「未来は私たちで変えていける」 弁護士ママが説く、ジェンダー平等時代の子育て論
AERAで連載中の「この人この本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。「書店員さんオススメの一冊」では、売り場を預かる各書店の担当者がイチオシの作品を挙げています。
太田啓子さんによる『これからの男の子たちへ 「男らしさ」から自由になるためのレッスン』は、シングルマザーとして2人の男の子を育てる弁護士ママである太田さんが、悩みながら考えた、ジェンダー平等時代の子育て論。「男の子の育ち方」を広い視点で問いなおす。著者の太田さんに、同著に込めた思いを聞いた。
【ここがモヤつく!職場や学校で感じるジェンダーハラスメント】
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「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」とはボーボワールの有名な言葉だが、「男の子も『男に生まれたというよりも、“男になる”』んですよね」と、太田啓子さん(44)は言う。
「私自身、シングルマザーとして2人の息子がいるので、男子の育て方についての本を探したのですが、欲しい本が見つからなかった。刊行後にいただいた感想を読むと、子育て中のお母さん、教育関係者、男性の読者もいらして、穏やかで好意的なコメントをいただいたのは嬉しかったです」
本書では「男の子の日常にかかるジェンダーバイアスの膜」「男の子にかけられる呪い」「セックスする前に男子に知っておいてほしいこと」といった、男の子自身の問題から始まり、本の後半になると「セクハラ・性暴力について男子にどう教える?」「カンチガイを生む表現を考える」など社会全体の問題を経て、「これからの男の子たちへ」と、続く。
「人間は社会的な存在なので、親以外にも保育園や幼稚園の友だち、先生、絵本や漫画、テレビなどから、影響を受けて育ちます。家庭でいくら気をつけていても、『男の子は泣いてはいけない』とか、社会が投げかける性差別的な価値観や行動パターンを身につけてしまうのではないかと、子育てしながら真剣に考えるようになりました」
本書の中で太田さんは自身の揺れる気持ちを隠さない。日々の子育てでの戸惑い、自分の考えを見つめながら、簡単に断定するのではなく、読者とキャッチボールをするように、「男の子をめぐる問題」を考えてゆく。