岡田幹治(おかだ・もとはる) ジャーナリスト
1940年、新潟県高田市(現・上越市)生まれ。一橋大学社会学部卒業。朝日新聞社でワシントン特派員、論説委員などを務めて定年退社。『週刊金曜日』編集長の後、フリーに。近著に『香害 そのニオイから身を守るには』(金曜日)、『ミツバチ大量死は警告する』(集英社新書)など。
致死率が低い新型コロナの危険性に見合った措置に舵を切るとき
指定から8カ月が経ったいま、新型コロナに2類や1類に相当するような危険性がないことがわかってきた。それを端的に示しているのが「致死率」(感染者に占める死者の割合)である。
2類感染症に分類されているSARSの致死率は9.6%、MERSは35%。1類のエボラ出血熱は80~90%である。新型コロナの正確な致死率は、1年ほど経って感染者と死者のデータが出そろった時点で算出されるが、途中段階での致死率はすでに公表されている。
たとえば国立感染症研究所は9月、国内の5月と8月の致死率を次のように発表した(PCR検査の陽性者を「感染者」として算出)。
5月=全体で7.2%、70歳以上は25.5%
8月=全体で0.9%、70歳以上は8.1%
8月の致死率が大幅に低下した原因について同研究所は、治療法が改善されたこともあるが、最大の原因は「検査数が増え、無症状や軽症で済む若年層の受検者が増えたこと」とし、8月の方が実態に近いと説明している。
検査を受けていない潜在的な感染者がいることや、今後、検査数が増えて無症状感染者が増えることを考えれば、最終的な致死率はもっと低くなることが予想され、季節性インフルエンザの0.1%や新型インフルエンザの0.1%以下に近い値になると見る医師や研究者もいる。
感染者と死者の数についていえば、新型コロナは季節性インフルエンザよりずっと少ない。
論座ではこんな記事も人気です。もう読みましたか?