業種別に定めた感染防止のガイドラインの順守を徹底してほしい。
 感染した人が他人に感染させてしまう可能性のある期間は、発症二日前から発症後七〜十日間程度だといわれる。
 尾崎治夫・東京都医師会長は最初の懇親会から十日間空ければ、次の懇親会での感染リスクを下げられると提案している。体調に不安があれば参加しない判断も含めて周囲への気遣いは大切である。
 さらに感染が広がれば社会経済活動の制限も求められる。そうならないためにも、もう一段、拡大防止に努めたい。

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