はじめに
人工知能の権威と言われ『シンギュラリティ(技術的特異点)』論を唱えるレイ・カーツワイル氏の予想では、2020年代にはVRと現実を見分けることが出来ないくらいにVR技術は進歩を遂げ、その後、2030年頃には人々はVR世界へ脳にナノマシン(ナノボット)を入れることでHMD(ヘッドマウントディスプレイ)等を使用しなくてもVR空間を生成して没入(フルダイブ)出来るようになるとされている。
この予想には私自身かなり心を打たれ、フルダイブ時代の到来に心が躍ったことは記憶に新しいです。しかし、実際のといころこのVRの完全体であり、現在の30代以下の多くの若者が夢見るフルダイブと言う超技術はそんなに簡単に十数年で完成出来るのでしょうか!?
今回はこの『フルダイブ技術の困難性』について考察して行こうと思います。
目次
動画バージョンあります↓↓
フルダイブとは
近年話題のVR(バーチャルリアリティー:仮想現実)の究極完全体と言ってよいものです。現状のVRは視覚・聴覚の一部を利用してまるで現実のような世界を生み出していますが、あなたもご存じのようにこれはかなり精度が低く部分的な仮想現実に過ぎません。しかし、このフルダイブ技術では『視覚』『聴覚』『触覚』『味覚』『嗅覚』五感全てが仮想世界とリンクされることにより、仮想世界でキャラクターなどのアバターに自分自身が憑依したかのように動かせる技術なのです。
フルダイブ技術に必要な条件
それでは仮想世界でアバターを自由自在で安全に動かせる。フルダイブ技術を完成させて楽しむのに必要な条件は何なのでしょうか。
・脳波を検知する技術
仮想世界のアバターに自分の脳から体をどのように動かすかなどの情報を送信したり、逆に仮想世界からの情報をフィードバック出来るようにするために機械と脳をリンクして情報を送受信できる技術が必須になります。
・フィルタリング技術と調整
仮想世界での五感を現実と共有出来るだけでは、フルダイブを楽しむのには不十分です。仮想世界の情報が完全にフィードバックされると現実の体に悪影響を及ぼす可能性があるからです。例えば仮想世界で大ケガをした場合にその痛みが完全にフィードバックされると嫌ですよね。そのため、フルダイブ技術にはこれらの負の情報をフィルターにかけて調整する機能が絶対的に必要になります。また、これを行わないと仮想世界でアバターを動かそうとしたときに現実の体も一緒に動いてしまいます。
・脳の完全な分析
脳はブラックボックスと言われており、五感に関する分析も技術の進歩によりかなり研究・分析が進んでいますが、今でもまだ完全に解き明かされた訳ではありません。五感を完全に再現するために脳の完全に近い分析が必須条件の一つと考えられます。
フルダイブと言えばナーヴギア↓↓
技術的問題点
上記の述べた条件を満たせる技術が現時点で存在するのかが、フルダイブ技術を完成出来るかどうかのカギになります。それでは順に考察して行きましょう。
・脳と機械のリンク
BMI
脳と機械をリンクさせる技術で言えばBMI(ブレインマシンインターフェイス)もしくはBCI(ブレインコンピュータインターフェイス)という技術が有名です。この技術は急激に進歩を遂げている分野ですが、現時点ではフルダイブを可能とするレベルには程遠い段階で、アバターを自由に動かせるようにするためにはまだ時間が必要です。勿論、フィルタリングなんてまだまだ不可能と考えてよいでしょう。
ナノマシン
冒頭で述べたレイ・カーツワイル氏が唱えるナノマシンで脳と機械をリンクさせる方法はどうでしょうか。これを可能にするには2つ条件があります。
- ナノマシンを大量に且つ安全に体内に入れること
- 電気信号を体外に送受信出来ること
この条件をクリアする必要がありますが、機械的なナノマシンを体内に入れると人間の免疫機能により攻撃されるため危険とされており、現状ナノマシンは機械ではなく実はウイルスのような有機的なもので作る事を目指して研究・開発が進んでいます。そのため、体外への電気信号の送受信を可能にするのは難しいと思われます。
(勿論、全てがウイルス的なものではなく機械的なナノマシンの研究も進んではいるがこちらは難点が多いのが現状
・脳全体の解析
脳全体を完全に分析・解析をすることはかなり難しいとされています。脳の神経細胞は脳全体で約1000億個とも言われており、この神経細胞が無数のシナプスにより繋がっています。この複雑過ぎる人間の脳をコンピュータでシュミレートしようとした場合、現在、最高峰のスパコンでも単純に行うことは不可能(近年、開発された特殊アルゴリズムを用いれば可能)とされているくらいなので、完全な分析・解析となれば更に不可能に近いと思われます。
倫理的問題点
このフルダイブには実は技術的問題点以外にも大きすぎる壁が有ります。それは倫理的問題です。
- 神聖な領域とされる脳をいじる
- 個人情報漏洩
- 人格破綻
- 精神崩壊
- 仮想世界へ依存
少し考えただけでもいくらでも倫理的問題が思い浮かびます。特にBMIやナノマシンなど、どのような形になるかは分かりませんが、フルダイブには脳をいじる必要性が有ると考えられます。そのため、倫理にうるさい日本では恐らく導入は不可能に近いかもしれません。導入出来たとしても先進国ではかなり最後の方になるでしょう。
フルダイブは可能である!!
ここまで、フルダイブ技術の困難性について説明してきましたが、個人的にはフルダイブ技術は20年以内には完成すると考えています。何故ならテクノロジーの進化は指数関数的に進歩するからです。例えば、脳と機械のリンクについては侵襲式BMI技術(脳と機械を直接接続するBMI)が進歩すれば可能ですし、脳解析もスパコンでは難しくても最近話題になり始めた量子コンピュータなら脳シュミレートや解析・分析も容易になると想像出来るからです。
しかし、一番の問題である倫理的問題については正直難しいと言うのが率直な意見です。ただ、今後SAO世代の方々が政治家等になる可能性は有りますので、そうなれば意識のパラダイムシフトにより倫理的問題も解消するかもしれません。
まとめ
レイ・カーツワイル氏の説では2030年頃に現実すると言われるフルダイブ技術は、HMDなどの端末が無くても仮想現実を形成してアバターなどを操作し、楽しめる夢の近未来技術である。しかし、脳と機械のリンク・フィルタリング・脳解析などの技術的問題と倫理的問題など多くの問題が存在して完成は難しいと言われいる。だが、現在の技術進歩は凄まじくこれらの問題すら凌駕して人類にフルダイブをもたらす可能性が十分に考えられる。しかし、倫理的問題については新世代の方々による意識のパラダイムシフトを待つしか解決方法はない。
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