新型コロナウイルスのワクチン接種の意志は世界的に減少

15カ国のほとんどの調査対象者が2021年半ばまでにワクチンが利用可能になるとは考えておらず、ワクチンが可能になってから3カ月以内に接種すると回答したのは半数にすぎないことがわかりました。

世界経済フォーラムと協働で行われたイプソスの新しい調査によると、世界15カ国の調査対象者18,000人以上の73%が、新型コロナウイルスのワクチンがあれば接種すると回答しています。これは3カ月前に比べて4%ポイント減少しており、可能であればワクチンを接種する意向が低下していることを示しています。

10月8日~13日に実施されたこのオンライン調査では、55%の調査対象者が最初のワクチンが2021年第三四半期までに一般的な用途で市販されると考えています。調査対象国全体では、52%が新型コロナウイルスのワクチンが普及してから3カ月以内にワクチンを接種すると回答しています。ワクチンが入手可能になった時点では接種しないと答えた人の3分の1が副作用への懸念やワクチンの臨床試験の進行が早すぎることへの懸念を、それぞれ挙げています。この結果は、世界経済フォーラムのアジェンダで報告されています。

新型コロナウイルスの予防接種を受ける意思

調査対象となった全15カ国の結果を平均すると、73%が「ワクチンがあれば接種する」に同意しており(33%が強く同意、40%がやや同意)、27%が同意していません(17%がやや同意しない、10%がまったく同意しない)。

  • 3か月前には、同じ調査対象国の77%が同意しており(10月調査と比較して4ポイント多い)、このうち40%は強く同意していた(10月より7ポイント多い)。 
  • 新型コロナウイルスのワクチン接種の意志が15カ国の平均を上回った国はインド (87%)、中国 (85%)、韓国 (83%)、ブラジル (81%)、オーストラリア (79%)、英国 (79%)、メキシコ (78%)、およびカナダ (76%) 。
  • 一方、フランスでは対象者の54%、米国では64%、スペイン64%、イタリア 65%、南アフリカ68%、日本69%、ドイツ69%に止まった。
  • 8月以降、中国(12ポイント減)、オーストラリア(9ポイント減)、スペイン(8ポイント減)、ブラジル(7ポイント減)をはじめ、15カ国中10ヵ国でワクチン接種の意志が減少している。

ワクチンが利用可能になるまでの期間

全調査対象国では、55%が来年半ばまでにはワクチンは利用可能にならないと考えており、16%が最初のワクチンが可能になるのは「今から9カ月後」、21% が「今から12カ月後」、18% 「今から18ヶ月以上後」と回答しています。

  • 調査対象者の16%のみが、最初のワクチンが2020年末までに一般的な用途で市販されると予想している。4%が「今から1か月後」、12%が「2〜3カ月以内」と回答。29%が「今から4〜6カ月後」と回答している。
  • 楽観的傾向が最も高いのは中国、インド、ブラジル、米国で、いずれの国でも少なくとも4人に1人は年末までにワクチンが入手可能になると回答、少なくとも半数は2021年4月までに入手可能になると回答。
  • 最も悲観的な国はフランス、スペイン、日本で、ワクチンが2~3か月以内に入手可能いなると考えているのは10人に1人以下、4月まで可能になると考えているのは3分の1にも満たない。

ワクチンが入手可能になってから接種を受けるまでの待機時間

全体では、調査対象者の半数 (52%) が、ワクチンが利用可能になってから3カ月以内に接種を受けると回答しています(22%が 「すぐに」 、14%が「1カ月内に」、16%が「1~3か月内に」)。

  • また、11%が「3~6か月内に」、10%が「半年~1年内に」と回答し、1年内にワクチンを接種すると回答した人72%となった。これは可能であればワクチンを接種することに同意した人の割合と同程度。
  • メキシコ (71%) 、ブラジル (68%) 、中国 (68%) の調査対象者の3分の2が3か月内にワクチンを接種すると回答。それに対し、フランス (38%) 、スペイン (38%) 、米国 (40%) 、南アフリカ (42%) 、日本 (43%) では低い割合に止まった。

ワクチンを接種しない理由

新型コロナウイルスのワクチンを接種するつもりがない人々は、ほぼ同じ割合で、副作用への懸念(全体の34%)や、ワクチンの臨床試験の進行が速すぎることが心配(33%)だと回答しています。ワクチンの効果が期待できない (10%) 、ワクチン全般に反対 (10%) 、コロナを罹患するリスクが低すぎる (8%) などの回答は少なくなっています。

  • 副作用への懸念が最も高い国は日本 (62%) と中国 (46%) 。
  • 臨床試験の進行が速すぎるという懸念は、ブラジルとスペイン(いずれも48%)で最も高い。
  • 一般的にワクチン全般に反対という回答の割合が最も高いのは南アフリカ (21%) とインド (19%) 。
  • コロナを罹患するリスクが低すぎるという回答の割合が高いのは中国 (20%) とオーストラリア (19%) 。
本調査は、イプソスのグローバルアドバイザオンラインプラットフォーム上で、2020年10月8日~13日に実施されたものです。調査対象者は18,526人(米国、カナダ、南アフリカでは18~74歳、オーストラリア、ブラジル、中国 (本土) 、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、韓国、スペイン、英国では16~74歳)です。
イプソス・イン・ジャパン

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