Pimax 8KXレビューその3=ハード編(前編)

Pimax 8KXレビュー

 Pimax 8KXレビューその3は、ハード編です。水平170°の圧倒的に広い視野角FOVと、片目4Kネイティブの史上最高の解像度、スクリーンドアエフェクトSDEが大っ嫌いなミロドンでも文句がないほど小さくなったSDEを実現したハードの特徴について見ていきます。

サマリー

  Pimax8KXは、コンシューマー用としては、現在最高の解像度と視野角(FOV)を誇るハイエンドのVRヘッドセットです。値段も、本体のみで1299USドル、Pimax公式国内価格160500円と最高です。

Pimax 8KXの2大特徴

 Pimax 8KXの最大の特徴は、2つあります。

第1で最大の特徴は、水平170°の圧倒的に大きな視野角FOVです。

 Pimax 8K/5Kシリーズの見かけのFOVは、3段階に切り替えができ、Pimaxの公称値が、ラージで水平170°、ノーマルで150°、スモールで130°です。ほかに、おまけでポテト110°というのもあります。ポテトは、実用ではなく、Pimaxが他のFOV100°前後のヘッドセットよりどれだけ凄いかをデモして見せるための設定です。

 コンシューマー用の他のヘッドセットのFOVは、ほとんどが公称約100~110°です。Indexが最大で120~130°と言われていますが、Pimaxのスモールより小さいですし、Pimaxの170°は他を圧倒しています。コンシューマー用としては、唯一の高視野角ヘッドセットです。

第2の特徴は、片目4Kネイティブ(3840×2160)、両目で7680×2160のコンシューマ用としては最大の解像度です。

 Pimax 8KXは、片目4K(3840×2160)、液晶LCD、RGBストライプ配列です。コンシューマ用としては最大の解像度を誇っています。今までのどのヘッドセットよりも高精細で、次元が違う描写性能を見せてくれます。

 HP Reverbは、片目2160×2160なので、解像度はPimax 8KXと同等ですが、8KXのパネルの面積はReverbのほぼ2倍です。

 液晶LCD、RGBストライプ配列で片目1440×1600のValve Indexや1440×1700のsumsung Odeseyと比べてもずっと高精細で、SDEが顕著に小さくなります。

 縦の解像度が1440PのストライプLCDである、Pimax 5K+、WMR、Oculus Rift-Sや、1600PのペンタイルOLEDであるVIVE Pro、オデッセイ、Oculus Questとはまったく 別次元の高精細で鮮明な解像度であり、SDEは比較にならないほど小さくなります。

 SDEは、本当に小さく、大抵の場合ほとんど気にならないレベルになっています。明るいシーンや、空などの明るい単色が広がっている所、単色で明るい色のオブジェクトや人物モデルなどには、SDEがはっきり見えますが、濃い色や細かいテクスチャーで距離が近いオブジェクトの場合は、SDEが大っ嫌いなミロドンが一生懸命探してもても見えないほどです。
 SDEが大っ嫌いなミロドンにとっても、現時点ではこれ以上SDEを問題にする必要がないと言って良いレベルに到達しています。

見えなかった世界が見える、次元が違う新しい世界が広がる

 Pimax 8Kは、高精細で鮮鋭な物凄く美しい世界を見せてくれます。Pimaxの広い視野角(FOV)は、他のヘッドセットの双眼鏡を逆さにのぞいたような狭さではなく、周りのシーンによって取り囲まれたて、世界の中にいるという感覚が強くなります。Pimax 8KXは、VRのビジュアルな世界を、新しい次のレベルに押し上げたと言って良いでしょう。

 Pimax 8KXの高精細さは、今までは見えなかった細部やディテールを見せてくれます。ディテールが見えなかったため、意識の中では今までそこに存在しなかった物を、そこにあったと気づかせてくれると言ったほうが良いかもしれません。

 今まで見ることも意識することも出来なかった細部が見えることと相まって、Pimax 8KXno広い視野によって、今までのヘッドセットでは、80~90°の視野の中心に意識が集中するため見る事が出来なかった、世界の大きな全体像が見えるようになります。

