2019年度卒業 総代メッセージ【2020年度入学記念号】
先進理工学部総代・中村 和也(なかむら・かずや)さん
将来のキャリアを考え、実用的分野に進む
私にとっての大学生活は、勉強と研究に力を注いだ4年間でした。物理学科では、先生から課される数多くの課題をこなさなければなりません。一人では解決できないような難しい課題もたくさんありました。そんな中、頼りになったのは友人の存在でした。互いに協力しながら課題を乗り越え、仲を深め合った日々が思い出に残っています。
入学当初は、宇宙物理や物性物理、生物物理といったさまざまな研究分野の基礎となる物理学や数学を学びました。その頃は自分の興味関心のある分野を研究したいと思っていました。しかし、就職など将来を考え始めるようになると、より実用的な分野を学ぶことが自分や社会の今後に生きるのではないかと思うように。4年次には「社会に役立つ研究を行う」ことがモットーの応用物理学科で、情報系の森島繁生教授の研究室に入りました。
情報系というと例えば、CGや機械学習に関連する研究分野を指します。研究室では、主に機械学習を用いた画像処理にまつわる研究を行っていました。この分野の研究は進展が早く、どんどん情報がアップデートされるため、探求の余地がなくならず、興味も尽きません。
先進理工学部物理学科を首席で卒業し、早稲田物理会賞(並木賞)も受賞した
瞳に映り込んだ風景から自宅を特定された事件
卒業論文では、高画質の写真に写り込んだ指紋情報を自動で除去する手法をテーマに研究を行いました。数カ月前、あるアイドルの方が写真の瞳に映り込んだ風景から個人情報である自宅を特定されてしまった事件を知ったことが、研究のきっかけです。執筆後は学会での発表も経験し、技術の実現まであと一歩というところです。4月から大学院先進理工学研究科へ進学します。今後の研究内容は未定ですが、引き続き機械学習に関わる知識を深めながら、人の役に立てるような研究成果を残していきたいです。
学びたいこと、とことん追求して
総代に選ばれたと知ったときは、思いがけず驚きました。研究室で仲間と一緒にいるときに先生から告げられ、みんなに祝ってもらえたことも忘れられません。希望する研究室に入れるよう、日頃から真面目に授業に取り組み、成績を維持できていたことが評価されたのではないかと思っています。
研究室配属直後に行われた森島研究室の冬合宿に参加した中村さん(手前)
最後に、新入生の皆さん、入学おめでとうございます。高校までの勉強のゴールは大学受験だったという方も多いと思います。しかし、大学で行う研究には明確な答えやゴールがありません。だからこそ、まずは自分が本当に学びたいことを見つけてほしいと思います。学びたいことが見つかったら、ぜひその分野をとことん追究していってください。
取材・文:萩原あとり
撮影:中村透