アインズ様がNPCに感謝を伝えて慰労しようとする話(仮題) 作:冥﨑梓
―――ナザリック地下大墳墓 アインズの私室
本日のアインズ番メイドが来訪者の名前を告げる。
「エクレア・エクレール・エイクレアー・・・様でございます」
(なんか「様」をつけるのがすごく嫌そうだな)
「そうか。入室を許可する」
エクレアは男性使用人に小脇に抱えられたまま入室し、アインズの前で下ろされる。男性使用人は一歩下がって控えた。
「――エクレア・エクレール・エイクレアー、お呼びとのこと。馳せ参じました、アインズ様」
「ふむ。よく来たな、エクレアよ。では面談を始める前に――これは面談を行う者全員に行っているのだが、私の許可無く私に触れたりしないと誓えるか?」
「は。アインズ様の許可無くアインズ様に触れたりしないと誓います」
「よろしい」
アインズは人払いをし、ソファ席に移動しようとする。しかしエクレアの歩き方は飛び跳ねるような動きで、ある意味非常に遅い。その為男性使用人に抱えられて移動するのが常だ。
仕方が無くアインズはエクレアを抱えて移動した。
まずアインズが座り、向かいの席に座るように勧める。
「失礼致します」
「うむ。改めて、エクレアよ、お前の日頃の働きに感謝する。また、このような時間を持てることを嬉しく思う」
「ありがとうございます。ですが、私が仕事をするのはいつか私がナザリック地下大墳墓を
(なるほど。餡ころもっちもちさんの設定がこうなるわけか)
「ふふ。そうだな。私は未来永劫お前達と共に歩むつもりだが、支配者であり続ける必要はないかもしれぬな。
(魔導王という立場がある以上完全に引退はできなくても、ナザリックの中だけなら
「さて。お前は休日には副料理長が営業しているショットバーの常連となっているという話だったな。私は飲むことも酔う事もできない。残念ながら私とは縁の無い場所のようだな」
「ナザリックで私と同じくらい賢いアインズ様のお言葉とは思えませんね。バーとはお酒を飲むだけの所ではありません。雰囲気と会話を楽しむ所ですとも」
「なるほど。では試してみるか」
―――ナザリック第九階層 副料理長のショットバー
今日は常連の一人、デミウルゴスがコキュートスと一緒に静かに飲んでいた。
話題は自然ともう一人の常連についての話となる。
「そういえば今日はエクレアが面談だそうだよ」
「ソウナノカ」
「アインズ様にご迷惑をおかけしていなければいいのだが」
カランと来客のベルがなり、ドアが開く。
「いらっしゃ―――!?」
「やぁ、ピッキー」
副料理長――愛称ピッキーが固まっているのを見てデミウルゴスとコキュートスもドアの方向を振り返る。
「―――!!」
慌てて立ち上がり跪く。
「邪魔をして済まないな」
そこにはなんとエクレアを前に抱きかかえたアインズがいた。
「デミウルゴスもコキュートスも私たちのことは気にしないでくれ。副料理長、いや、ここではマスターと呼ぶべきか?お前の職場を荒らすつもりはないのだ。いつも通りに頼む」
「畏まりました」
「さて、エクレアよ、お前も常連ということは、決まった席はあるのか?」
「は。真ん中に私はいつも座っております」
「真ん中か。わかった」
アインズはエクレアを真ん中の椅子に静かに下ろし座らせる。身長1メートル程度のエクレアでは、背の高いカウンターチェアに一人で座るのは困難なためだ。そうしてアインズはエクレアの左側に座る。
「ふむ、バーの座る場所によってその者の性格や現在の心理状態が分かるというのを聞いたことがあるな。あれは誰に教えてもらったんだったか・・・確か、中央に座る者は度胸とカリスマ性を備え、支配欲が見え隠れする、だったか。まさにエクレアにぴったりだな。ふふ」