エポック

 8KXがSMAS(スタンダート・モジュラー・オーディオ・ストラップ)をセットして出荷されたことは、Pimaxにとって一つのエポックを画したと言えるでしょう。

 ヘッドセットとして完成した形になって、やっと、普通に人様にお勧めできる品物になったと、ミロドンは感無量です。

 時代遅れな布バンドのストラップや、Viveからの借り物のDAS(デラックス・オーディオ・ストラップ)を3Dプリンターで出力したアダプターで無理やりくっつけるような代物を勧めることが出来る人は限られていましたから。

 Pimax 8KXは、正直言って、現状ではまだまだユーザー・アンフレンドリーなヘッドセットですが、アクセサリーの開発や、Pitoolの改良、Pimax VR Experience softwareの新導入などによって、少しづつ普通に使えるヘッドセットへ向けて進化しています。

 ミロドンがこうしたレビューなどを書いているのも、Pimaxがユーザーフレンドリーなヘッドセットになるのを少しでも助けて、誰でもが、Pimaxの広い視野角と最高の解像度による次元が異なる体験を経験できるようになってほしいと願っているためです。

エルゴノミックス

 エルゴノミクスとは、ハードウェアやソフトウェアなどを、快適で使いやすい道具にするための設計・デザイン、および、それに関する研究分野のことだそうです。
 モジュラー・オーディオ・ストラップが加わって、やっとヘッドセットとしての形が整ったPimax 8KXのエルゴノミクス・デザイン・設計について見てみましょう。

大きさ、重さ、形状

 本体の大きさは、幅280×高さ108×奥行136mmです。Pimax 8K/5Kシリーズの筐体は、全機種共通です。横にすごく長いのが特徴です。顔から横にはみ出す巨大さです。

 Samsungオデッセイが202 x 111 x 132mm、HTC Viveが190×115×120mm位ですから、幅が80~90mm大きくなります。ミロドンの顔の幅は、14cm位なので、両側にそれぞれ7cmはみ出していることになります。

Pimax5k+をかぶって驚いて見せるジャイアン鈴木さん(https://japanese.engadget.com/)大きな顔でもはみ出す!

 しかし、Pimaxは、直線で構成された細長い箱型のデザインで、箱の部分の高さは93mmしかなく(スペック表の高さ108mは、ストラップを通す膨らみを含んだ値です。)筐体を片手で簡単につかめます。Viveやオデッセイは、全体の高さが110~115mmあるゴロンとしたデザインで、手に余るのに比べて、取り回しがよくなります。

高さが小さいので、片手で掴めて扱いやすい

 重さは、8Kのストラップを含まない本体のみの重さが470gですので、大きな見かけにかかわらず、非常に軽くなっています。8KにVive用のDAS(デラックスオーディオストラップ)を着けると790g(ミロドン実測値、10の位で円めている。)、HTC ViveのDAS付が810g(実測値)ですから、初代Vive本体より20gほど軽いほどです。

 8KXは、DAS(デラックスオーディオストラップ)より大げさなカンフォートキットやストラップが付いているので、その分8Kより重くなっていると予想されます。

 そこで、料理用の2kg測定できる秤(誤差±3g)を持ち出して、実測してみました。結果は、標準モジュラーオーディオストラップ(SMAS)で、コードを除いた総重量が、なんと920g(実測値)でした。

 ちょっと~う!、何してくれちゃってんですよう!、Pimaxさん!! 8K+DASの790gより、130gも重くなっています。せっかく、8K/5Kシリーズの本体が軽いと力説してきたのに、台無しです。

 SMASと同じようなリジッドなストラップを付けたHTC Vive Proは、約770gで、HTC Vive+DASの810gより40g軽量化しているんですよ。Valve Indexは、750gで、Vive Proとほぼ同じです。Pimax 8KXは、Vive ProやIndexより、150~170gも重くなっています。

