【独自】「公営ギャンブルは必要悪ではなく害悪」 横浜市がカジノ関連発言をHP動画から削除
2020年11月7日 05時50分
横浜市が、林文子市長が意欲を示すオペラやバレエを主体とする劇場の整備を巡り設置した有識者会議の様子を記録した動画をホームページに公開した際、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)に関連した委員の発言を削除したことが分かった。議事録からも削除する方針。市幹部は「市民を刺激する可能性があった」と説明するが、発言した委員は「残念だ」としている。(丸山耀平)
◆劇場巡る有識者会議で神戸大院教授 削除に「残念」
市はIR誘致を目指しているが、誘致の是非を問う住民投票や林市長のリコール(解職請求)を求める住民運動が起きている。
発言があったのは10月26日に開かれた「横浜市新たな劇場整備検討委員会基本計画・管理運営検討合同部会」。委員の藤野一夫神戸大大学院教授が「ちょっと空気を読めない発言になってしまうかもしれないが、例えばIRのようなものよりはるかに劇場は人間的なプロジェクトだと思う」「民主主義的な考え方、行動が十分根付いた成熟した社会にとって公営ギャンブルは必要悪ではなく害悪」と述べた。
しかし、今月5日に市のホームページで公開された会議の動画からは、この部分が削除された。藤野教授の発言を受け、委員長の「IRが公営ギャンブルかどうか私には分からない」との発言部分も削除。市によると、次回の部会後に公開する議事録でも、この部分を削除するという。
◆市幹部「市民を刺激する可能性。隠す趣旨ではない」
市劇場計画部の服部敬久部長は「公営ギャンブルの是非を問う私的意見で、劇場整備の議論の場にふさわしくない。IRは市内で争点になっており市民を刺激する可能性があり、そうなると委員の本意ではない。隠す趣旨ではない」と説明。「委員の同意を取り削除した」と話した。
藤野教授は東京新聞の取材に、自らの発言について「長年、劇場と街づくりの関わりを考えてきた立場として、なぜ新たな劇場が横浜に必要かを倫理的かつ論理的に説明した」と述べた。削除には同意したものの「残念だった。(委員会が)多様な意見を持っている集まりだと市民に分かってもらうため、市には寛容さが必要ではないか」と語った。
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