「他の席はどうなのでしょうか」
「確か、入口から最も遠い隅の席を選ぶのは、気遣いや気配りの上手い者、だったな。逆に入口に近い方の席を選ぶ者は物事を効率よく進める事ができ、店員の近くの座席を選ぶ者は社交的で人と接するのが好き、だったかな」
「なるほど」
「ムゥ・・・アインズ様ニコソ真ン中ガフサワシイノデハナイカ?」
「コキュートス、よく見たまえ。このバーの座席は全部で8。故にここではど真ん中の座席というのは存在しないのだよ。エクレアが座っているのは中央の右側、アインズ様は中央の左側。アインズ様もきちんと中央におかけになっていらっしゃる、ということだよ」
「ナルホド」
「さて、エクレア、何を注文する?」
「決まっております。ピッキー、あれを」
「畏まりました」
あれと言われて浮かぶのはたった一つしかない。リキュール十種類を使った十色のカクテル、ナザリックだ。
外見は非常に綺麗だが、味はこの一杯で満足といいたくなるようなもの。
常連にはそれこそナザリックという名に相応しいなどと好評だったが、決して至高の御方に自信をもってお出しできるものではない。
美味しく飲めるように試行錯誤しているが、完成の目処はいまだ立っていなかった。
こんな事になるならもっと早く完成させておくべきだった、と不可能な事を考え後悔しながらも手つきは流れるようにカクテルを作り出していく。
「お待たせ致しました。オリジナルカクテル、ナザリック、でございます」
「ほう。これは美しいな」
「これは味は完成品とは言いがたいですが、まさに見た目を楽しむのにうってつけのカクテルですとも」
「なるほど。会話や雰囲気だけではなく、カクテルの見た目も楽しむのだな。他に見た目や香りを楽しめるようなカクテルはあるのか?」
「では、こういったものはいかがでしょうか?」
そういって副料理長、いや、マスターが差し出したのは白とピンクの可愛らしいカクテルだ。
「ラバフロー、でございます」
「ほう。ずいぶんかわいらしいな。白にピンクがアクセントになっているのか?」
「こちらは見た目も可愛らしく甘いので、女性や甘いものがお好きな方にお勧めのカクテルでございますが、意味は『溶岩の流れ』でございまして、ラムがベースになっておりますのでアルコール度数は強めとなっております」
「ほう。見た目や味に騙されてはいけない、ということだな。溶岩の流れということは、このピンクが白に流れるようになっているのが溶岩流ということか。おそらくは雪山に溶岩が流れている様子を表現しているのだろうな」
「ご賢察の通りでございます」
「勉強になった、ありがとう。エクレアにも感謝する。お前の言葉がなければ私がここに来る事はなかっただろう」
「それは何よりです」
―――ナザリック地下大墳墓 アインズの私室
アインズは報告書を書いていた。
報告書といってもむろん誰かに見せる為のものではない。
面談はすれば終わりというものではない。
良かった点、悪かった点を洗い出し、次に生かさねばならないのだ。
アインズは今日のエクレアとの面談を思い出す。
(・・・だめだ。エクレアよりも副料理長――マスターとの会話の方が多かった気がする。失敗だ・・・)
何故自分はあの話題を選択したのか。なぜバーに行く事を選択してしまったのか。
先ほどの自分に問いかけても答えは出ない。いや、あの流れではそうするのが自然だと思ってしまったのだ。
反省しても遅い。まさに後から悔いるから後悔なのだ。
