アリゾナ州を落とすということは、事実上、トランプ大統領が再選されるための細い橋が焼け落ちてしまったことを意味する。
トランプ大統領はアリゾナ・フロリダ・オハイオなど共和党地盤の州をすべて勝った上でペンシルバニア州かミシガン州で勝つことが最低条件であり、激戦州の一つであるアリゾナ州を落としてかつプランは存在しないからだ。
アリゾナ州は共和党の支持基盤の一つであり、1996年にビル・クリントンを選んだのを最後に、これまで一貫して共和党の大統領候補を支持し続けていた。
アリゾナ州の州都フェニックスがあるマリコパ郡は州の60%ほどの人口を占めているが、前回の選挙では4万5000票の差をつけてトランプ大統領が勝利しており(通常、州都のある人口の多い郡では民主党が強いにもかかわらず)、アリゾナ州勝利の大きな原動力となった。
そのマリコパ群で、バイデン候補が一時8%近い差をつけていたことが、Fox News がバイデン候補勝利を早々に決めた理由である。
更に、日本時間の同日午後2時にはミネソタ州でバイデン候補勝利を主要メディアが報じた。そのデータが届くと、隣接するウィスコンシン州やミシガン州でもバイデン候補に有利な結果が予測されることになった。
午後4時半。バイデン候補にとって有利な状況が次々と現れたにもかかわらず、トランプ大統領は一方的な「勝利宣言」を行った。朝の段階では「勝利宣言はまだしない」と語っていたのに、である。彼が語ったことには破壊的に意味がなく、なんの根拠もなかった。
しかし、ここで奇妙なことが起こる。「勝利宣言」を報道した日本のマスコミの中に、「トランプ大統領が優勢だ」「だから勝利宣言をしたのだ」という報道や、コメンテーターが少なからずいたのだ。