 他のヘッドセットは、オデッセイが650g(実測値)、HTC VIVE Cosmosは約665gです。

 Oculusは、もっと軽量です。Oculus Rift CV1がオーディオストラップ付で520g(実測値、ミロドンのは追加パッドを含むのでノーマルより重い)、Vive本体のみの490g(計算値)といい勝負です。CV1は、筐体が布で、昔の羽布張り飛行機と同じ作りで軽量化しています。Oculus Rift Sは560g、Oculus Questが570gです。

 Pimax 8KXは、コンシューマ用最大の重さで、見た目の通りに重いヘッドセットになってしまいました。

Pimax 8KX とQuest2がご対面 サイズは御覧の通り、重さは1.6倍です。

 でも、さほど心配する必要はありません。8K+DASより130g重くても、秤で測ってみるまで重さの違いに気が付かなかった程度の違いでしかありません。130g重いとわかっていて、両方を持ち比べてみても、すぐには違いが判らず、何度も比べてみて、やっぱり8KXの方が少し重いかなあと思う程度です。

 モジュラーオーディオストラップMASとフェイスパッド

 重量そのものよりも、8KXのSMASは、8K+DASより圧倒的に快適になっていることの方が重要です。

 ヘッドセットの重心は顔の前にありますから、しっかり固定しようとしてヘッドストラップを締めると頬骨にも重さがかかって不快になります。ところが、Pimax 8KXのSMASでは、頬に荷重がかからず、おでこ~頭頂部~うなじへと頭全体に重さが分散していて楽に装着できます。

 Pimaxは、重量増には目をつぶって、快適さを追求したようです。8KXのSMASの快適さは、8KX使用者のほとんどが絶賛しているので、Pimaxの狙いは成功しています。フォーラムなどでも、重さについて文句を言っている人がいませんから、重量増加は、実用上問題がないようです。

 では、Pimaxが何をやっているのか、考えてみましょう。

巨大なパッド

 8KXが重いのは、こいつらのせいです。前部には、額のパッドがレンズの開口部と同じぐらいある巨大なフェイスパッドとこれを付けるために巨大化したガスケットがあり、リアには後頭部から首筋までを覆う大きなパッドとそれを取り付ける頑丈なプラスチックのフレームがあります。

おでこが巨大なフェイスパッド
後頭部や首元を覆う巨大なリアパッド
後頭部の頑丈なプラスチックのフレームと締め付けダイアル

 何故、こんな巨大なパッドが必要なのか、ここにMASの快適さの秘密があります。

 赤線が8K+DAS、緑線が8KXのSMASです。
 DASのような耳の上で締め付けるストラップでは、顔より前に重心があるヘッドセットの荷重を頬骨で受けることになります。8KXのSMASでは、おでこの巨大パッドと後頭部と言うより首筋まで下げた後ろの巨大パッドで頭を挟み込んで固定することにより、ヘッドセットの荷重が頬にかからなくしています。
 この巨大パッドのおかげで、荷重が頭全体に分散する感じで楽になるのです。正直に言って、あまりスマートではないやり方ですし、その分、重さが増えてしまいましたが。 

締め付けの調節機構

 ヘッドセットの締め付け機構は、オーソドックスなダイヤル式です。後ろの黒いダイヤルを回すと、プラスチック製のサイドアームが後ろのプラスチックフレームの中に出入りして調節します。
 頭の上部の調節は、ベルクロ付きの頂部バンドで行います。

 サイドアームの真ん中の円いのは、スピーカーです。この角度から見ると、フェイスパッドを固定するガスケットの巨大さがよくわかります。

ノーズフラップ

 フェイスパッドを固定するガスケットの鼻の部分には、外部からの光を遮断するノーズフラップが付いています。ヘッドセットを被っていても、ノーズフラップがあることに気が付かないほど快適ですが、鼻の隙間から入る光を効果的に遮断します。小さな改良ですが、光の漏れがなくなるだけで、確かにイマージョンが大きく上がります。