エクレアとの面談をやり直すべきだろうか。しかし今日エクレアと面談をしていることはナザリック中の者が知っている。エクレアだけ二度面談をしたとなったら元々あまりいい印象をもたれていない彼への心証をより悪くしてしまいかねない。
仕方が無い。二巡目の面談をする事になったらエクレアを最優先に面談する事としよう。
―――いや、ダメだ。それでは遅すぎる。今ならまだ間に合うはずだ。もう一度エクレアと話をしよう。
決心して顔を上げる。
「どうなさいましたか、アインズ様」
メイド達は報告書の内容が見えない位置に少し離れて控えていた。
「すまないが、エクレアをもう一度呼んでもらえるか?一つ話し忘れた事があったのだ」
「畏まりました。少々お待ち下さい」
アインズ番メイドはすぐに戻ってきた。後ろには男性使用人に小脇に抱えられたエクレアがいた。エクレアはすぐに下ろされる。
「お連れ致しました」
「ありがとう。エクレアも何度も済まないな。お前との面談の記録を書いていたら一つ話し忘れた事があったのに気付いたのでな」
「さようでしたか。何事かと思いました」
「少し移動する」
そう言ってアインズがエクレアを前に抱え上げる。
「「!!!」」
「今から私たちは移動するがナザリック内にいるので心配はいらない。もし何か用があれば<
「畏まりました」
アインズが指輪を起動し、エクレアと共に消える。
「あのペンギン、アインズ様がお持ちになっていらっしゃるとなんか可愛い気もするから不思議よね」
「アインズ様に抱きかかえていただけるなんて・・・」
メイド達のエクレアへの心証は余計に悪くなったようだ。
一方アインズとエクレアは―――
第六階層 湖の前に立っていた。
「アインズ様、ここは?」
「第六階層にある湖だ」
「どうしてここへ?」
「その前にここの階層守護者への連絡が必要だな。暫し待て」
「畏まりました」
「―――マーレか?」
『は、はい、アインズ様。どうされましたか?』
「今第六階層の湖でエクレアとの面談を行っている故出来るだけ近づかないように頼めるか?」
『か、畏まりました』
「済まないがアウラにも伝えておいてくれ」
『わ、わかりました、アインズ様』
「待たせたな」
「いえ。それでここで何を?お話とは?」
「ふむ。お前はバードマンだがイワトビペンギンとして餡ころもっちもちさんに創造された、そうだな?」
「おっしゃる通り、私は誇り高きイワトビペンギンとして餡ころもっちもち様に創造されました」
「餡ころもっちもちさんによると、イワトビペンギンというのは海中でフリッパーを上下に羽ばたかせて、空を飛ぶように自由自在に泳ぎ回れるそうなのだが、お前は泳げるのか?」
「泳いだことはありませんが、餡ころもっちもち様がそのようにおっしゃっていたのならば必ず泳げますとも」
「それを確かめようと思ってな。さて、お前のそのネクタイは外しておくか?」
「そうですね。水に濡れてはいけません。仕舞っておきます」
「では私も水着に着替えるか」
そう言って一瞬の間に水着になる。
――実際は<
サーフパンツにアロハシャツ、サングラス、ビーチサンダルのセットアイテムだ。本当は水鉄砲もセットだが今回は必要がないのでしまってある。
「ではエクレアよ、一度湖に入って泳いでみてくれ。万が一の時は私が助けよう」
「助けは必要ないと思いますが畏まりました。では」
飛び跳ねながらエクレアは湖にダイブする。大きな水しぶきが上がった。
本来のイワトビペンギンは50~60センチなのでエクレアはその約2倍の大きさだ。
「・・・」
上がってこないが泳げているのだろうか?
