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浩二は役場の担当者としてりんご農園に足しげく通っていました。
♪~
(浩二)まきちゃん。(まき子)あっ 浩二さん!
これ 頼まれてた資料 持ってきたから。
他県の果樹園の肥料分析について書かれてる。
ありがとう! 助かる!
勉強熱心だね まきちゃんは。
りんごの実のつきがやっと安定してきたからね。
土 よくすれば収穫量もっと増えんじゃないかと思って。
あんま 根詰めねえでね。焦る必要ねえがらさ。
うん。
(畠山)まき子。
お~ 浩二!お父さん どうしたの?
あっ 関根さん来たらこのりんご 渡しといてくれ。
(まき子)分かった。なっ。
じゃあ 浩二 後でな。
ねえ ちっと ここ教えて。
うん? あ~… 肥料の三要素っつうのがな窒素 リン酸 カリのことなんだけどまあ これがいい肥料には欠かせねえんだけど…。
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
(裕一)う~ん「高原列車は行く」 いいタイトルだね!
俺 やっぱし 明るい曲がいいな。福島さ 行ってみたくなるようなさ。
福島 盛り上げるためにもよろしくお願いします。
任せて下さい!
そうか。坂下の相樂さんが りんごやるってか。
んだ。 最初は興味ねえの一点張りだったんだけどよ浩二が説得してくれてよ。おお~!
やるじゃねえか。いや… 僕は何にも。
僕は ただ 皆さんの業績と将来性についてお話ししただけですから。
いやいや…。福島のりんごが全国さ知れ渡んのは時間の問題だな。だな!んだんだ!
全国ってか!(笑い声)
あ~ そういやまきちゃん いつ東京行くんだ?
(畠山)うん。 月末にはな。東京?
寂しくなんな…。な~に 清々してるわ。
二言目には経費削減ってやかましいんだから。
(笑い声)あの… 東京って何ですか?
ああ 親戚の会社で世話になんだ。
経理が辞めて 困ってんだと。えっ?
2~3年で戻ってくっぺ。フッ そだこと言ってあっちで いい男めっけたら帰ってくるわけねえべな。
ハハハハハ!そんなら それで御の字よ。
えっ?建築会社の息子だの 議員の息子だのあれこれ見繕ってやっても うん?全部 断りやがって。
ここいらさ いい男なんて はあ一人も残ってねえわ。
ほだな。んだんだ。
(笑い声)
♪~
畠山さん 本当に まきちゃん東京さ 行かせていいんですか?
今まで ずっと一緒に頑張ってきたのに。
(ため息)
まき子のやつ戦死した男 いまだに引きずってっぺ。
ここさ いたら いつまでも忘れらんにぃ。
区切りつけるためにも一度 福島出た方がいいんだ。
ただいま~。
(まさ)お帰り~! お勤め ご苦労さま。
浩二 お帰り!曲 いい感じになりそうだよ。
そう。 よかった。
どした?
ちと 疲れただけだ。うん…。
・(音)ごめんくださ~い!
は~い。
音さん! よかった 無事着いて。
ご無沙汰しております。お義母さんも元気そうでよかった。
音… どうしたの?
今朝 音さんも来るって連絡もらったの。
私も 皆さんに会いたくなってしまって。
ちょっ ねえ… 華は? 置いてきたの!?
それがね…。
(華)私 もう19だよ。 一人で大丈夫だからお母さんだけで行っといでよ。
まあ… あの子 学校あるし。
そうね… うん… うん。
来てくれてうれしい。 さあ入って!
お邪魔します。
あっ…。浩二 何してんのかな?
お忙しいのかしら。ええ… お見合いの件ですよね。
もう少し お待ち頂けますか?
すみません。
お見合い? 浩二の?そう。
ああ… ねえねえ…。うわ~ すてきな方ですね!ねえ!
いろいろ お話 頂くんだけどお断りしてばっかりなの。
あの子 まるで興味がないんだから。
そうなんですか? 前に3年以内には見つけるからって…。
どんな方がいいんですか?いい人がいたら紹介しますよ。
原 節子みてえな?
原… 原…? そんなこと言ってたの!?
