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加藤和樹の韓国ミュージカル初観劇体験記③『エリザベート』チョン・ドンソクさんトートの新解釈とは?!

2015/09/10


 

ドンソクさんと加藤さん
加藤和樹さんとトート役のチョン・ドンソクさん

 

加藤和樹さんが韓国ミュージカル初観劇した作品は『エリザベート』
韓国版は2012年が初演。翌年、早くも再演し、今年2015年で3度目の上演となります。

加藤さんは、韓国に到着した日に、同作品を観劇。日本版との演出の違いやチョン・ドンソクさんのトートの新解釈を知り、ドンソクさんに直撃インタビューしたいことがわんさか溢れる状況に。

ドンソクさんは、『エリザベート』韓国版初演でルドルフ役、翌年の再演で25歳にして早くもトート役に。今年、トート役に再び挑んだ彼は、前回演じた時とは違う解釈、今までの韓国のトート像からすると画期的な解釈で観客の心をつかんでいました。

日本で2015年度版・新生『エリザベート』を観劇している加藤さん、ドンソクさんにどんな質問を投げかけるのでしょうか?!
日韓のミュージカル界のホープ、同世代のお二人の対談、はじまります!
エンディングのキスの意味は「さよなら」(ドンソク)
トートの頬をつたう一筋の涙が印象的(加藤)

加藤和樹(K) :昨日は『エリザベート』を観劇させていただき、ありがとうございました!今日はドンソクさんにいろいろお話を伺いたいと思っています。よろしくお願いします。

チョン・ドンソク(D):僕も加藤さんの舞台を日本で観てから、この対談ができたらもっと良かったのになぁ(笑)

K:ありがとうございます(笑)。来年4月にミュージカル『1789』に出演しますので、ぜひ見に来てください!
早速ですが、韓国ミュージカルで一番大事にされているのは何でしょうか?

D:僕が考えるには、これが一番重要だ、ということではなくて…ミュージカルをするにあたって、歌の力があることはベース(基本)にあって、その上に芝居をつくっていると思います。

K:(ドンソクさんは)学生時代、声楽を勉強してこられて「歌の基礎」ができている中で、芝居の基礎はどのように勉強したのですか?

D:ミュージカルの舞台に立つようになってから芝居のレッスンを受けましたが、レッスンよりも実際の舞台での経験、そして稽古中に演出家や一緒に出演する先輩たちからアドバイスを受ける方が実になると思いました。
先輩たちから「作品が一番良い先生だよ」と教えてもらいました。今まで、休まずにずっと作品に出演し続けてきて、その中で演出家や先輩たちからいろいろ指導してもらって、経験を積んできたことで、自分だけのテクニックが身についてきていると感じています。もちろん、これからももっと学ばなきゃいけませんが。

K:現場でつくりあげていく、ということですね。
たとえば、本番が始まってから自分の中で芝居の感覚が変わった場合、たとえば、エリザベートへの気持ちが変わったりするときは、相手に相談したりするんですか?

D:自分の気持ちが変わった場合、それが自分の内面だけでの変化であれば相談しないでやります。例えば、最初は、エリザベートを「好き」という気持ちで演じていて、ある時、それとは違う感情でエリザベートを見るようになったとすると、その感情を演技に込めて演じます。
韓国ミュージカル界で、リュ・ジョンハンさんというトップスターがいるのですが、
僕がデビューしたときに同じ昨品に出演されていて、その時、リュさんから「ドンソクがやりたいように演じなさい。僕が全部受け止めるから」と言ってくださいました。
新人の後輩たちが舞台で何をしてきてもそれをどう受け止めて、どう活かすかが先輩側の使命(役割)という考え方です。

K:それは心強いですね。

D:韓国も演出家によって、作品ごとに稽古場の雰囲気も変わります。
だから演出家が誰か、というのがとても重要です。演出家が自信をもってリーダーシップをもって俳優たちを引っ張っていける人が理想ですね。韓国では、演出家と俳優が話し合う時間がすごく多いように思っています。

K:今回の『エリザベート』のお稽古はそういうスタイルだったのですか?

 

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2度目のトート役で新しい解釈を見出した

 

加藤和樹(Kato Kazuki)

プロフィール
1984年10月7日生まれ。愛知県出身。
2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー以来、CDリリース、全国ライブツアーや2008年の日本武道館他C.C.Lemonホール、日比谷野外音楽堂など毎年単独ライブを開催するなど、音楽活動を精力的に行っている。2009年からは韓国、台湾、中国でCDデビューを果たし、上海や北京、韓国でもライブを行ない雑誌の表紙などを飾るなど海外にも活動の場を広げる。
2013年ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』ティボルト役をきっかけに、2014年には全世界で日本が初演の大型ミュージカル『レディ・ベス』で主人公・ベスの相手役・ロビンをオーディションで射止める。2015年3月シアターコクーン『タイタニック』で主演を務め、2016年4月帝国劇場にて上演するミュージカル『1789』で主演が決定しているなど歌手・俳優として各界で注目を浴び始めている。

※加藤和樹オフォシャルサイトオフィシャルブログ

 

チョン・ドンソク(JEON, DONG SUK)

プロフィール
1988年生まれ。韓国芸術総合学校・声楽科在学中に、’09年『ノートルダム・ド・パリ』のグランコワール役でミュージカルデビュー。180cmを越える素晴らしいスタイルと甘い顔はもちろん、何より恐ろしい才能を持つ新人として一躍注目を浴びる。その後は、『ロミオ&ジュリエット』『モンテ・クリスト伯』『モーツアルト!』『エリザベート』『二都物語』と大型公演に出演し続ける。2013年には『ウェルテルの恋』で日本の舞台も踏む。2013年「第19回ミュージカルアワード新人賞」受賞。2014年は『マリー・アントワネット』出演、現在は『エリザベート』に出演中。公式サイト:

※チョン・ドンソクオフォシャルサイト

トート/チョン・ドンソク「最後のダンス」

 

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