「・・・だ、大丈夫か?」
仕方が無い。サングラスとアロハシャツ、ビーチサンダルをしまい、サーフパンツのみとなるとアインズも湖に入った。そっと潜ってみる。すると―――
まさに空を飛ぶように水中を泳ぎ回るエクレアがいた。
肝が冷えた。むろんアインズに肝など存在しないが。
やがてざばっとイルカのように水面をエクレアがジャンプする。
「おぉ!」
なんだか生き生きして見える。まさに水を得た魚のようだ。水を得たペンギンか。
「よし、私も泳ぐか」
アインズとエクレアはしばらく湖での水泳を楽しんだ。
「アインズ様、新しい境地に目覚めた気分です」
「それはよかった。たまにはこうして泳ぐと良いかもしれぬな。ではそろそろ戻るぞ」
さすがにサーフパンツのみで戻るわけにはいかないのでアロハシャツを着てビーチサンダルを履き、サングラスをかけてエクレアを抱え、指輪の力で転移する。
むろんその前に<
アインズの自室ではメイド達と男性使用人が深く頭を下げ待っていた。
アインズは抱きかかえていたエクレアを下ろす。
エクレアは男性使用人にタオルで拭かれた後小脇に抱えられた。
「待たせたな」
「いえ、そのような。アインズ様、そのお姿は?」
「あぁ、これか。第六階層の湖でエクレアと泳いでいたのだ。床を濡らして済まないな。掃除を頼む。私は風呂に行く。エクレア、楽しかったぞ。ではまたな」
「畏まりました」
再びアインズが指輪で転移し姿を消すと、メイド達は色めき立った。
「先ほどのアインズ様の水着姿!」
「なんて素敵なんでしょう!まさに水もしたたる・・・でしたね。あのお姿を拝見できた僥倖を御方々に感謝致しましょう。さぁ、張り切って掃除ですよ」
一方のアインズは―――
三吉君に体を洗って貰いながら報告書の文面を考えていた。
(さっきのエクレアは本当に生き生きしていたな。これは成功と考えて良いのではないだろうか。この調子で次も頑張るぞ)
翌日―――
「ところでモモンガ様、昨日は水着姿をご披露なさったと伺ったのですが」
「ん?水着姿を披露・・・?そのような事はしていないぞ」
「ですが・・・」
そこへノックの音が響く。
「アインズ様。アウラ様、マーレ様でございます」
「そうか、入室を許可する」
「お、おはようございます、アインズ様」
「おはようございます!アインズ様」
「あぁ、おはよう、二人とも」
二人はアルベドにも挨拶をする。そしてアインズのそばまでやってくると
「あ、あの、エクレアさんからお聞きしました。ぼ、ぼくもアインズ様と一緒に泳ぎたいです!」
「あ、マーレずるい!あたしもご一緒させてください!」
「あ、あの、わ、私も・・・」
「ん?水中での戦闘訓練でもするのか?」
「あ、あの、訓練でもいいのですが、アインズ様と一緒がいいです!」
「あたしも、訓練でもいいですけど、アインズ様と一緒がいいです!」
「私もモモンガ様と・・・」
「つまり、お前達は私と水遊びがしたい、ということか?」
「も、申し訳ありません!」
「ああ、謝ることはない。そうか、私と水遊びを・・・ふ、ふふふ、はははは!・・・ふぅ。沈静されたか。良かろう。お前達の望みを叶えよう」
「「「ありがとうございます!!!」」」
「ふむ・・・お前達は水着は持っているのか?」
「あたし達はぶくぶく茶釜様が用意して下さったものがあります」
「私は持っておりません」
「なるほど。ではアルベドには私が持っているもの、もしくは宝物殿にあるものを貸そう。場所はどうするか・・・」
「モモンガ様、なざぶ~んではいかがでしょうか?」
「ふむ、なざぶ~んか。水遊びにはもってこいだな。ではいつにするか。皆の休みが合うといいのだが。休憩時間でもいいが。もし他にも水遊びに参加したいという者がいれば皆で遊ぶのも良いかもしれぬな。万が一、参加希望者が多い場合は何回かに分けて行うとしよう。済まないが調整をアルベド、頼めるか?」
「もちろんでございます!!!」
「た、楽しみにしています」
「アインズ様、あたし達の願いを聞いて下さってありがとうございます」
「何を言うのだ。お前達と水遊びが出来るなど、私にとっても嬉しいことなのだからな。ふふ。私も楽しみにしているぞ」
