新型コロナ対策 今が踏んばりどきだ
2020年11月11日 07時48分
新型コロナウイルス感染症が再び拡大している。流行が懸念される冬を前に一層警戒を強める必要がある。政府や自治体は当然だが、社会全体としても取り組むべき対策を再確認して備えたい。
この先、急速な感染の拡大を許すのか、それとも拡大を抑え込めるのか、ここが踏んばりどきではないか。
政府の感染症対策分科会が九日、急きょ持ち回りで開催され緊急提言をまとめた。
予定外の開催は、感染状況をこのままにしておくと、緊急事態宣言が出されたときのように社会経済活動を厳しく制限せざるを得なくなるとの警戒感からだろう。その危機感は共有したい。
感染が拡大する北海道では一日の新規感染者数が初めて二百人に達した。繁華街を中心に感染に歯止めがかからない。感染拡大は神奈川や愛知、岐阜各県も同様である。愛知県の大村秀章知事も県民に警戒を呼びかけた。
寒くなり部屋の換気が不十分だったり、手洗いがおろそかになっている面もあるだろう。インフルエンザの流行も心配だ。政府は冬季の換気対策など具体例を示してほしい。個人でもやるべき対策は何か、もう一度確認したい。
緊急提言が強調するのはクラスター(感染者集団)対策だ。感染が起きやすい接待を伴う飲食店や感染が広がる地域、業種に絞った検査と相談体制の拡充を急ぐよう訴えた。
気軽に検査や相談ができれば早い段階で感染を見つけて対応できる。検査を実施する自治体は飲食店などの事業者との連携の強化を急いでほしい。
クラスターは発生や拡大の仕方が多様化している。外国人コミュニティーでは言葉の壁などから受診を控えたりして発見が遅れる懸念がある。若者が通う大学などでは無症状や軽症が多いため発見が難しくなっているという。
政府はこうしたクラスターごとの特性や対処法についての情報を積極的に発信すべきだ。
感染者増に備え医療機関や保健所、検疫などの態勢強化は依然、課題である。必要な検査や診療を実施できるよう引き続き取り組んでほしい。
感染拡大に歯止めがかからなければ休業要請や感染地域への移動自粛をせざるを得なくなる。
店舗に営業自粛を求めるには補償も必要となる。政府は財源確保も含め、感染拡大を食い止めるための対策を検討すべきだ。
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