演劇・ミュージカル

ミュージカル『シラノ』製作発表レポート

2012/09/19


写真提供/東宝演劇部

 お待たせいたしました! 速報どおり、9月5日に都内にて行われました
2013年一月開幕のミュージカル『シラノ』の製作発表に出席してきました。その様子をレポートします!

『シラノ』といえばすぐに目に浮かぶのが、あの“大きな鼻”をつけたダンディな鹿賀丈史さんのお姿ですよね。
文芸作品『シラノ・ド・ベルジュラック』を原作に、『ジキル&ハイド』の名コンビ、レスリー・ブリカッス(脚本・作詞)とフランク・ワイルドホーン(音楽)が手がけたこのミュージカルは、2009年に日本で初めて幕を開けました。激しい愛を胸のうちに秘め、友のために奔走する男シラノのせつなさ、心の深さを、鹿賀さんが圧倒的な存在感で演じきり、大きな感動を呼んだ傑作舞台です。

 その『シラノ』が再び、登場! はい、製作発表記者会見がスタートして、まず我々取材陣と約200名の一般オーディエンスの前に現れたのは、あの鹿賀シラノでした!
大きな鼻、そしてコスチュームを身に纏ったシラノの扮装でステージに上がった鹿賀さんは、ソロナンバー『ALONE』を熱唱してオーディエンスの心をイッキにつかみます。
もっと聴かせて~という皆の熱視線を受けながら退場する鹿賀さんの後にステージに上がったのは、艶やかなドレス姿のロクサーヌ役、彩吹真央さん。クリスチャンとの恋のときめきを歌ったナンバー『これが恋』を可憐に歌い上げます。
そんな彩吹ロクサーヌを優しいまなざしでみつめながら、クリスチャン役の田代万里生さんがゆっくりとステージへ。二人の美しいデュエットが会場に響き渡って、その幸せオーラに思わずホオ~ッとため息。
ナンバー披露のラストは、やはり優美なドレスに身を包んだもう一人のロクサーヌ、
濱田めぐみさん。シラノを思って歌うナンバー『彼こそ奇跡』を、澄んだ美声で情感たっぷりに聴かせてくださいました。
3曲のミュージカルナンバーを堪能して、本公演への期待はさらに急上昇! 

この後、あらためて出演者の皆さんと演出の山田和也さんが登場し、ご挨拶と質疑応答が始まりました。ロクサーヌ役の濱田さんと彩吹さん、クリスチャン役の田代さんと平方元基さんは、再演での新キャストになります。

山田「2009年の初演は、まだ世界のどこでも上演されてなくて台本も音楽スコアも未完成な状態だったんですね。それをスタッフの皆さんと力を合わせて作り上げた、格別の思いのある作品です。とにかく大変だったけど、どう大変だったか覚えてないくらいで(笑)。すべてに全力投球して、ストーリーや音楽を伝えようとし過ぎたのではないかなという反省もあるので、今回はスリムにできるところはスリムに、たっぷりやるところは存分にたっぷりと、よりメリハリの効いたロマンチックなミュージカルになればと思っています」

鹿賀「早いもので、私が劇団四季の『ジーザス・クライスト・スーパースター』という作品でデビューしてから来年でちょうど40年になります。そんな記念すべき年のお正月に『シラノ』ができる、その喜びでいっぱいです。今回は4人の新しいキャストをお迎えして、初演とはひと味もふた味も違った、奥行きの深い『シラノ』をお見せできると思います」

濱田「(『彼こそ奇跡』を)すごく緊張して歌いました。今ここにいるのも夢のようです。私の舞台人生で大きなターニングポイントになる役じゃないかなと思っています。鹿賀さんの胸を借りて頑張ります」

彩吹「初演の時のご苦労を今、この場で初めて聞きました。その情熱を受け継いで、いいものにできたらと思います。ロクサーヌは才女ということなので、どこまで才女になれるか(笑)、私なりにチャレンジしたいです」

田代「初演も観させていただきましたし、その後、ワイルドホーンさんのコンサートでも先ほどのデュエットを歌っているんです。『シラノ』という作品に引き寄せられていたんじゃないかと、今となっては思います。自分がミュージカルを始める前に、山田さんの演出作品をたくさん観ていたので、今回ご一緒できることが嬉しいです。鹿賀さんはカッコ良すぎですよね(笑)。シラノとクリスチャンの場面がたくさんあるので楽しみです」