アインズは多くて3回と思っていたが、ふたを開けてみるとあまりにも希望者が多く、10回に分けて行われた。
アウラとマーレ―――
アウラは子供用の可愛らしいボーイッシュなビキニタイプ。マーレはワンピースタイプ。子供らしくとても可愛らしい。
「二人ともとても可愛いぞ。ぶくぶく茶釜さんも誇らしいだろう」
「ありがとうございます!」
「あ、ありがとうございます」
シャルティア―――
アインズの予想に反してスクール水着ではなく、可愛らしいワンピースタイプを着ていた。
どことなく、マーレの水着にも似ている。パッドはもちろんなしだ。
「とても可愛らしいな。よく似合っているぞ、シャルティア」
「ありがとう存じんす」
コキュートス―――
当然のことながら水着はなしだった。
「コキュートスはいつもと変わらないのだな」
デミウルゴス―――
ぴったりした海パンが細マッチョとでも言うべき鍛えられた肉体によく似合っている。
「まさかお前が遊びにつきあうとは思わなかったぞ」
「何をおっしゃるのですか!アインズ様のお誘いを断る者などいませんよ。楽しませていただいております。紅蓮も行きたいというそぶりを見せておりましたが、さすがに紅蓮に来られると大惨事が予想されましたので遠慮してもらいました」
「そうだったのか。では、紅蓮にはこの埋め合わせをせねばならないな」
セバス―――
サーフパンツが意外と似合っている。
デミウルゴスとはまた違った鍛えられた肉体がうらやましい。
「まさかお前が遊びにつきあうとは思わなかったぞ」
「アインズ様のお誘いとあれば参加するのは当然のことでございます」
「そうか。楽しんでいるか?」
「はい。このような遊びもたまには良いものでございますね」
パンドラズ・アクター―――
驚いたことにアインズと全く同じセットアイテムを身につけていた。
「お前、それはどうしたんだ?」
「エクレアにち・・・モモンガ様が先日このような格好をなさっていたと伺ったので探してみましたら宝物殿にございました!」
「そうか・・・」
一般メイド達―――
全員おそろいの大人っぽいワンピースタイプにパレオだ。パレオの巻き方に個性が出ている。
「皆、よく似合っているぞ」
「「「ありがとうございます!アインズ様とご一緒できるなど望外の喜びです!!!」
エクレア――――
湖の時と同じくネクタイを外したのみで変わらない。
「お前も参加したのだな」
「はい。この私の華麗な泳ぎを披露したく思いましたものですから」
しかしエクレアの泳ぎ方は周囲に迷惑だったのでつまみ出され、遠くに追いやられた・・・
アルベド―――
アインズがいくつか提示した中から選んだのはやはりと言うべきか大胆なビキニだ。
「アルベド、よく似合っているぞ」
「ありがとうございます、モモンガ様」
アルベドは10回全てに統括として、などと理由をつけて参加していた。最も多忙なはずなのにどう時間のやりくりをしたのか。
ちなみに10回とも全て違う水着を披露していた。
さすがのアインズも10回全てに参加というのにはどん引きだったが、己が設定をゆがめたせいというのもあり、強く注意するのもはばかられ、できるだけアルベド以外に接するようにしていた。
「アルベド、さすがにそれはずるすぎるんじゃない?そもそも水遊びを最初にお願いしたのはあたし達なのにさ」
「そうでありんす。アルベドだけずるいでありんす!」
「あわわわ・・・・」
「ふぅ・・・アルベド、さすがに10回全てというのはどうかと思うがね?」
「特権ノ乱用ハ良クナイノデハナイカ?」
「さすがのアインズ様もさ、あきれたんじゃない?だって、アルベドには全然話しかけてなかったもんね、アインズ様」
「アインズ様は慈悲深く公正な御方。全ての者達に気を配っていらっしゃったのではないでしょうか」
「皆の言う通りね、ごめんなさい。皆の時間を調整している時につい魔が差してしまって・・・」
「とりあえずさ、アインズ様に謝った方がいいんじゃない?」
「そうね、モモンガ様に謝罪するわ」
アルベドに謝罪されたアインズは――
「謝罪は受け取ろう。だが、謝るべきは私にではなく、皆にではないか?お前はそのように苦言を呈してくれる同僚、いや仲間がいることに感謝せねばならないぞ」
