<WithD> エースの矜持 刺さった言葉

2020年11月7日 05時00分 (11月7日 05時01分更新) 会員限定
 今風に表現すれば、心に「刺さる」言葉だった。2011年9月、吉見は勝った試合後、この日の調子を問われると、遮るように答えた。
 「1週間に一度、それ(先発)に合わせて調整している。調子どうこう言える立場ではない」
 そんな次元の違う質問はしてくれるな−。行間ににじむ大黒柱の強烈な矜持(きょうじ)に、胸を打たれた。
 このシーズン、リーグ最多の18勝を挙げ、球団史上初の連覇の原動力となる。出色は、わずか3の負け数。一人で15の勝ち越しをつくった。
 引退の報に栄光の1年の紙面をめくると、ある談話に目がくぎ付けとなった。8月5日、横浜(現DeNA)戦。2−3で敗れ5位に転落。吉見の9回、148球の熱投は報われず、3失点で負け投手となった。序盤に右手の指から出血。耐えて、粘った。
 「何が十分。負けた投手だぜ。勝ち負けでやってんだって。負けた投手を絶賛するのはおかしくないか。1点も取れなければ、1点もやらなきゃいい。ゲームをつくったって、負けたら一緒」
 当時の落合監督は一刀両断した。失点しなければ勝てなくても、負けることはない。守りに突き付けた高い、高い要求。一読しただけで脂汗が伝いそうな極限下で、...

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