白石隼也の映画コラム

『ブラック・スワン』~白石隼也・映画コラム~

2011/04/01


BUTAKOME
(c) 2010 Twentieth Century Fox

はじめまして。白石隼也と申します。

以前から念願だった映画コラムを書かせてもらうことになりました。
役者、そして20歳の男子(の思考を持ち得ているかは疑問ですが)という二つの目線から色々な面白い映画を紹介していけたらいいなと思っています。
まぁ一口に映画と言っても様々なジャンル、目的のものがありますが、このコラムでは大作系も単館上映系の作品も関係なしに僕が皆さんにオススメしたいと思った作品だけを厳選していくつもりですのでよろしくお願いします。

まず、コラムを書き始める前に一つお話ししておきたいのですが、映画を観て皆さんがどんな感想を抱くのも自由です!
仮に僕がオススメした作品でも、ある人からしてみれば、つまらないものかもしれない…。

何が言いたいのかと言うと、皆さん自身が素直に感じたり思ったことを大切にして欲しいなと。
人間なんだから好きものも苦手なものも誰にでもあって、好きなものは好き、苦手なものは苦手でいいと思うんです。だから僕のコラムを読んで「こんな見方もあるのか」って思って貰えたらそれでいいです。というか皆さんにそう思って貰えるようなコラムに出来るよう精進しますのでよろしくお願いします。

記念すべき第一回目に紹介する作品は、昨年、数々の映画賞を受賞した
『ブラックスワン』

BUTAKOME
(c) 2010 Twentieth Century Fox

もともと僕自身がナタリー・ポートマンの大ファンで、第一回目で紹介するのはこれしかないなとずっと睨んでいた作品でようやく試写会に行かせてもらったんだけど、やっぱり間違いありませんでした。

瞬きするのを忘れて目がショボショボになるほど、気付けば作品の世界観に引き込まれてました。試写室を後にして数時間はナタリーの顔とチャイコフスキーの曲が。

物語は、純真な白鳥と邪悪な黒鳥の二役を演じる「白鳥の湖」のプリマに抜擢された主人公のニナが、王子様を誘惑する自分にはない黒鳥のエキゾチックな魅力を表現することに苦労し、周囲からのプレッシャーにさらされ幻想を見るようになる程追い込まれていく様が描かれています。
これは僕も役者を始めてから凄く感じたんだけど、自分自身に無いものを芝居だけで表現するのって非常に難しい作業なんですよ。
いくら表面を飾ったって内面はそんなすぐに変わらないですからね。僕なんかでもいつもぶち当たるテーマなので、演者だったら誰もが一度は苦労したことがあるであろうこのテーマにニナも挑みます。

とまぁ、これだけだったらよくありがちな話だけど、この映画の面白いところは
白と黒、現実と幻想の描き方

BUTAKOME

BUTAKOME
(c) 2010 Twentieth Century Fox

心理スリラーと言うだけあって、まるでニナと共にお化け屋敷に入ったような臨場感というか緊迫感に終始包まれているんだけど、映像、音楽、作品構成、などなど何処を見ても本当に洗練されていて、最初から最後まで描き方に全くブレる所がないんですよ。

数時間経っても映画の世界観から離れられなかったのはまさにそのせいだと思う。ここまで一貫して長い長いお化け屋敷を監督はどうやって作ったんだろうと思いプレスリリースを見返してみると、それもそのはず。撮影監督や音楽、衣装デザインなどのスタッフ陣がダーレン・アロノフスキー監督の常連ばかりなんですね。要は、これまでチームで積み上げてきたものがあったからこそ今回の『ブラックスワン』が完成したわけです。
日本の監督で例えるなら、『嫌われ松子の一生』や『告白』の中島哲也監督の作品をイメージしてもらえるとそれに近いかもしれない。美しいアーティスティックな映像の中にもがっしりした確固たるものが詰まっている、そんな風に感じました。

そのアロノフスキー監督の世界観にプラスして、ニナを演じるナタリー・ポートマンの演技、そしてバレエ。本当に素晴しいです。幼い頃にバレエを習っていて基礎があったとは言え、役作りの為に撮影前の10ヶ月間、連日5時間に及ぶハードトレーニングをこなしていたそうです。
技術的なことももちろんだけど、プロのダンサーかと思うほどの表現力も凄かったです。特にバレエって正解の形がちゃんと決まっているものだから小手先だけで誤魔化せるものではないと思うんですよ。その中でのあの演技。感服します。

そんな様々な職人達がそれぞれの業を結集して作り上げた最高級の芸術品のような作品でした。
映画館に行くというより美術館に行くようなイメージで観て貰えたらきっとより楽しんでもらえるんじゃないかなぁ。

特に女性にオススメしたいです。僕は女性じゃないんでハッキリとは言えないんだけど、コミュニティ内の複雑な人間関係や嫉妬など、きっと女性だからこそ共感出来るシーンが沢山あると思います。

それでは是非、映画館で!

追記

実は僕の出演映画
『GANTZ PERFECT ANSWER』も4月23日(土)に公開になります。『GANTZ』のパート2ですね。
アクション、VFX、舞台セット、確実に今までの日本映画ではありえなかった規模になっています。
パート1を観てくれた方は分かると思いますが、パート2はこれまでの「GANTZ」ワールドだけでなく人間模様やラブストーリーがより描かれているので、女性にもより楽しめる作品になっていると思います。
是非ともこちらの方もよろしくお願いします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

BUTAKOME

『ブラック・スワン』
5月13日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

※公式HPはコチラから

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

BUTAKOME
白石隼也
俳優
神奈川県出身。1990年8月3日生まれ。
2007年「第20回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で準グランプリを受賞し、芸能界デビュー。4月23日公開「GANTZ」に出演。夏には映画「スノーフレーク」が公開される。4月からは「ヒルナンデス!」(日テレ系)金曜サブMC担当として出演。趣味・特技 : サッカー、スノボー、サーフィン、フットサル
※公式ブログはコチラから

※画像およびテキストの転載を禁止します。

バックナンバー