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新田さんの勝因・石井さんの敗因は

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富山2020.10.26 19:14

 KNBは北日本新聞と合同で、25日投票所で出口調査を行い、1541人から回答を得ました。その回答を分析すると見えてきた傾向があります。

 回答者の政党支持の内訳は、自民党支持が5割、支持政党がない無党派が3割でした。

 支持政党ごとにどの候補に投票したかをみると、新田さんは、推薦を得られなかった自民党の支持層の50%余りを獲得しています。文字通り保守分裂選挙で石井さんと支持を二分しました。

 そして支援を受けた維新に限らず、他の候補を支援した共産、国民民主、社民の支持者からも票を集めました。さらに無党派層の6割を取り込み幅広く支持を集めたことが勝因となりました。

 一方、年齢別では、新田さんが20代から70代以上まで石井さんを上回っています。

 知事選では5期目を目指した石井さんの多選の是非も争点となりました。出口調査の結果では、投票にあたり、この点を考慮した人は6割を占めました。

 そして新田さんに投票した人は、多選を考慮した人が考慮しなかった人を大きく上回り、多選批判の受け皿となったことがうかがえます。

 多選、そして年齢が当選へのハードルになったとみられる石井さんの25日夜の声です。

「残念ながら結果を出すことができませんでした。全ての責任はわたしにあります。誠に、不徳の致すところであり、皆さまに心からおわびを申し上げたいと存じます」

 そして新知事となる新田さんは日本海ガス社長として企業経営の経験はありますが行政運営の経験はありません。今後の県政はどう進めると考えられますか?

 新田さんは来月9日に知事に就任しますが、月末にはさっそく県議会の11月定例会が開会します。そこでの提案理由説明がいわば新知事の所信表明演説になります。知事として何を実現していくか、改めてビジョンと実行力が問われることになります。

 新田さんは選挙戦で、新型コロナウイルスの影響で痛手を負った県内経済の立て直しをすると力を込めました。さらに感染防止策や医療体制の充実など課題は山積しています。

 また、2023年春の開業が、工事の遅れで危ぶまれている北陸新幹線の福井県敦賀までの確実な整備など、県選出国会議員と連携して国と交渉していく力も必要です。28万票余りを寄せた県民の期待に応えるための取り組みが問われます。

 また今回の知事選で、自民党県連は現職の石井さんを推薦しました。自民党との向き合いはどうなのか、まずは県連幹部の声です。

 自民党県連 五十嵐務幹事長「富山を変えていこう、というたいへんわかりやすいキャッチフレーズで、中身がどうなのか、何を変えていくのか、何を変えていきたいのかということが、まったく我々には伝わらなかったけれども、ただ多くの有権者の方には本当に期待感を持たせるような言葉で、戦術だったのかなと。高齢批判、多選批判というようなですね、政策の中身よりもそいういったところで、一般の有権者の方が投票行動として現れたのかなというふうに思っています」

 これに対して新田さんはどう臨んでいきますか。

 自民党は県議会の最大会派である一方で、新田さんを支援した県議が別会派を作るなど、知事選をめぐってしこりが生じています。新田さんは当選後、「選挙が終わればノーサイド」と述べました。スムーズな県政運営のために、新田さん側と、自民党双方が努力することが必要だと思います。

 続いては、今回の知事選でそれぞれの候補を支援した県内各党に、新田氏当選への反応を聞きました。

 富山維新の会 吉田豊史代表「新田さんが県民党という立場で戦いたいと。改革を進めるにおいて私たちもそれが正しいと、感じたので維新としての主張、また県政においても、私たちの思いを受け止めてくれる力強いリーダーが生まれた。私たちとしても大きな可能性を感じています」

 公明党県本部 吉田勉代表「力及ばず、このような結果になったということに対してはまことに残念だと。公明党といたしましてはこの県民の民意を真摯に受け止めて県の発展のためにこれからもまた、しっかり尽力していきたいと思っています」

 国民民主党県連 橋本雅雄幹事長「国民民主党として、できる限りの支援をしましたが、結果は結果として受け止めなければならない、たいへん残念な思いをしています。これから県民のためにどんな政治をしていただけるのか、県政をしていただけるのか、そこをしっかりと見極めていかねばならない」

 社会民主党県連 菅沢裕明代表「劇的な結果だったと思います。県民生活重視の県政ということを県政の柱にしておりますので、県民の皆さんの利益のために、県政の発展のために、新しい知事との論争をたのしみにしています」

 共産党県委員会 上田俊彦委員長「自民党が歴史的な敗北を喫したと。県民がこういう選択をされたということは歓迎したい。私たちは川渕さんが言われたいのち第一、自己責任じゃなくて支えあう。そのために行政が責任を果たすことを新田さんには求めていきたい」

 現職の石井さんの県政は4期16年続きました。各政党とも、新たな知事とどう向き合っていくのか、関係を模索していくことになります。

 そして、低落傾向が続いていた知事選の投票率は今回、大幅に上昇しました。投票率は60.67パーセントで、知事選で過去最低だった前回4年前に比べ25ポイント余りも高くなりました。

 投票率をどう見ますか?

 知事選で投票率が50パーセントを上回ったのは1996年、衆議院選挙とのダブル選挙以来、実に24年ぶりです。

 保守分裂で保守系の選択肢が増えたことや、激しい選挙戦から県内有権者の関心が高くなりました。

 そして知事選の結果は今後の県政界にどんな影響を及ぼすと考えられますか。自民党県連としては、現職を推薦して敗れたわけで、執行部の責任を問う声が出てきそうです。

 先ほどお伝えした26日の役員会でも今後の対応を協議しました。

 今後の選挙への影響も考えられます。まず来年春には富山市長選挙があります。知事選で新田さんを支持した森市長は、次の選挙には立候補しないと表明しています。森市長の後継候補が注目される中、市長本人は後継を自ら選ぶとしています。一方で立候補に意欲を示す動きもあり、知事選での支援で分裂した保守の陣営が再び分裂という状況も考えられます。

 また、衆議院議員も残りの任期が1年を切っていますね。旧富山市をエリアとする富山1区選出の自民党・田畑裕明衆議院議員の後援会関係者には新田さんを支持した人も多く、県連との不協和音が懸念されます。自民党県連は、今後、執行部の統率力と結束力が問われることになります。

 最後に改めて、新知事として新田さんに何を求めますか。

 新田さんは選挙戦で「変えていこう」をスローガンに当選を果たしました。これは、新型コロナウイルス感染症で、閉塞感が漂うなか、県民が変化を期待したことの表れと言えます。

 知事に当選した今、その変化をどうやって具体化させていくのか、県庁職員や議会、そして我々県民に示し、実行していくことが必要です。それをもって新田さんが訴え続ける「ワンチーム」に、県民がなろうと思うのではないでしょうか。

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