本体スイッチ類とイルミネーション

 本体上面には、電源スイッチ(〇)とスピーカーの音量ボタン(△、▽)があります。

 電源スイッチは、ヘッドセットを接続したまま、しばらくの時間使わない時に電源を切れるので便利です。8Kでは、電源スイッチをOFFにして再度ONにすると、ヘッドセットを正しく認識せず、PitoolからHMDを再起動しなければならないエラーが頻発したのですが、8KXでは何の問題もなくON、OFFができます。

 スピーカーの音量ボタンは、ゲーム内で音量調節が出来ない時などに、簡単に音量が調整できて便利です。

 電源スイッチと音量ボタンの間に、小さなステータスLEDがあります。
 緑が正常動作中、赤が電源OFFまたはHDMIケーブルが未接続、パープルがPP=パラレルプロジェクション動作中、赤点滅が異常ありです。

 Pimax 本体前面のV字の飾りはLEDで、光ります。8KXでは、銀色になったので、日中は光っていることが分かりにくくなりました。8Kでは、青みがかった乳白色のプラスチックです。緑、青、ブルーグリーンにPitool上で変更できます。 

シリアルナンバー

 シリアルナンバーは、本体下面のシールに書いてあります。配達用の箱のラベルにもあります。

 シリアルナンバーは、SNの後の14桁の数字です。機種とリビジョン、製造年と週、製造番号からなります。Pimaxには、地雷リビジョンがあるので、中古を買うときにはシリアル番号でリビジョンと製造時期を確認した方がよいでしょう。読み方は、下の通りです。

Pimax 8K SN: 200004 8 29 00001

  • 200004 は、内部コードで、機種とそのリビジョンを示します。
  • 8 は、製造年です。( 2018=8、2019=9、2020は0ではなくて2の様です )
  • 29 は、製造週で、このヘッドセットは 2018年の第29週に製造されたことを示します。
  • 00001 は、製造番号です。その週の製造何番目かを示す様です。

 機種コードが判っているのは、200=8K、201=5KXR、202~204=5K+、205=不明(ARTISANか、5K+用リザーブか?)、206=8K+、207=8KXです。
 例えば、206=8K+の中でも、2062、2063、 2066など、細かいリビジョンがあります。

IPD調整

 Pimax 8KXのIPD調整は、ダイヤルによる物理的調整機構と、Pitool内のソフト調整機構の2段構えです。併用すると、カタログ値の55~75mm以上の範囲でIPDを設定できます。

 IPD調整ダイヤルは、本体後面右下にあります。60~70mmの範囲で調整できます。

 ソフト調整は、Pitool内の「設置」タブから「HMD」を選択します。「IPDオフセット」のバーを左右に動かして調整します。0.5刻みで、-10~+10まで動かせます。

 +10にすると調整ダイヤルを71~77mmの範囲で動かせるようになります。-10では、51~56mmの範囲です。-5で56~60mmと言うように、オフセット値を変えると、ダイヤルで調整できる範囲が変化します。前もって正確に測っておいた自分のIPDが、ダイヤルで調整できる範囲に入るようにオフセット値を設定するのが基本的な使い方です。

 こののようにすると、IPDがダイヤルだけで設定可能な60~70mmの範囲を超える人でも、IPDオフセットとダイヤルを併用すると、51~77mmの範囲でIPDを調整することが出来ます。カタログ値の設定範囲は55~75mmですが、この値は、正しく調整できることを保証できる範囲だと思います。

 また、鼻が大きくて、鼻がレンズに挟まれて痛たいという人は、IPDオフセットを利用して、レンズ間の距離を保ったままIPDを狭く設定することが出来ます。

 そのほか、レビューその1で紹介した、目の疲れを軽減する簡易調整などにも利用できます。

Pitoolが内部で何をしているかの説明が、次のリンクです。

PiTool IPD offset - how does it work
After reading some recent posts and realizing there has not been a proper coverage for the PiTool IPD offset feature, I decided to give it more thorough examina...

