アインズ様がNPCに感謝を伝えて慰労しようとする話(仮題)   作:冥﨑梓

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5.一人反省会、そして・・・

自室に転移したアインズは、天井に張り付く八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)にしばらく邪魔しないように伝え寝室に入る。

鍵をかけ、複数の魔法を唱えて万全の態勢を整えたと判断したアインズは、ベッドにダイブしようとし、インベントリにしまおうとスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンに目をやる。

そこで、ハッと気がついた。

 

(しまった。あの玉座の間では立ちっぱなしじゃないか。交流を深めるのに立ち話はないよな。食事が出来る者はやっぱり会食しながらがいいよな)

 

今から玉座の間に戻るのもカッコ悪い。ここは<伝言(メッセージ)>だ。

 

「オーレオール・オメガ」

『はい、アインズ様』

「邪魔をしてすまないな」

『何をおっしゃるのですか』

「そこではゆっくり話すのは難しいだろう。スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンは私が持っているので今暫くは預かる必要はないからな。場所を変えてお茶会などをして交流を深めるがいい」

『畏まりました。ご厚情に感謝致します』

 

これでいいだろう。他の者達についてはプレイアデスの動きから察してもらおう。

今度こそスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンをインベントリにしまい、ベッドにダイブする。

ふかふかのベッドはアインズを優しく受け止めてくれた。

顔を枕に埋め、深呼吸のまねごとをすると鼻腔を落ち着く香りがくすぐる。

 

(はぁ緊張した。やっぱりこの香りは落ち着くなぁ)

 

暫くごろごろと転がり童心に返ると、玉座の間での出来事を思い返す。

 

(いつも主にデミウルゴスに変な誤解や深読みをされているけど、今回はそういう変な誤解をされるような事は言ってないよな?なんかみんな号泣してたけど、なんでだったんだろう・・・悪い感情からではないと思うけど・・・)

 

ごく当たり前のことを言っただけのつもりのアインズにはNPC達の反応が理解できていない。

感謝の気持ちと、子供のように思っていることは伝えられたはずだ。世界征服に突っ走らないようにもできたと思いたい。

 

(さっき玉座の間の外で聞こえたすごい音はいったい何だったんだろう・・・社長が去って社員だけになった開放感でひゃっほ~って叫んでジャンプしたとか?)

 

先ほどまでのNPC達の反応を見るとそんなことはないと思いたいが・・・。

煙たがられるのは悲しい。

いや、まだこれからだ。面談で改めて感謝の気持ちを伝え、親子のような関係になりたいのだと伝えてみる。

距離を縮める努力をするのだ。

改めて決意をしたアインズは、今日来られなかったNPC達に会いに行く事にする。

寝室を出て八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)に伝えた後指輪を使って転移する。

 

まずは第七階層だ。

 

「紅蓮」

 

溶岩の川から紅蓮が姿を見せる。どうやら敬服の姿勢を取っているようだ。

 

「今日は玉座の間に喚べなくてすまなかったな。玉座の間に喚べなかった者、来られなかった者にはこうして個別に私が訪問して玉座の間で何を話したかを伝えることにしたのだ」

 

なにやらぷるぷる震えている。怒りではないと思うが。

 

「私はお前達を創造してくれた仲間に深い感謝を抱いている。そしてお前達全員が健在であること、お前達が私やナザリックのために働いてくれていることにも本当に感謝している。本当にありがとう。心から感謝する」

 

玉座の間と同じように頭を下げる。十分に間を開けてから頭を上げ、紅蓮を観察すると微動だにしない。

 

「驚かせてしまったのならすまない。私の感謝の気持ちを伝えるのにはこうするしかなかったのだ。私の感謝の気持ちを受け取るのもまた忠義だと思ってもらいたい」

 

再びぷるぷるしだした。気持ちを受け取ってもらえたのだろうか。

 

「私の気持ちを受け取ってもらえたこと、感謝する。私は創造した側、お前達は創造された側という立場の違いはあるが、しかし私にとってお前達は仲間が創り残した子供のようなもの。私にとっても子供のように思っている。私はお前達皆を愛しているのだ。

