『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』は公開直後の混雑を避け、しばらくたってから見た。
平日の昼でもそこそこ入ってる劇場で見ながら、ちょっと不思議な感覚にとらわれていった。
話題の大ヒット作品だが、見てるときは、その感覚からは遠かった。
なんというか、ひとりで深夜アニメを見てるときのような感覚で見られた。
深い時間のアニメをひとり見てるときは、そんなに多くの人が同時に見ているとは感じれれず(SNSは見ないから)、ときにひとり自分の中に沈降していくような気分になっていく。
映画館で、そういう感覚に落ちていったのだ。
ときどき映画館でアニメ作品を見ると、そういう気分になる。『メイドインアビス』とか『ソードアート・オンライン』とか『甲鉄城のカバネリ』とか『傷物語』とか『まどマギ』とか、現実とはちょっと違う世界に入っているとき、浮遊する感覚と沈降する感覚に同時に襲われ、不安定ながら、でもそれはそんなに嫌な感じではなく、ただただいろんな感情を静かに受け入れるばかりで、まるで水の上に浮かんでぼんやりしているような、そんなゆるい感覚にはいっていく。それをおもいだした。
鬼滅もまた、アニメ好きに向けたマニアックな映像だな、とあらためておもったのだ。
もちろん終盤にかけて物語は力強く展開する。その強さが多くの人を巻き込んでいるのだろう。
たしかにかなり説明が丁寧であり、物語展開そのものも親切な作りになっている。
でも芯にあるのは、「世からすこしはぐれたアニメファンが喜ぶものを作りたい」ではないかと、そういうふうに(一瞬だけだけど)感じてしまったのだ。