 このソフトでIPDを調整する機能は、8K/5K+が出た最初は着いていませんでした。8K/5Kシリーズは、レンズが大きいため、ダイヤルによる物理的な調整範囲が狭かったので、60~70mmの範囲を超える人たちからの要望を入れて追加した機能です。

 Pimaxは、ユーザーの声を聴いて、弱点を補う機能や、新しい機能を、次々に精力的に加えて、ヘッドセットを進化させています。

レンズと目の距離調整

 レンズと目の距離の調整機構が、Pimax 8KXにはありません。

 これは、本当に残念なことです。Indexは、「インデックス・アイレリーフ・メカニズム」と言う、麗々しい名前を付けたレンズと目の距離を調整する物理的な機構を持っています。物凄くうらやましいですね。

 Pimaxが設計時に想定した顔の形やサイズの範囲内の人は、ヘッドセットを被った途端に「わお、凄い」と言って、そのまま何もする必要がないのですが、その範囲から外れた顔を持っている人は、調整が必要になります。

 アイレリーフ(レンズの表面と最も近い目のポイント、通常角膜の表面との距離)は、人によって±6mm=12mmも違ってくるそうです。そして、アイレリーフが1mm違うと、FOVが3°も変わります。アイレリーフを適切に設定しないと、FOVが10°も20°も違ってくるということです。

 また、Pimaxは、2枚のスクリーンンパネルを10°傾斜して設置しているので、レンズと目の距離の設定により、FOVの大きさ、ディストーションの現れ方、IPDの設定=目の疲れや痛みなどや、その他の色々な要素が大きく変化します。しかも、それぞれが複雑に絡み合って変化したり、それぞれ勝手に変化してあちらを立てればこちらが立たずという状態になったり、最適な設定を見つけるのが、本当に大変です。

 ディストーションが大きいとか、目が疲れる・痛むとか不平を言っている人の大半は、レンズと目の距離の設定が不適切なためではないかと、ミロドンは疑っているぐらいです。

左薄型12mmのフェイスパッド、右厚型18mmのフェイスパッド

 Pimaxもその辺は、よく分かっていて、最初から何種類かのフェイスパッドを開発すると表明していたのですが、やっと、8KXから2種類のフェイスパッドを標準で付けるようになりました。 

 でも、この2種類でうまく行かない場合は、Pimaxはアイリリーフの調整機能が無いので、調整しようと思うと「楽しい工作教室」になります。

 パッドの厚さを段階的に変えてみて、FOVがどう変化するか、その時ディストーションはどうなるか、IPDの設定はどう変化するかとか。パッドの材質をスポンジにするかゴムにするか、布のカバーにパッドを入れるかとか、手作業で、試行錯誤しながら工作するしかないのです。

 こういう所では、8K/5Kシリーズは、本当に手間がかかるダメっ子ぶりを発揮してくれます。快適な体験をするためには、ここは頑張って納得がいくまで調整してください。
 ユーザーが、覚悟を決めて、ダメっ子をなだめすかして、手間暇を惜しまなければ、Pimax 8KXは、その恐ろしいほどのポテンシャルを見せてくれます。

 でも、Indexの様なレンズと目の距離を調整する物理的な機構があれば、この調整は、とっても簡単になります。簡単と言っても、相応に試行錯誤がたくさん必要ですが、目で見ながら、いろいろな要素が満足出来るように、妥協点が見つかるまでダイヤルを回すだけですから、特に知識がなくても何とかなります。
 Indexは、本当によく考えられていて、隙が無い、素晴らしい優等生なヘッドセットだと思います。でも、それは、後発だから出来ることなのです。Pimaxを含め先行したヘッドセットの得失などを実によく研究しています。

 それに対して、Pimaxは、真のパイオニアです。
 ゲーム界とVRの巨人であるOculusの天才ジョン・カーマックは、120°以上のFOVは、レンズの光学的ブレイクスルーがない限り不可能であると断言していました。巨人がそう言うのですから、将来の研究課題にしてしまって、誰も手を出そうともしなかったのですが、ブレイクスルー無しで第1世代のフレネルレンズの技術を使って170°の水平FOVを実現したのがPimaxです。