平方「僕が上京して初めて観たミュージカルが『シラノ』でした。スゴいな!とただ打ちひしがれたのを思い出します。そんな舞台に自分が出させていただくことを運命的に感じています。昨日から緊張し過ぎて、寝違えてしまい右を向けなくて…(苦笑)。本番は頑張りますので、ちょっとオバカな(笑)平方元基のクリスチャンを楽しみにしていてください。」

 続いて、山田さんがミュージカル『シラノ』の魅力について「人を好きになる気持ち、不安や怖れ、喜びなどがすごく等身大に書かれているミュージカルだと思います。一人一人の心の動きが瑞々しい。そこが『シラノ』のとくに優れたところだと思うし、現代性を感じています」と語っていました。

 また、これまでキリッとした強い女性を演じることが多かった濱田さんが「ロクサーヌのような可愛い女性を演じることができて嬉しい~」と喜びの表情を見せると、宝塚の男役出身の彩吹さんも「私も嬉しいです!」と快活に答えて会場の笑いを誘います。みつめあう笑顔がとてもチャーミングなお二人。新たな魅力をたくさん見せてくれそうですよね!

 クリスチャン役の田代さんと平方さんは、司会の笠井さん(フジテレビアナウンサー)の「二枚目なのにちょっとバカ。そんな残念なクリスチャンをどう演じますか?」という直球質問に思わず苦笑いです。
田代「クリスチャンはシラノと同じように、すごく純粋な人間だと思う。その純粋さを大事にしながら演じたいですね」
平方「僕自身、残念なところがいっぱいあるので(会場、爆笑!)そこをおおいに生かしていきたいと思います」

 製作発表の最後は“鹿賀シラノの心意気は時代を超える”のキャッチのように、この方の心意気で締めくくられました。
鹿賀「シラノはすごく大きな男に見えますけれど、実は非常に繊細な心の持ち主です。一人の人間の外見と内面の違い、心のひだといったものを表現できたらと思っています」

 さて、一般オーディエンスの皆さんも大満足の製作発表が終わった後、ブタコメ取材班はクリスチャンの衣裳のままの田代さん&平方さんを追いかけて、ひとことコメントをいただいてきましたよ! 
製作発表を終えてすぐ、今の心境は!?

BUTAKOME

田代「歌披露については気持ちよく歌えたと思います。彩吹さんとは最近舞台(『サンセット大通り』)をご一緒したのもあって、稽古の時から息は合ってましたね。ただ、日本版のスコアでは最後のところ、クリスチャンは音が下がるんですが、以前ワイルドホーンさんのコンサートで歌った時に、「万里生が歌うなら最後、音を上げてくれ」とワイルドホーンさんが言ってくださったんですね。今日も最後の部分の音を上げて歌いましたが、本番ではどうするかはまだわかりません。元基くんとは稽古の中で良い方向に作用して、それぞれのクリスチャンを作れたらと思っています」

BUTAKOME

平方「共演の皆さんは、最近観た舞台に出ていらっしゃった方ばかり。そんなそうそうたるメンバーの中に僕が入っているのが、今でもよく理解できないです(笑)。あれほどの素晴らしい先輩方なので、大きな胸を借りて、自由にのびのびやろうと思っています。今回は、周りの皆さんが「僕らしい」と思ってくださっている部分を発揮できる役じゃないかな、と。一生懸命ロクサーヌを愛するがゆえに周りが見えなくて、突っ走ってしまう。そんなクリスチャンの状況を、お客様がクスッと笑って面白おかしく見ていただけるよう、作り上げていきたいですね」

 魅力伯仲の新キャストを迎え、グレードアップ必至の『シラノ』再演、来年のお正月が楽しみです!

取材・文/上野紀子
撮影/吉原朱美 (田代万里生・平方元基)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ミュージカル「シラノ」

日生劇場
2013/1/6(日)~29(火)

※公式HPはコチラから

■「サンケイリビング新聞社」チケットファンにてチケット発売中!!

※チケットファンへはコチラから

※画像およびテキストの転載を禁止します。

バックナンバー