豪メルボルン、新規感染者ゼロに 流行の中心地で6月以来初
画像提供, EPA
ロックダウンが敷かれたメルボルン市内にあるフリンダース・ストリート駅
オーストラリアで新型コロナウイルス感染再拡大の中心となっていたヴィクトリア州は26日、新規感染者がゼロだったと発表した。感染者が確認されなかったのは、111日前に州都メルボルンにロックダウンが敷かれて以降初めて。
オーストラリアの新型ウイルスによる死者905人のうち、90%以上が同州で確認されている。
7月には1日の感染者数が700人以上にまで急増したものの、厳格な在宅制限や夜間外出禁止令によって感染者の増加が抑え込まれている。
ヴィクトリア州当局は、同国第2の都市メルボルンに導入している制限措置を間もなく緩和するものとみられる。
オーストラリア・ヴィクトリア州の1日あたりの感染者数の推移(6月~10月)。7月7日にロックダウンを導入した 出典:ビクトリア州保健福祉省
同州のダニエル・アンドリューズ首相は25日、メルボルン北部で感染が広がっているとして、当初予定していた制限緩和の発表を見送っていた。
しかし翌26日、州保健当局は州内で新たな感染者や死者は確認されなかったと発表した。感染者がゼロだったのは、6月9日以降で初めて。
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厳格なロックダウン
オーストラリアは積極的なウイルス検査の実施や接触者の追跡に加え、ロックダウン措置を講じた。人口約2500万人の同国の累計感染者数は約2万7500人と、多くの国と比べてはるかに少ない。これまでに900人以上が死亡している。
ヴィクトリア州政府は7月初旬、1日あたりの感染者数が100人を超えたことを受け、メルボルンに2度目のロックダウンを敷いた。感染者数は約1カ月後にピークをむかえ、その後減少し始めた。
感染がメルボルン市外にまで広がったため、州内のほかの地域にも在宅制限が導入された。市内では夜間外出禁止令のほか、屋外での運動が1時間以内に制限され、自宅から5キロメートルを超える移動が禁止されるなど、市民は最も厳しい措置に耐えることとなった。
ほとんどの小売店やレストラン、職場の閉鎖は続いており、ほかの世帯を訪問することも禁止されたままだ。この世界的に最も厳格なロックダウンをめぐって市民の間で意見が割れ、小規模な抗議行動が起きた。ここ数週間では、多くの経営者らが州側に経済活動の再開を求めているが、州首相の慎重な姿勢を支持する声もある。
帰国者の隔離体制めぐり批判も
感染の再拡大をめぐっては、メルボルン市内のホテルで隔離された帰国者が原因だとして、州政府は批判にさらされている。再拡大の初期段階での接触者の追跡方法に欠陥があったことが、調査で明らかになっている。
オーストラリアのその他の地域では、ここ数カ月の間でほとんど感染は確認されていない。
ニューサウスウェールズ州シドニーでは過去2週間、メルボルンと同程度の感染者数が確認されているが、保健当局は今のところアウトブレイク(大流行)を抑え込んでいる。
同国は10月2日からニュージーランドからの旅行者の受け入れを開始。第1陣がニューサウスウェールズ州と準州ノーザン・テリトリーに到着した。