• 公開日:2018年05月08日
  • 最終更新日:2018年05月08日
私のことを本気で叱ってくれる先輩に恋をしました

現在25歳の女性です。広告会社に勤めています。
私の初めて彼氏が出来たのは大学2年生の時です。お相手は大学のOBでした。
交際していた当時、先輩は社会人3年目の25歳でした。
出会いは私が大学に入学して合気道部に入った時からでした。
まったく経験がなかったのですがせっかく大学に入ったので新しいことがやりたいと思って入りました。
しかしサークルのメンバーは少なくて、私を含めて新入生は4人、部全体でも12人という少数グループでした。
4年生は忙しくてなかなか顔を出せないので練習にも困る状態で、OBOGが土曜日は手伝いに来てくれていました。
その中にいた一人がお付き合いすることになる先輩でした。仮にユウキ先輩とします。
ユウキ先輩は現役の時には主将を務めていらっしゃった方で、皆からの信頼も厚いですし指導力も確かでした。
常に笑顔で体育会系OBにありがちな高圧的な態度もなくとても良い人のようです。
同期の中でも最も飲み込みの悪い私は、毎週のようにユウキ先輩につきっきりで指導してもらっていました。
他の同期はどんどん進んでいるにも関わらず一向に上達しない自分にユウキ先輩は呆れることなく練習に付き合ってくれました。
私もこのままでは先輩に申し訳がないという思いで懸命に練習しましたが、なかなかうまくいきません。
ついに入部して半年ほどのタイミングで退部しようと決意し、退部届けを提出しました。
一応お世話になったユウキ先輩などにも挨拶をしておこうと思って最初の土曜日の練習前に部室に顔を出したのですが、そこにいたのは怒り顔のユウキ先輩でした。
先輩は私を部室の外に連れ出すと、どうして上達してきているのにここで諦めるんだと私を叱りつけました。
退部を伝えた時に他の部員は何も言わず、本気で怒ってきたのはユウキ先輩だけでした。
先輩は「どうしても辞めるのであれば止める権利は自分にはない」「自分の指導が悪いなら他の人に代わってもらうから続けるんだ」などといろいろと言ってきました。
私はその時に、この人は本当に私のことを考えてくれているんだと嬉しくなりました。同時に簡単に諦めて退部してしまった自分を恥ずかしく思いました。
私はその場で続けると答えました。ユウキ先輩のせいではないので引き続き指導をお願いしたいことも伝えると、先輩は私の退部を取り下げるように主将に言ってくれました。
私はこの人の気持ちに応えるために頑張ろうと思い、そしてこの人のことを男性として意識しはじめました。
この日を境に私はユウキ先輩がいない日の練習にも必死に打ち込み、自主トレもしました。ユウキ先輩は毎週上達する私を褒めてくれ、その度に私は幸せな気持ちになっていました。
男性としてい意識してしまったことで手を掴まれてや密着しての技の指導の時はドキドキしてしまって困りましたが、それでも先輩に喜んでもらいたい一心で頑張れました。
そしてついに告白を決意。翌年のバレンタインに手作りのチョコを作って告白しました。
答えはノーでした。自分は社会人で仕事も忙しいし、部の後輩は妹のようなものなので恋人にはできないというのがその理由でした。
私はショックを受けましたが気まずい関係になることを恐れて素直にその場では引きました。家では泣きましたがその後も何事もなかったかのように振舞おうしました。
しかし、4月になり新入生が入ってくるとユウキ先輩は新入生の指導をするようになりました。会えば挨拶もしますし普通の会話もできますが、以前よりも距離を感じるようになったのは事実です。私は告白したことを後悔するようになっていました。
距離は感じてしまいましたが私のユウキ先輩への気持ちは変わりませんでした。ちょうどそのころ同じ学部の人から告白されるということもありましたが、他に好きな人がいるとお断りしていました。
好きだけで怖くて何もできない状態は続きあっという間に夏を迎えました。ですがその夏の花火大会で大きな進展がありました。
花火大会は大学の部室からも見える位置で行われるため、部員で集まって見る毎年の行事です。仕事が早く終わったOBたちも駆けつけユウキ先輩もその一人でした。
部室でお菓子を食べながらみんなで盛り上がり花火は終わって解散となりました。夜も遅いということで女子は男子やOBが駅まで送っていくことになりました。
私の方向はユウキ先輩ともう一人別の後輩の女の子と一緒だったのですが、その子は彼氏と合流するとのことで私はユウキ先輩と二人っきりになってしまいました。
先輩と二人っきりになるのは久しぶりで緊張しましたがなんとか会話をしなければと思い、私はせっかくの花火だから浴衣を着たかったという話をしました。すると先輩は自分の家の近くで今度花火があるから一緒にいかないかと誘ってきます。
私が驚いた顔で見ると、ユウキ先輩は照れながらあの告白以来距離が出来たことを気にしているという話をしました。そして今からでも付き合ってくれないかと逆告白してきたのです。
私は信じられない気持ちでいっぱいでしたが泣きながら承諾しました。そして先輩の家の近所の花火大会は記念すべき初デートとなりました。
その後のお付き合いは先輩の転勤や私が就職活動で忙しくなってしまったこともあり、2年ほどで自然消滅してしまいました。
しかし花火の季節になる度にあの時の気持ちは思いだされます。

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