先日、取材先に事前に原稿は見せてはいけないというジャーナリズムの原則をつぶやいたところ、多くの批判が寄せられました。これは私の主張ではなく、世界のジャーナリズの普遍的な考え方です。そこでジャーナリズムの考え方をQA方式で回答していきたいと思います。(1/9)
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会話
返信先: さん
Q取材先に事前に原稿を見せていないって本当?
A本当です。例えばロイターのジャーナリズム・ハンドブックには「ニュースを配信する前に、記事、草稿、写真イメージを取材先に送ったり、見せたりしてはならない。このような行為はロイターの独立性を揺るがす」と書かれています。(2/9)
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Qそれは一部の報道機関だけじゃないの?
Aどの社にも似たような規定があります。なお、これについては畑仲哲雄(2018)『ジャーナリズムの道徳的ジレンマ』勁草書房の「第3章 取材先との約束」の「CASE010 記事の事前チェックを求められたら」にも論点が紹介されているので参考にしてください。(3/9)
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Qなぜ事前に原稿を見せてくれないの?
A日本新聞協会は倫理綱領で「新聞は公正な言論のために独立を確保する。あらゆる勢力からの干渉を排除するとともに、利用されないよう自戒しなければならない」と指摘しています。事前に見せれば「干渉」される恐れが出てきます。(4/9)
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Qそんな大袈裟な話ではなく、コメント部分を確認させて欲しいと言っているだけなのですが。
A言った言わないで論争になっているケースをたまに見かけますが、どちらが正しいかは録音を聞けばすぐに分かります。したがってコメントに関しては、記事全体を見せるよりもハードルが低くなっています。(5/9)
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Qストーリーありきで取材され、そこに趣旨とは違うコメントを嵌め込まれた。
A仮説を立て、それに向けてピース(事実)を集めるということ自体は悪いことではありません。問題はそれに引きずられて事実を見る目が曇ってしまうことです。ストーリーに合うようにピースを加工するなんて論外です。(6/9)
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Q最近の記者は勉強不足。記事が正確かどうかを確認するためにも事前チェックしたい。
A事実関係の確認は、当然しなければいけません。ですから誤りがあればその時、指摘するのがいいと思います。ただ、解釈にまで口を挟むと「編集権の独立」や「検閲」の問題に発展します。(7/9)
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Q事実関係は正しくても、おかしな記事が少なくない。
A事実だけで構成された記事でも、自分にとって都合の良い事実を選んで記事を書けば、それは「主張」になります。このあたりは原寿雄(1997)『ジャーナリズムの思想』岩波新書 にも書かれているので参考にしてください。(8/9)
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Q独立性は必要?
A以前、ステルスマーケティングが問題になりました。仮に記事の内容は事実でも、裏でつながっていることが明らかになれば客観性が疑われます。報道機関としての信用に関わってきます。誤解を招く行動はやはり避けるべきです。(9/9)
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Q:どうして批判が来るの?
A:科学分野、技術分野などで取材したのにも関わらず適当な間違いを書く記者やマスコミがいるから
Q:どうしてチェックしたいの?
A:間違った情報を流布されては困る。取材者の名前が出ると、取材者の名誉や信用に関わるから
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返信先: さん
オレもタマに事前に見せてくださいって言われることあるけど、「良いですよ、でも直してほしいって言われても直しませんから(キリッ)」って言うとだいたい大人しくなるので、オススメ。
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返信先: さん
現実問題として、取材前に取材対象に対する事前勉強を全くせず、当日取材対象に「事前にちょっとでも調べていれば分かること」から質問を開始して相手に呆れられる事案が後を絶たないことについて、当方は「もはやジャーナリズムなどというものは本邦に存在しない」と考えていますが、先生は如何に。
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