『鬼滅の刃』は、主人公側(鬼殺隊)は人間であり、敵の「鬼」は異世界の存在である。
理不尽な敵を、人間によって倒す物語である。
少年少女にとって大きな癒やしになる物語に、大人も巻き込まれていった。
現実世界での理不尽さが顕現し、その世界を生きるために大人も「異世界を必死で生き抜く物語」を必要としているのかもしれない。
それには異能者同士の対決ではなく、生身の人間が、異形の存在と戦う『鬼滅の刃』あたりがちょうどよかったのだろう。同じジャンプ作品でも『呪術廻戦』や『チェンソーマン』や『アンデッドアンラック』ではちょっと異能が強すぎる。
ひごろアニメを見ない大人までもが大挙して映画『鬼滅の刃』を見るというのは「理不尽な世界を生きる物語」を大人たちも欲しているからではないか。
いまの日本はそういうふうに見える。