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この作品「第1話。出会い」は「五等分の花嫁」「機動戦士ガンダム」等のタグがつけられた作品です。
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「さてと、今日もつまらない1日が始まるな」

 少年はそう呟く。

 少年の名前はバナージ・リンクス。

 名前以外はどこにでも居る、高校2年生だ。

 そんな高校2年生だが、バナージは学校生活が、とても退屈だった。

 何故なら、全く面白くないからだ。

 勉強もつまらないし、可愛い女の子も居ない。 

 つまり、本当に退屈で退屈でしょうがないのだ。

 だが、そんなバナージにも、たった1つだけ、学校生活が楽しいと思う瞬間があった。 

 それは……

「おっ!刹那君!ヒイロ君!」

「おはようバナージ」

 物凄くイケメンな二人組がバナージに挨拶をする。

 この二人はバナージの親友である。

 刹那・F・セイエイ。

 バナージの親友であり、同じクラスメイト。

 顔も声もイケメンの為、女子からの人気は相当である。

 ヒイロ・ユイ。

 同じくバナージの親友であり、同じクラスメイト。

 ヒイロも顔と声が良い為、女子からかなり人気がある。

「バナージ。昨日出された宿題は終わったか?」

「あれは最後の問題が解けなかったんだよ」

「俺も解けなかったな。刹那はどうだ?」

「俺もだ」

「あの問題だけ特別難しいよね」

「明らかに問題の難易度を間違っているな」

「どうする?このまま提出する?どうせほとんどの人が投げ出したと思うし」

「そうだな。最後の問題以外はやったんだ。バチは当たらないだろう」

 ヒイロの答えに、刹那も頷き同調する。

 だがその瞬間後ろから声が聞こえた。

「バナージ君達がそうするなら、僕達もそうしようかな」

「そうだね。その方が良いか」

「無理は良くないし」

 バナージ達は3人の声の正体を知っていた。

 3人の正体は……

「おはよう!フリット君!アセム君!キオ君!」

 フリット・アスノ。

 アスノ家の長男である。

 性格はとても優しく、弟であるアセムとキオをまとめる良いお兄さんである。

 アセム・アスノ。

 アスノ家の次男である。

 兄であるフリットには多大な尊敬を抱いており、いつか自分も兄であるフリットに、追い付きたいと思っていた。

 キオ・アスノ。 

 アスノ家の三男である。

 とても可愛らしい顔と声をしており、女装が良く似合うと言われてしまう程可愛いのである。

「その言い方だと、アスノ兄弟も最後の問題は、駄目だったんだね」 

「全くだよ。あの問題だけは難易度おかしい」

「俺もフリット兄さんも、お手上げだ……」

「当然二人が出来ない問題を、僕が出来る訳もないしね」

 3人が話し終わると、また後ろから声が聞こえた。

「安心しろ。私も出来なかった」 

 とても格好いい声だった。

 バナージは、その声の正体を知っていたからこそ……

「あのミリアルド君も出来なかったんだね」

 ミリアルド・ピースクラフト。

 同じくバナージ達のクラスメイトであり、友達である。

「あの問題だけは、普通の人間には無理だ。それこそ、風太郎君以外にはな……」

「風太郎君か。確かに彼なら、あの問題は解けてそうだけど……」

「今からみんなで、風太郎君に最後の問題の答えを聞きに行かないか?」

「だがミリアルド。風太郎が只で答えを教えてくれると思うか?」

「安心しろ。勝算はある」

 ミリアルドの言う勝算がバナージ達には分からなかったが、問題の答えは知りたい為、みんなで風太郎の居る教室に向かった。

 みんなで学校に向かい、風太郎の居る教室に向かうと、そこには風太郎が座って自習をしていた。




「相変わらず勉強熱心だね」

 フリットの一言に、弟であるアセムとキオが便乗する。

「では交渉開始だ」

 ミリアルド達が風太郎の席に近付いて、風太郎に話し掛ける。

「風太郎君。少し良いだろうか?」 

「何だ?みんな揃って」

 上杉風太郎。

 学校で最も頭の良い人間である。

そしてテストは毎回100点と言う、恐ろしい学力の持ち主だ。

「風太郎。昨日の宿題、やって来たか?」

「当たり前だろ」

「ならば、最後の問題は解けたか?」 

「当然だ」

「私達全員答えが分からなくてな。最後の問題の答えを教えてくれないだろうか?」

「お断りだ。何でお前らに教えなきゃいけないんだ。しかも、答えに至る道筋を教えてくれならともかく、最初から答えだろ?嫌だね」

「焼肉定食、焼肉抜き……」

「……!」

 風太郎の表情が変わった。

「もし我々に答えを教えてくれるなら、焼肉定食を奢ろう。しかも、今なら1個300円のデザートに、飲み物も付けるぞ。そして、パンやおにぎりも付けよう」

「なん、だと……!」 

「どうだ?悪い話では無かろう?」

「(そんな馬鹿な……1問答えを教えるだけで、こんな待遇が、受けられるだと……!)」

 風太郎の心が揺らぐ。

「どうする?」

「こ、今回だけだからな……!」

「交渉成立だな」

 こうして食べ物を取引に、問題の答えを教えて貰ったバナージ達。

 勿論ちゃんと約束を守り、風太郎に、豪華な昼食をプレゼントしたのだった。

 そして午後の授業を受けて、放課後になると、バナージは一人で帰った。

 そう。

 バナージには行きたい所があったのだ。

 その場所は……

「タピオカ!タピオカ!」

 そう。

 バナージはタピオカが大好きなのだ。

 だからこそ、学校終わりにはタピオカを飲みに行くのが主流なのである。

「アメジストブルーベリーミルク~!」

 バナージのテンションは、本当に高かった。

 そしてタピオカ店に付くと、店員さんにアメジストブルーベリーミルク、甘さは甘めで、氷は少な目でと言った。 

 これが一番タピオカを美味しく飲めるのである。 

 因みにこれは店員さんから聞いた。

 そしてお金を払い、タピオカを貰うと、バナージは店を出て、タピオカを飲んだ。

「これだよ!これ!やっぱり学校終わりのタピオカは、さいっこう!」

 バナージがそう言うと、缶ジュースが転がってきた。 

「誰か落としたのか」

 バナージは、缶ジュースを拾うと、前を見た。

 すると1人の少女が、こっちに来るではないか。

「あの子が落としたのか」

 バナージは少女の事を見る。

 少女の顔はとても可愛く、青いヘッドホンを首に付けている。

「この缶ジュース、君のだよね?はい」

「ありがとう」 

 少女はバナージにお礼を言うと、そのまま立ち去ってしまった。 

「あの子、可愛かったなぁ」 

 バナージは、またあの子に会いたいと思った。

 この少女との出会いから、バナージの運命は大きく動き出したのだった。

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