沖縄県警特別捜査本部は13日、新型コロナウイルスの影響で経済的打撃を受けた個人事業主らを対象に国が支給する持続化給付金100万円をだまし取ったとして、沖縄タイムス社の元社員で無職の男(45)を詐欺の疑いで逮捕した。同給付金を巡る詐欺の摘発は県内初。調べに対し容疑を認めている。捜査本部はほかに共謀し、不正受給に関与した人物がいるとみて捜査を継続する。
捜査本部は同日、那覇市内の同容疑者の自宅を家宅捜索し証拠物を押収した。逮捕容疑は今年6月23日~7月27日、氏名不詳の人物と共謀し、虚偽の内容で持続化給付金を申請し受給した疑い。これまでのタイムス社の聞き取りでは確定申告書の職業欄に「フリマ雑貨」とうそを記載していたことが分かっている。
不正受給発覚を受け、沖縄タイムス社は10月8日、当時総務局付課長の同容疑者を懲戒解雇処分とした。同社の調べでは、同容疑者は持続化給付金のほか、新型コロナ対策関連の緊急小口資金、総合支援資金についても虚偽申請し、80万円を借り入れた。不正受給は計180万円。
今年5月に持続化給付金の申請受付が始まり、不正情報を入手した県警は9月、本島中南部の関係先の家宅捜索に踏み切り、大量の申請書類やパソコンなどを押収。同月中旬に100人態勢の特別捜査本部を沖縄署に設置、数百人にのぼるとみられる申請者の手続きの不審点や、背後で反社会的勢力が関係していなかったかを慎重に調べてきた。
複数の関係者によると、同容疑者と共謀したとみられる人物は、本来受給対象者ではない人々に給付申請を呼び掛け、数百件に上る申請代行に関与した疑いがある。すでに把握している県警は引き続き捜査を継続し、これらの人物について立件を視野に入れる。
元社員の逮捕を受け沖縄タイムス社は「沖縄タイムスのみならずメディアに対する信頼を裏切るもの。社員教育のあり方を含めた組織的課題の検証を進める。同様の事案が二度と起きないよう再発防止に努める」とコメントを発表した。
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