アインズ様がNPCに感謝を伝えて慰労しようとする話(仮題)   作:冥﨑梓

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2.アルベド

「どうだアルベド、落ち着いたか?」

「はい、見苦しい姿をお見せし申し訳ありませんでした」

 

あれから、ついうっかりと

「アルベド、今まで辛い思いをさせたなら悪かったな」

と言ってしまったばかりにアルベドを泣かせてしまい、ハンカチで涙をふきつつ、頭を撫でたりと宥めていたがようやく治まったようだ。

人払いをしていてよかった、と思う。

今回人払いをしたのはこの話をする為ではなく、仲間の捜索隊が皆には秘密であったからだが、結果的に情けない姿を見せずにすんだ。

二人きりになると万が一アルベドが暴走した場合に対処できない為、その場を動かないように誓わせた訳だが。

 

(やはり俺には女心はわからん。女性陣がいたら叱られている所だな。女心についても勉強が必要か?アルベドに教えを請うのは何か違う方向にいきそうだし、シャルティアも同じことだろう。アウラはまだ子供だしな。メイド達やプレアデスもなんか勘違いされそうだな。ここはペストーニャにでも教えを請うか。だがどう言えば良いのだろう。まあいい。とりあえず今後の課題としておこう)

 

未来の自分に丸投げだ。NPC達との関係性が変われば解決するかもしれない。

 

「さて、いつものはどうする?あれは別に急ぎではないから明日でも構わないぞ?」

「いえ、もう大丈夫でございます。せっかくのモモンガ様との共同作業、是非やらせてくださいませ」

「わかった。では皆を呼び戻すのでしばし待て。それから私の呼び名については皆を集めた時に話すのでそれまではいつも通りで頼む」

「畏まりました」

 

……

………

 

主人の部屋を辞したアルベドはエルダーリッチ達に次の仕事を指示した後一度自室に戻ることにした。

主人の命令に対処するためには各方面に連絡や調整が必要になるが、その前に一度心を落ち着かせる必要があった。

自室に戻り、鍵をかけ、ドレスルーム――通称「ハーレム部屋」に入り、軽く跳躍してパタパタと翼を可愛らしくはためかせ速度を落としながら、多数の抱き枕とぬいぐるみの中にダイブする。それは見事なダイブであった。

多数のアインズ――モモンガ様抱き枕やモモンガ様ぬいぐるみ達が優しくアルベドを受け止める。

 

「くふふふふー」

 

まるでモモンガ様に抱かれているような心地だ。

 

「くふふふふ。まさかこんなに早くモモンガ様、と直接お名前をお呼びする機会が訪れるなんて」

 

さすがは愛しい旦那様だ。だが、喜ばしい事ばかりではない。

モモンガ様もおっしゃっていたが不快な者どもが今この世界にいる可能性は限りなく低い。

しかし、六大神、八欲王、十三英雄、口だけの賢者などユグドラシルのプレーヤーと思しき軌跡は数々見受けられる。

時期も600年前、500年前、200年前とばらばらだ。もしかしたらこれから来るかもしれない。

捜索隊が解散になった以上いち早く見つけるのは困難だ。

のこのこと不快な者どもが戻ってきた時に対処するにも(ルベド)の指揮権を失ったのは痛い。が、この決定が覆されることはないだろう。

モモンガ様は慈悲深い。別にアルベドを困らせようと思っての決定ではないのは確かだ。今ある手札で対応ができるようにしていくしかないだろう。

 

この世界に転移した当初、モモンガ様にとって我々NPCよりもあの者たちの方が大切であったのは確かだ。

それも当然だ。ユグドラシル時代、我々NPCは残念ながら何のお役にも立てなかったのだから。

しかし現在ではおそらく我々NPCの存在はあの者どもと同じくらいには少なくともなっている。

このままお役に立ち、宝石箱を捧げる事ができれば上回ることも可能であろう。

 

「ああ、モモンガ様、必ずやあなた様にこの美しい世界を捧げてみせます。この世界はあなた様一人だけのもの。ですからなにとぞこの身にご慈悲を――」

 

 

 

 

 


――数週間後

 

「アインズ様、先日ご命令をいただきました件ですが、来週にも全NPCを集めることが可能です。いかがなさいますか?」

 

(え~!?もうできるの!?あれから1ヶ月と経ってないよ!?)

 

「アルベド。私が3ヶ月の期間を与えたのは万が一の事態にも万全の体制を整える必要があると思ったからなのだがその辺りは問題ないのだな?」

「はい。アインズ様には以前よりシモベへの仕事の割り振りを指示されておりましたので、それをさらにいっそう進め、アインズ様に新に創造いただいたアンデッドの協力もあり、万全の体制が整えられました」

「そうか、さすがはアルベドだな。では来週でよろしく頼む」

「畏まりました」

 

実のところ中位アンデッドは余ってきているため何を創ろうか毎回悩んでいたのだが、アルベドに指示されて助かったのは事実だ。アルベドには仕事を投げすぎているし、何かと頼りっぱなしで頭が上がらない。何か褒美を与えたいところだが、妙な方向にいきそうで踏み出せていないのが実情だ。これも今後解決できるといいのだが。




本当は「アルベドの思惑」としたかったのですが、アルベドは頭が良すぎて凡人の私にはわからなかったのでこのようになりました。
まだまだアルベドさんは変わりませんが今後変わっていくと思います。

タイトルはどうしたらいいでしょうか

  • 今のタイトルの(仮題)を外す
  • 一瞬だけ使用した「感謝と慰労」にする
  • まだ(仮題)のままにしておく

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