ドラマや映画では50代俳優が重宝されるなどバイプレーヤー全盛が続いているだけに、「俳優業に軸足を戻せばいいじゃないか」という声もあるが、近年の活動歴がないだけにこれも簡単ではないだろう。『バイキングMORE』などで見せる強烈なキャラクターは、別の人間を演じるときにどうしても足かせになってしまうからだ。
今秋で安藤優子がメインキャスターを務めた『直撃LIVEグッディ!』が終了し、現在73歳の小倉智昭がMCを務める『とくダネ!』の行方も危ぶまれるなど、フジテレビの情報番組から大物が姿を消しはじめている。
それだけに坂上忍と『バイキングMORE』も安泰とは言えないが、だからと言って「芸能活動の危機」ではないだろう。
坂上は現在もダウンタウンや有吉弘行の冠番組にレギュラー出演しているし、過去には内村光良、くりぃむしちゅー、マツコ・デラックスらの番組にも出ていた。
つまり、主要MCたちにとって坂上は計算できる出演者の1人であり、そのポジションでの評価は高い。また、MCでなければ懸念される「パワハラ」の印象は少ないなど13~49歳の視聴者層も許容範囲ではないか。
坂上は2018年に『おまえの代わりなんていくらだっている―覚悟の仕事論―』という本を出版したが、現在の状態は書名に近づきつつあるのかもしれない。さらに翌2019年にも『かけひきする勇気』という本を出版したが、今こそテレビマンや視聴者との勇気あるかけひきが必要にも見える。
もともと俳優なのだから、本気になれば、時代に合わせたキャラクターにイメージチェンジすることも可能だろう。