原 節子…。
音さん 久しぶり。 元気そうだね。
浩二さん ご無沙汰してます。お元気そうで。
谷口さんがね 浩二に どうかって。
気立てがよくって いい方なんだけど…どう?
うん… 分がった。
えっ? いいの?
母さんの顔もあんだろ?
どういう風の吹き回し? えっ?
ちょっ… 見せて 見せて…。
はあ~。
それで お裁縫なんか始めたんですけどなかなか上達しなくて。
(まさ)そんな ご謙遜ばっかり。ねえ 浩二。そうだね。
浩二さん うまくやってるかしら。うん?
う~ん どうだろうね? フフフ…。
・こんにちは~!
は~い!
あっ…。畠山林檎園の畠山まき子です。
浩二さんにお借りしてた資料を お返しに。
あっ 浩二さんが いつも送って下さるりんごの。
私 浩二さんの義理の姉の 音と申します。
裕一さん… 裕一さん!・うん? はい。
はいはい…。
こちら浩二さんが一緒に お仕事なさってる畠山林檎園の まき子さん。あっ 浩二が いつもお世話になってます。
兄の裕一です。こちらこそ!
あっ 今 浩二 いないんですよ。あっ よかったら 中でお茶でも。
あっ いえ!資料返しに来ただけですから。
あっ…。どうも。
あっ よかったら こっちいる間にうちの農園 遊び 来て下さい。
(2人)是非!
あの… 一つ お伺いしてもよろしいでしょうか?
はい。失礼ですが古山さんは なして今まで お一人だったんですか?
(浩二)えっ?
立派なご経歴ですし きっと いいお話たくさん おありになったと思うんですけど…。
・失礼します。
福島のりんごでございます。
ありがとうございます。
♪~
そうですか… ここまでくるのにいろいろあったんですね。
浩二さん いなかったら 父もとっくに諦めてたと思います。
困った時は いっつも助けてくれたから。
ふ~ん。 このりんごはみんなの努力の結晶なんだね。
父も私も うちのりんごを日本中の人に食べてもらうのが夢なんです。
きっと かないますよ。だって すっごく おいしいですもん。
うれしい~! ありがとうございます!
お~ 浩二! うわさすれば!
書き置き見て 驚いたよ。何で2人が ここにいんの?
私が誘ったの。林檎園 見せて頂いたんです。 楽しかった。
で で で?どうだったんだよ? お見合いの方は。
あああ… あとは 俺がやっとくから。なっ? 2人は もう帰って。 はいはい…。
あっ ちと りんご持って帰って下さい。
あっ ありがとうございます!
浩二が まき子さんを!?間違いありません。 恋 してます。
そうかな~?絶対 絶対 絶対そうよ!
言われてみれば そうかもしんない。
お見合いん時もね りんごを こうじ~っと見たりして…。
なら よかったじゃない。 浩二にもやっと いいお相手が見つかった。
そんな簡単にはいかないわよ。
何年も一緒にいんのに一つも進展しなかったんだから。
そうか… そう… そうだね。
浩二さん お見合い行ったんだ。
うん… 頼まれて行っただけ。
ふ~ん。
まきちゃん 東京さ 行くんだって?
うん。
水くせえな…話してくれればよかったのに。
ごめん。そのうち 言うつもりだったんだけど…。
まきちゃん 行っちったら畠山さん さみしいべな。
フフ… どうだろうね?
私が 林檎園 継ぐっつったら大反対して東京行きの話だって勝手に進めちゃうんだから。
それはまきちゃんのこと 心配してのことだよ。
ここにいたら昔のこと引きずっちまうからって。
東京行けば… 忘れられんのかな?
浩二さん… 私…。うん?
東京行ったら 動物園でも見に行こうかな。
新しいゾウがいんだって。
浩二さん。
音さん。 何? こんな夜中に。
目が覚めてしまって。アハハハ…。
ねえ 浩二さん。うん?
まき子さんって すてきな方ね。
彼女がいると農園が パ~ッと明るくなって…。
まきちゃん 家 出て 東京さ行くんだ。
浩二さんは それでいいんですか?
いいも悪いもねえよ。まきちゃんが決めたことだし。
まき子さんこのりんごを日本中の人たちに食べてもらうのが夢だって言ってた。
彼女… 本当に東京に行きたいのかしら。