ちなみにトランプ大統領の祖父、フリードリッヒ・トランプはドイツ出身だ。
ドイツ南部、バイエルン州のカルシュタットという当時はわずか千人ほどの小さな村から兵役を逃れるためにアメリカへ移民した。結果、ドイツは「アメリカの大統領を輩出した」わけだが、ドイツ人のトランプ大統領に対する嫌悪感はかなり強い。
4年前の就任当初からトランプ大統領はドイツに対して批判的で、メルケル首相との初会談の際も握手さえしようとしなかった。
トランプ政権下では4年間、米独関係が揺らいだだけでなく、EUおよびNATOへ次々に難題を与えたことはドイツ人にさらに強い不安感をもたらした。
第二次世界大戦以降、構築されてきた国際秩序はトランプ大統領再選があれば、簡単には修復することがない状態にされるのではないかと危惧されていただけに、ドイツ人たちは固唾を飲む思いで今回の大統領選挙の行方を追っていた。
ヨーロッパ各国のリーダーたちがおおかたバイデン新政権の誕生を歓迎する中、少数ではあるが、トランプ再選を応援していた欧州の国家元首たちもいる。
スロベニアのヤネズ・ヤンシャ首相は投票日の11月3日からわずか2日後、郵便投票の開票がいつ終わるか見通しがつかない時点で、トランプ大統領の優勢とみたのか、はやくも再選へ祝福の言葉を送った。
ヤンザ大統領はその後も間違いを訂正することなくバイデン候補の勝利が明らかになった後も沈黙している。ポピュリストといわれるヤンシャ首相は移民政策において強硬姿勢を示している。