ネットで投票についての新たな疑惑についてのファクトチェックです。詳しくAP通信社が調査しましたのでご紹介します。
(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)
《引用記事 AP通信 2020/11/14》
【主張】 米軍がスペインの選挙ソフト会社 「Scytl」 のフランクフルト事務所を家宅捜査したところ、11月3日の米大統領選で不正投票が行われた形跡のあるサーバーを押収したという記事について。
APの評価: 虚偽
陸軍もScytlもAP通信に対し、この主張は真実ではないと語った。さらに、Scytlはドイツのフランクフルトにはオフィスもサーバーも持っていないとのこと。
ファアクト
土曜日、保守派のウェブサイトが公開したレポートを、ソーシャルメディアのユーザーがシェア。それによると、米国の選挙で不正行為を暴露するサーバーが、ドイツの米軍によって没収されたと主張。
大部分の投稿をみると、サーバーはバルセロナに本拠を置くソフトウェア会社Scytlのものであるとし、いくつかの投稿は、サーバーがドミニオン投票システムからの情報を格納しているという意見もあった。
この虚偽の主張は、今週テキサス州選出の共和党議ルイー・ゴーマート氏がZOOM電話での主張に続くもので、「米陸軍」がソフトウェア会社Scytlのフランクフルト事務所からサーバーを押収したと示唆する発言をした。
SNS上で広く共有された発言の中で、ゴーマート氏は家宅捜査の疑いに関する情報は「ドイツ語のツイート」からのみもたらされたことを認め、「私は真実を知らない」と述べた。
AP通信がゴーマート氏の広報担当者にコンタクトしたが、返答は得られなかった。
ゴーマート氏は、録画された発言の中で、Scytlが、共和党の票が11月3日の選挙で民主党に変更されたことを証明するために、 「収集した」 データを保持していると「元諜報機関」から聞いたと述べた。
しかし同社によると、Scytlは投票を集計していないという。また、選挙で共和党の票が民主党の票に変わったという確かな証拠もない。
トランプ陣営の元顧問で、特別検察官のロバート・ムラー氏の調査で有罪を認めたジョージ・パパドプロス氏は金曜日の午後、「速報:ルイー・ゴーマート下院議員が、米陸軍がドイツの自治領のサーバーを押収したと述べた。」とツイートした。

AP通信が、陸軍がドイツでサーバーを押収する作戦に従事したかどうかを尋ねると。陸軍スポークスマンは土曜日に「その主張は虚偽です」と回答した。
Scytlもまた、この主張に反論した。偽の陰謀がインターネット上に広がる中、同社は金曜日に「米国の選挙に関する事実調査:フェイクニュースを暴露」というタイトルの声明を発表した。
Scyttlは声明の中で、「フランクフルトにはサーバーもオフィスもない。」とし、「米軍はバルセロナやフランクフルトその他の場所でScyttlから何も押収していない。」と述べた。また、Scytlは「米国で投票を収集したり、集計、または数えることは行わない」とも述べている。
Scytlの米国部門の社長兼ゼネラルマネージャーであるジョナサン・ブリル氏はAP通信に対し、「米国の顧客に販売されているScytlの製品は、Amazon Web Servicesを利用して完全に米国内で提供されており、ドイツで提供されたことは一度もない。」と語った。
同社は11月3日の米大統領選で、市、郡、州のクライアントに、選挙スタッフを訓練するためのインターフェース、有権者を教育するためのオンラインツール、有権者が不在者投票を要求するためのオンラインプラットフォーム、地方選挙管理委員会が集計したリアルタイムの選挙結果を表示するオンラインプラットフォームなど、四つの選挙関連製品を提供した。
両社の声明によると、Scytlとドミニオンは互いに関係がないという。
ドミニオンの広報担当者は電子メールで、ドイツのサーバーにデータを保存しているか、またそれらのサーバーを押収するための米国の軍事行動を知っているかどうかを尋ねられ、「この主張は全く真実ではありません」と答えた。
この主張は、ドミニオン社の投票機がトランプ氏の票を削除した、あるいはすり替えたりしたという根拠のない説を含む、選挙後ドミニオン社の投票システムについて流布されてきた一連の虚偽の情報の中でも最新のものである。
2020年の選挙では、広範囲にわたる不正行為があったという証拠はない。実際、両政党の選挙関係者は選挙がうまくいったと公に述べており、国際監視団は重大な不正はなかったことを確認している。