アルベドは一人一人に謝罪し、またアウラ達に感謝を伝えたそうだ。
アルベドの暴走はあったが、多くの者に慰労ができたようでアインズはこの水遊びのイベントに満足していた。また同じような遊びをしても良いかもしれない。
―――ナザリック第九階層 副料理長のショットバー
「いらっしゃい」
「失礼致します」
入ってきたのはパンドラズ・アクターだ。
「こちらに先日ち・・・モモンガ様がいらっしゃったとお伺いしたのですが」
「はい。いらっしゃいました。エクレアと一緒に」
「モモンガ様がおかけになったのはどちらですか?」
「こちらです」
「なるほど・・・」
パンドラズ・アクターはカウンターチェアーをそれこそ上下左右あらゆる方向から眺める。副料理長――マスターは戸惑う。
「失礼致しました。どのようにおかけになっていらっしゃったのかと想像してしまいました」
「いえ」
アインズが座った座席の隣に腰掛けると今度は左右を見渡す。
「ふむ、なるほど・・・」
「どうされました?」
「いえ、失礼。こういった場所のマナーに慣れておりませぬもので。では、モモンガ様がご覧になったカクテルをお願いできますか?」
「畏まりました」
手際よく二つのカクテルを作っていく。「ナザリック」に関しては「アインズ様がご覧になったナザリック」を頼む者が多くいる為改良が滞っていた。完成したものには「ナザリック改」とか別の名前を付けねばならないかもしれない。もちろん完成の目処は立ってはいないのであるが。
「お待たせ致しました。オリジナルカクテル、ナザリック、そしてラバフローでございます」
「おぉ!これが・・・!確かに二つとも美しいですね」
パンドラズ・アクターが二つのカクテルの見た目を楽しんでいると、来客のベルがなり、デミウルゴスが入ってきた。
「おや、パンドラズ・アクター、君がここにいるのは珍しいね」
「先日ち・・・モモンガ様がこちらにいらっしゃったと伺いましたのでどのようなところで、どのようなカクテルかと興味がわきまして」
「そうか。そのカクテルはつい私も毎回注文してしまうね」
そうして常連が一人増えたそうな。
なかなか苦戦しました。
私としては二話分書いた気分です。
・デミウルゴスとコキュートスがアインズ様に気付かないのはアインズ様が探知阻害の指輪を使用しているからです
・座席うんぬんは適当かつねつ造です。エクレアやデミウルゴスが普段どこに座っているのかとか知りませんし。心理テストっぽいのも適当です。
・ラバフローの解釈(?)も私の思いつきです。実際がどうなのかは知りません。私はお酒飲まないので・・・・・バーの感じも間違っていたらすみません。
・エクレアが泳げるかどうかはわからないので独自設定です。
・なざぶ~んはoh!のデミウルゴスの妄想(?)の産物ですが、あることにしました。
・皆様の水着はアウラ以外は独自設定(?)です。プレアデスについてはオバマスでイベントがありましたので描写しませんでした。
・エクレアとアインズ様、ピッキーとアインズ様の会話は原作で未登場のため、言葉遣いは現時点ではねつ造設定です。今後原作に登場し、言葉遣いが異なる場合は訂正致します。
※エクレアと一般メイドのエピソードを少しだけ追加しました。書き漏れていました。失礼致しました。
※誤字報告につきまして:オリジナルカクテル、ナザリックについての説明箇所に誤字報告(提案?)をいただいたのですが、あれは原作書籍版4巻にある説明を少し変えたものですので、そのままとさせていただきます。ご容赦下さい。
タイトルはどうしたらいいでしょうか
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今のタイトルの(仮題)を外す
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一瞬だけ使用した「感謝と慰労」にする
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まだ(仮題)のままにしておく