がんで余命3か月の彼から突然プロポーズ、私が出した答えは
筆跡アナリストで心理カウンセラーの関由佳です。これまでシリーズを通して、夫婦としてのがんと脳梗塞の闘病生活について触れてきましたが、実は私たちが正式に夫婦となったのは、夫が亡くなる3か月前でした。
【夫の死に備えてしたこと】⇒もう夫のがんは治らない…絶望の底で知った、死に寄り添うということ
それまでの約5年間は、事実婚の状態。住民票を「未届けの妻」とし、世帯をともにしていました。
正式に籍を入れていなかった理由はいくつかありますが、最も大きかったのは私の家族に入籍を反対されていたからでした。
夫と私は23歳の年の差があり、しかも夫には複数の婚姻歴と5人の子どもの存在が。ごくごく一般的に考えて、反対されても仕方ない状況だったのは夫も自覚しており、さらに私自身もバツイチで、結婚制度自体にもうこだわりがなかったため「とりあえず事実婚でいい」と思っていたのです。
ただ、夫が病気になってから、病院や役所などで名字が違うことにより発生するいろいろな手続きを、面倒に思ったこともありました。でも家族を説得するパワーの方がはるかに厳しいように思え、結局入籍まで進める気になりませんでした。
が、しかし。夫が最後に迎えた誕生日のちょうど1週間前、突然プロポーズを受けたのです……!
夜、私はリビングで仕事をし、その後ろで夫はテレビを観ていました。その日は些細な言い合いをして、夫とはちょっぴり気まずい雰囲気。私はそのイライラを払拭するように、仕事に没頭していました。
するとテレビを観ていた夫が突然「来週の誕生日さ、市役所に行かない?」と言ってきたのです。実際は失語症のため、少しおぼつかない言葉だったのと、そもそも何の脈絡もない発言だったので、私は仕事の手を止めて「え?」と聞き返しました。すると夫はもう一度「今度の、私の誕生日に、婚姻届を、出しに行かない?」と、ゆっくり、でもはっきりと言ったのです。
突然のプロポーズに混乱した私は、「は!? なんで? 今さら!?」と思わず絶叫。しかし夫は大真面目に「書類、間に合う?」と聞いてきます。何度か問いかけ、本気だと理解して改めて驚愕。とはいえ、私の家族の問題もあるため、すぐに返答ができませんでした。