ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
ナザリック地下大墳墓 第六階層〈ログハウス〉──ここはアウラとマーレが住んでいる建物です。
「……うーん。うーん?」
分厚い本を前にしたマーレが何やら難しい顔をしています。
「マーレ? トイレなら我慢しない方が良いよ?」
「……ち、違うよ。お姉ちゃん。ちょっとこの本の話に納得出来ないんだよ……」
「──ちょおっと待った! あたしは無理! そういうの無理だから。そうだ。デミウルゴスなら詳しいんじゃないかな?」
アウラは慌てて言いました。マーレはニッコリすると
「わかったよ。お姉ちゃん。デミウルゴスさんに聞いてくるね」
マーレはデミウルゴスのいる第七階層に向かいました。
※ ※ ※
「これはこれはようこそ。マーレに…………ありんすちゃん」
マーレが後ろを振り向くといつのまにかありんすちゃんがついて来ていました。
「……えっと、あのですね……」
マーレはモジモジしながら尋ねました。
本に書かれていた話──ドラゴンの歯を地面にまくとやがてガイコツの剣士が生えてくる──を話すとマーレは……
「……あの、僕はおかしいと思うんです。なんでドラゴンの歯から、あの、ガイコツなのかな? って」
マーレは目を輝かせながら言った。
「やっぱり、ドラゴンの歯を埋めたらドラゴンが生えてくるんじゃないかって、あの……思うんです」
「……ドラゴン埋めたらドラゴン、はえてくるますでありんちゅか……?……」
ありんすちゃんは話についてゆけていないみたいですね。
デミウルゴスは楽しそうに笑いました。
「うん。そうだね。マーレ。……その答えなら実際に試してみてはどうだろう? 幸いにもこの階層にドラゴンの死体が保管されているから、歯などを第六階層に埋めてみたら良い」
マーレはパアッと顔を明るくします。
「デミウルゴスさん、ありがとうございます。あの、早速試してみます!」
マーレは嬉しそうに駆けていきました。ありんすちゃんも後を追いかけていきます。
「ドラゴン、ドラゴン、たくちゃん、はえる、ドラゴン、たくさん!」
※ ※ ※
第六階層に戻ってきたマーレは一区画の畑を用意すると耕し、ドラゴンの歯を埋めました。
「……こりでドラゴンいぱーい生えるでありんちゅね。ありんちゅちゃもやりたいでありんちゅ」
ありんすちゃんがスコップで山を作ります。
「ありんすちゃん、そんなに山にしたら、あの、なかなか芽が出せないですよ」
「……こり位でありんちゅ」
二人は仲良くドラゴンの歯や目玉、ウロコ等を埋めていきます。
「……ちょうだ。マーレ。いいもの持ってくりゅでありんちゅ!」
ありんすちゃんはなにやら思いついたようで、泥だらけのまま駆け出していってしまいました。
※ ※ ※
「ふーん。で、第六階層にドラゴンの歯を埋めてみたんだ?」
アウラがマーレに尋ねます。マーレは『実験中』と書かれた札が立てられた区画にジョウロで水を撒いています。
「……ドラゴンの歯以外もいろいろ埋まっているみたいだけど?」
「え? ……うん。ありんすちゃんがね……」
実験中の畑には小さな立て札がいくつもあって、それぞれには『もんぶらんのけき』『いちごだいふく』『ちよこれと』等と書かれていました。
「……ありんすちゃんは埋めたらたくさん生えてくるって、あの……思ったみたいで……」
なるほど。ありんすちゃんはモンブランケーキ等を増やそうと考えて畑に埋めたのですね。うーん……
「…………で、あれなんだけどさぁ?」
アウラがジト目をしながら畑の一ヶ所を指差しました。
「…………あそこにありんすちゃんが埋まっているんだけど?」
アウラが指差した場所には顔だけを地面から出したありんすちゃんが鼻唄を歌っていました。
「ありんちゅちゃ、いぱーい、ありんちゅちゃ、たくしゃん、ありんちゅちゃ、ふえる♪」
仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子に過ぎないのですから。