今、皆が世界征服に向けて動いてくれている事をお前も知っていると思うが、これは手段であって目的ではないという事を理解してもらいたい。私の目的は私とお前達が永遠に幸福であり続けることだ。世界征服が成ってもお前達が損なわれては本末転倒だ。最も大切なものはお前達である。ゆえに必要であれば私は喜んで世界征服を取りやめよう。このことを心に留めおいて欲しい」

 

・・・なにやら溶けていないか?粘体種(スライム)なのに?大丈夫だろうか。

 

「その、大丈夫か?・・・そうか、お前が問題ないのなら私は構わない。さて、私はお前に感謝をしていると言ったな。そこで何かその労苦をいたわる為に褒美を与えたいと思ったのだが、何か望みはあるか?」

 

どうやら否定しているようだ。

 

「そうか。私も残念ながらお前の働きに対する適切な褒美が思いつけなかった。そこで全員と一対一の面談をすることにしたのだ。今日はまだこれから他の者のところにも行かねばならぬ故ゆっくり話す事はできないが、また時間をとってゆっくりと話したい。・・・通訳が必要だろうか。お前の言いたいことをはっきりと理解してやれなくてすまないな。お前がレポートを書くことができるのならば、私のこと以外で幸せと感じたことについて、そして休日や休憩時間の過ごし方についてを書いてもらいたい。そしてアルベドか私に渡してくれ。デミウルゴスでも構わない。期限は一ヶ月だが、お前についてはレポートが提出出来なくても問題ない」

 

細かく震えている。粘体種(スライム)との会話方法についてソリュシャンにでも聞いてみるべきだろうか。上司であるデミウルゴスは意思疎通ができているのだろうか。

 

「私の話は以上だ。ではまた会おう」

 

アインズが指輪を起動させて転移すると、残された紅蓮はついにぐずぐずと溶けたように崩れた。主人の前でみっともない姿はできないと必死に堪えていたのだ。回復するまでかなり時間がかかったらしい。

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

 

今日来られなかったNPC全員と話し終えたアインズは自室の前に戻ってくる。

 

『アインズ様』

「オーレオール・オメガか。どうしたのだ?」

『はい。桜花聖域に戻って参りましたのでご連絡致しました』

「そうか。ではそちらに行く故待っているが良い」

『本来なら私がお伺いするべき所を申し訳ございません』

「構わない」

 

第八階層に転移し、桜花聖域まで移動する。

オーレオール・オメガがシモベと共に跪き待っていた。

 

「待たせて済まないな」

「何をおっしゃるのですか」

「うむ、ご苦労。さて、立つがいい。十分に姉たちと交流を深められたか?」

「はい。本当に楽しいひとときを過ごすことが出来ました。ありがとうございました。ご厚情に姉妹共々感謝しております」

「・・・寂しいな」

「アインズ様?」

「私はお前達を子供のように思っていると言ったであろう。子供たちの幸せのために親が行動するのは当然のことではないか。そのように距離を取られるとな。もちろんお前達が私に感謝してくれているのはわかっているが・・・」

「お義父様、ありがとうございます」

「・・・」

 

不意打ちだ。胸を打ち抜かれたように息ができなかった。むろんアインズは元々息などしていないが。

 

「ふふ。嬉しい言葉だ。徐々にで構わないのでな、打ち解けられれば嬉しい。またこのような時間が取れるようにしよう。私がナザリックにいる間はスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンは預かれるしな。転移門の監視もあるが・・・お前が適切な休日や休憩時間が取れるように配慮しよう。遠慮無く言ってくれ。アルベドにも言っておこう」

「畏まりました。度重なるご配慮に感謝致します」

「ふむ。まぁ少しずつ、だな。さて、それではしばらくこれの管理を頼むぞ」

 

インベントリからスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを取り出し、オーレオール・オメガに渡す。

 

「ではまたな」

「はい」

 

アインズが指輪を起動し転移する。

 

「ふふ、ありがとうございます、私たちのお義父様」

 

