日本人が知らない「アメリカ人の半数がいまだトランプに熱狂する理由」

「暗黒の冬」を迎えることになる…
福田 直子 プロフィール

それにしてもトランプ大統領がこれほどまでに必死で再選を主張する理由は、その性格から「負けるのが嫌い」ということだけでなく、1月以降、民間人となったあかつきに怒涛のような「裁判の嵐」にみまわれ、責任追及がされる可能性が大きいということがある。

実際、トランプには3000件以上の民事裁判が起こされているだけではない。トランプが莫大なローンを受けているドイツ銀行からの債務の返済が請求されるはずだ。

1990年代からたびたび資金難に陥り、数度の破産宣告をしてきたトランプに、アメリカ国内の銀行はさらなる債務不履行を懸念してローンを渋ったため、トランプは中国とドイツの銀行からローンを受けるしかなかった。 

かつてカジノ施設や不動産への投資が焦げつき、トランプ氏が喉から手がでそうなほど追加ローンを求めていたとき、投資部門でアメリカ市場参入を目論んでいたドイツ銀行の動機がマッチしたことで、トランプ氏は同銀行から多大な融資を受けたとニューヨークタイムズ紙はたびたび報道している。

 

当時、トランプに融資した銀行幹部はみな去り、債務だけが残っている。トランプ氏は今後4年間で3億ドル(約400億円)以上をドイツ銀行に返済しないかぎり、一部の財産を差し押さえられる可能性さえあるという。「成功した億万長者のビジネスマン」のイメージを喧伝してきたトランプ大統領であるが、その返済能力は疑問視されている。

さらにトランプ大統領は大統領就任時に普通は税申告の書類を公開するべきであったのを全面的に拒否している。本拠地ニューヨーク州で長年、脱税を行ってきたといわれるだけに民間人となれば大統領としての「免責特権」が解かれ、ニューヨークの自宅にも戻ることさえ難しい。

今後はフロリダの別邸からゴルフに興じながらツイートを重ね、新しいテレビ局を設立して次期政権への批判を繰り返し、支持基盤へ訴えるのだろう。そして2024年に78歳となったトランプが再出馬するのか、あるいは家族の誰かが近い将来、大統領選に出るのか、いろいろ憶測されている。