日本人が知らない「アメリカ人の半数がいまだトランプに熱狂する理由」

「暗黒の冬」を迎えることになる…
福田 直子 プロフィール

バイデン大統領の誕生で欧州の「敗者」は、ヤンシャ首相、ハンガリーのオルバン首相、イギリスのジョンソン首相、ポーランドの元首相のレフ・カチンスキ氏など。いずれも強硬な移民政策と大衆ポピュリズムに訴える政治家たちだ。

ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領も沈黙している。2016年にトランプが当選したとき、プーチン首相がまっさきに祝福の言葉を送ったときとは対照的だ。

2020年大統領選挙は前代未聞の接戦でもあった。11月10日時点で獲得票数ではバイデン元副大統領が7633万票、トランプ大統領が7143万票であった。投票率は1900年以来の高レベルで、大統領選挙の歴史上、最高の得票数を得たのはバイデン氏が1位、2位がトランプ氏であるという。

 

「ブルー・ツナミ」は来なかった

もっとも「バイデン候補、圧勝」を謳ったメディアや意識調査の予測に反し、今回の選挙は民主党の圧勝であったとはいえない。

1960年代からワシントン・ポスト紙やニューヨークタイムズ紙の記者、そしてABCテレビ局のデイレクターなどを長年務めたベテランジャーナリストの友人は大統領選にあたり、ソーシャルメディアで以下のようにつぶやいていた。

「"オレンジ色のシミ"(トランプ大統領)を洗い流すために海から(民主党支持の)"青いツナミ"が来ることを期待し、選挙ではバイデンとハリスが圧倒的な人気票を集め、選挙人でも優勢になると信じている」

彼女のように黒人、しかも女性ジャーナリストとして90%以上が民主党支持といわれる首都、ワシントンに在住していた者にとってトランプ政権の4年間は耐え難い屈従でもあったはずだ。

しかし、多く民主党支持者が期待したように「青いツナミ」はやってこなかった。それどころか選挙は双方の候補者のあいだで拮抗し、トランプ支持者は2016年の選挙に比べ、数百万人増えていた。前回の選挙で投票しなかった有権者の多くが郵便で投票したため、高い投票率(66%)となったが、依然としてトランプ大統領の支持基盤は固かった。