オーレオール・オメガはスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを恭しく捧げながら深く頭を下げた。その顔には静かな微笑みが浮かんでいた。

 

 


 

数日後――

 

執務の最後にアルベドが数枚の手紙を取り出す。

 

「それはもしかして」

「はい。ご賢察の通りです」

「早いな」

「ちょうど休日があった者達が書いたようです」

「そうか。では後でじっくり読ませてもらおう」

 

アルベド達が去るとアインズはメイド達に威厳をもって告げる。

 

「このレポートをじっくり読みたいのでな。暫く一人にするように」

「畏まりました」

 

アインズは寝室に入りドアをしっかり閉めると、ため息の真似事をする。

 

「はぁ。これはいい口実だな。これで暫くは一人になれる時間が増えるぞ」

 

もちろんレポートはしっかり読むが他にも一人でなければできないことはいっぱいある。

メイド達の隙を突くのも大変だ。これで一ヶ月は安泰だろう。

レポートが入った封筒には「アインズ・ウール・ゴウン様 親展」などと書いてある。

まずはじっくり読むことにした。

 

 


 

さらに数日後―――

今度は執務室に入ってきたエルダー・リッチがなにやら大きな箱を抱えている。

まさか―――

 

「はい。この、私の分を含めこれで全員分でございます」

 

アルベドは「愛するモモンガ様 親展」と書かれた封筒を差し出した。

 

「もう全員分揃ったのか。あれからまだ一週間と経っていないのに」

「はい。先日のモモンガ様のお話に感銘を受けた者達が必死になって幸せについて考えて書いたようです」

「ということは幸せについて『ない』という回答はない、ということだな。それは喜ばしい事だ」

「実際の内容については確認しておりませんので、モモンガ様にご満足いただけるレポートになっているかはわかりませんが・・・」

「私はお前達の素直な気持ちが知りたいのだ。それにこれはあくまで面談のための前準備に過ぎない。さほど構える必要はなかったのだがな。私の言葉がまたもや足りなかったようだな。すまない」

「何をおっしゃるのですか。モモンガ様のお気持ちを察することができなかった愚かな私をお許し下さい」

「アルベド。デミウルゴスにも言ったがお前は智者として創られたのだ。おのれを愚かと言ってはならない。ふむ。どちらも悪くはなかった、ということでどうだ?」

「畏まりました。それがモモンガ様のお望みならば」

「さて、それで面談なのだがな。お前を含め守護者達の面談は恐らく最後の方になると思う」

「畏まりました。・・・なるほど。やはり、そういう事でございましたか」

「ん?」

「先日のモモンガ様のお話の後に私たちで話していた時に、モモンガ様の真の目的からすると私たちが最後になるという予測をしておりましたので、それが当たって嬉しかったのでございます。失礼の段、お許し下さい」

「何も失礼なことはないぞ。ふふ、やはりお前達には見抜かれてしまったな」

「私たちが理解出来たのはごく一部だとは思いますが」

「そのような事はないぞ。さすがだな」

 

(真の目的って何だよ!?そしてついまたいつものパターンにしてしまった!どうするんだよ、俺!)

 

また未来の自分に丸投げだ。面談でうまく誤解が解けるといいのだが。

 

 


――一ヶ月後

 

皆が思ったよりもしっかりレポートを書いていたのでじっくり読むのにも時間がかかってしまった。

さて、では面談を始めるとするか。

まず一人目は―――

 

 




なぜかオーレオール・オメガがいっぱい。
しかし面談のお話は全く思いつけません。
彼女の趣味ってなんですかね?休日や休憩はあるのでしょうか?

紅蓮は完全なるねつ造で。男性か女性かもわからない感じだったのでしゃべれないと思っているのですが。

次から面談編(?)に入るのですが、私がアップした順番にアインズ様が面談した、というわけではありません。
私が書けた人からアップします。

タイトルはどうしたらいいでしょうか

  • 今のタイトルの(仮題)を外す
  • 一瞬だけ使用した「感謝と慰労」にする
  • まだ(仮題)のままにしておく

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