スレイン法国……
その中心に位置する神殿の地下室にて二人は武器を打ち合っていた。
金属の甲高い音だけが響き渡る。
大剣を振るう『闇の神』人間スルシャーナ。それと対峙する女である『光の神』である。
「痛ぇ!」
「大丈夫か?」
「うわぁ……怪我したわ。無いわ……」
そう言って女は自身の手の甲から出る血を舐めた。
「怪我させてしまってすまない。ポーションいるか?」
「えぇ。しかし随分と激しくするのね?」
誤解を招く表現をしているが、あくまで戦闘だ。性的な何かという訳では無い。
「それにしてもどうしたの?いきなり鍛錬に付き合ってくれだなんて?」
「あぁ。実はな……。他のプレイヤーを探そうと思っている」
「四人はなんて?」
「あいつらは乗り気ではない。この異世界に来てまでプレイヤーとの付き合いは持ちたくはないようだ」
「成程ね……。でもどうして?プレイヤーを探すの?欲しい世界級アイテムでもあるの?」
「あぁ。これだけは所有しておきたいアイテムがある。正確には……信用できる相手が所有している分ならいいんだが」
「?……何それ?【
「【ホーリーグレイル】だ」
「あのアイテムの効果は確か……回復系だったはずよね?何故それを欲しがるの?」
「【竜帝】から聞いた【始原の魔法】の情報が嘘でないのならば、それに対応する世界級アイテムもあるはずだ」
「もしかして『始原回復』のこと?」
「あぁ。あの魔法は効果を失った【世界級アイテム】の効果を回復……正確には回帰することが出来る」
「ちょっと待って!じゃあもしかしてそれを使えば!」
「あぁ。【20】すらも回帰することが出来るかもしれない」
「それは放っておけないわね」
「だろ?何より……」
「この世界の住民の為に『神』としてやれることはやっておこうと思うからな」
「……貴方変わったわね」
「そうか?」
「えぇ。そうよ。『あの子』が死んでからの貴方とは大違いよ」
「……そうかもな」
「ごめん。言い過ぎた。リアルでのことは……」
「いや、いいんだ。もう終わったことだ……」
「……(嘘つき。あの子に似せたNPCの彼女を作成したじゃない。まだ引きずっているじゃない)」
「もう一回いいか?」
「何度でも付き合うわよ。スル」
◇◇◇◇
◇◇◇◇
◇◇◇◇
『光の神』はスルシャーナとの鍛錬を終えると神殿を後にした。
「神様、今お時間よろしいでしょうか?治安維持についてお尋ねしたくてですね…」
「えっ…あぁ。いいわよ。どうしたの?」
『光の神』は額を拭う。汗を掻いたからだ。
(気持ち悪い。後で水浴びしよっと!)
「神様!怪我されているではありませんか?」
「あぁ…これ?」
額から流れる青い血を見て神官は思わず見開いた。
「!?」
「あっ、ごめんね。びっくりしたでしょう?」
「い……いえ、貴方方、【六大神】様は我々とは異なり特別な存在!流れる血の色など関係ありません!」
(震えているじゃない……彼らの言う信仰とやらも大したことないわね)
「知ってた?【神の血】は青いのよ」
「おい!いい加減にしろ!下らない冗談はよせ」
「ごめんね。スル!怒っちゃった?」
「……お前のそういう所、いい加減に直せ!その身体の【性別】に精神が引っ張られていないか?」
「あっ、うん……そうよ。相変わらず鋭いわね」
(仕方ないじゃない!やっと女になれたんだから♪)
(神の血は青い、神の血は青い、神の血は青い!全てを脳裏に刻み込まねば!)
神官は自身の持つ羊皮紙にそれらを書き込んだ。
『光の神』
【六大神】の一柱。別称は【生】の神。
プレイヤー名『あらあらうふふ』。
種族は人間……ではない。
『神の血が青い』と広めた張本人。
ネカマのワールドチャンピオン。
女性になりたい『変身願望』を持った男性がプレイヤー。
ホムンクルスを選択したのも外装が人間種同様にいじりやすいため、それと人間でない存在になりたいという『変身願望』からくるものであるため異形種を選択した経緯を持つ。彼女?の存在によりユグドラシルでホムンクルスは「何故異形種なのか?」と疑問に思われることになる。
合計Lv100
種族Lv1 職業Lv99
ワールドチャンピオン Lv5
その他96
→ホムンクルスは人間とは体液の色が違うらしいので「こういう可能性もあるかな?」と思って書きました。