演劇・ミュージカル

井上芳雄インタビュー☆『エリザベート』~期待が高まる“井上トート”像とは…!?~

2015/04/11


 

エリザベート 井上芳雄3

期待が高まる“井上トート”像とは…

——少しずつトートに向けて始めていることはありますか?

「死ってなんだろう、死神ってなんだろう」と考え始めています。僕が大切にしている本で、アウシュビッツを経験した人が書いた『夜と霧』という本の中の“死も生きることの一部だ。死ぬことも含めて生きることなんだ”という言葉が好きなんです。生きることと死ぬことは別々って考えちゃうんだけど、つながりの中にあるわけだし。なんか、ものすごく生き生きとした死ができればいいなと(笑)。逆説的だけど、ものすごく生命力にあふれた死、みたいなのができたらおもしろいんじゃないかなと思っています。それは、死は生きることの一部というか、最後のゴールが“死”なわけで、それにふさわしいトートであればいいかなと思っています。

——多くの人が、井上さんのトートはどんなトートになるのか楽しみにしていると思います。この記事を読んだみなさんが、いろいろ想像を膨らませて開演を心待ちにしてもらうといいですね

(笑)。でも未知数なところが自分でも楽しみなんです。もちろん役作りの過程では大変なことはいっぱいあると思います。今までやってきた役と違うところが多いですし。先日、リーヴァイさんにお会いして、「実は今度トートをやるんです」って話したときに、まず、おめでとう!って言われて、そのあと、「彼はとっても攻撃的、挑戦的な人だから」って言われたんですよ。そこで、なかなかそういう役って、演じたことがなかったなって。でも、それが自分の中にないかっていうと、どちらかというとSかなって(笑)いうところはあると思うので、そういうのは出していいんだったら、ちょっと楽しみかなというか(笑)。自分では攻撃的になれたら楽しいなと(笑)。

——攻撃的な井上さん! 見てみたいですね! ほかには何か考えていることはありますか?

良くも悪くも現代ミュージカルの古典というか、日本を代表するミュージカルになってきているので、お客さんもここのシーンのこれを楽しみにしてきているっていうのがあると思うんですよね。“きたきたきた!”というような。それってすごいことではあるんですけれど、今回はそれを崩したり、外したりしてもいいかもしれない。基本的に物語を伝えるのは僕らなので、生きた心の動きで演じて、その上で華やかだったり、怪しげだったり、寂しげだったり、さまざまな要素を見せられればいいな、と個人的には思っています。

 

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