 Pimax創設者のロビンが、「出来る」と天才的な直感で開発を始めたのでしょう。わずかなリソースしか使えない零細企業のPimaxが、誰もやったことがないし、不可能だと言われていたことをやろうとしたのですから、170°のFOVを実現するという中心目標に全精力を注ぐしかなかったことは理解できます。やってみないと分からなかったこと、分かっていたけど出来なかったこと、必要だけど断念したことなどが、たくさんあって当然です。

 出来上がった後から考えたら、色々足りないところとか、ダメっこぶりを発揮する困ったチャンの所があるのは、パイオニアとしての宿命でしょう。

 Oculusみたいに、「10年は利益を出すなんてことは考えなくてよい、研究費はいくらでも出してやる」と言う太っ腹なパトロン=FaceBookに買われた会社や、ValveみたいにSteamでゲームを売るためのヘッドセットなのでハードで利益を出す必要がないし、研究費はゲームの利益で幾らでも出せるという会社でもやらなかったことをやったのですから。

視野角FOV

 Pimax 8K/5KシリーズのFOVは、3段階に切り替えができ、Pimaxの公称値が、ラージで水平170°、ノーマルで150°、スモールで130°です。ほかに、おまけでポテト110°というのもあります。ポテトは、実用ではなく、Pimaxが他のFOV100°前後のヘッドセットよりどれだけ凄いかをデモして見せるための設定です。

 コンシューマー用の他のヘッドセットのFOVは、ほとんどが約100~110°です。Indexが最大で120~130°と言われていますが、Pimaxのスモールより小さいですし、Pimaxの170°は他を圧倒しています。コンシューマー用としては、唯一の高視野角ヘッドセットです。

 下は、Scubasteve2365さんが作ったRift-S、Index、Pimax 5K+の視野角と描画範囲を示す図です。5K+と8KXの視野角は同じです。8K/5Kは、Rift-Sの倍近い範囲が見えることが分かると思います。

 実際のゲームでどう見えるかの例が下のスクリーンショットです。

視野角FOVの比較 緑がPimax 8KXのラージFOV(170°) 赤がオデッセイ(100°)

 MocuMocuDanceで見る多人数ダンスは、視野角FOVの違いが一番はっきり分かります。

 1.5m間隔で横に並んだ中心のダンサーを1mの距離から見たイメージが上の図です。Pimax 8KXのラージFOV(水平170°)が、緑の楕円です。5人まで視野に入ってきます。ノーマルFOV(水平150°)では、両隣の二人までが視界に入ります。

 FOVが100°のオデッセイでは、赤丸で囲んだ中央のダンサーしか見えません。両隣のダンサーの手足が、時々視野に入ってきます。多人数ダンスでなくて、「一人ぼっち」ダンスです。FOVが100~110°の一般的なヘッドセットでは、Oculus Rift CV1、初代Vive、WMR、VIVE Pro、Vive Cosumos、Oculus Rift-S、Oculus Questも、皆な同じぐらいです。

 VRChatでも、正面で話している人以外の周りにいる人がちゃんと見えます。横にいる人を感じることも出来ます。

 このFOVの違いは、決定的です。存在感が全く違います。Pimax 8K/5Kシリーズが他のヘッドセットを圧倒する所です。

VRヘッドセットで取り扱う視野角FOVは、色々な種類あるようです

 VRヘッドセットで取り扱う視野角FOV=Field of Viewには、色々なFOVがあるようで、かなり込み入った話になっています。

 ① 一つ目は、VRヘッドセットを被って実際に見えるFOVです。
 通常いうFOVは、これです。同じヘッドセットでも人によって見えるFOVは違っていて、一義的には決まりません。

 ② 二つ目は、ヘッドセットの設計によって決まるディスプレイに対する片目最大限界FOVです。
 この値は、ハードにより一義的に決まります。一義的に決まる値なので、機種比較などに使われることが多いようです。

 ③ 三つめは、ゲームなどのグラフィックエンジンがディスプレイに実際に描画するFOVです。

 そのほか、FOVにはさまざまな意味や使い方があり、「ユーザーの物理視野⾓のうちVRコンテンツが占める部分を意味する」ディスプレイFOV (dFOV)とか、「任意のタイミングでバーチャル世界の中でカメラがレンダリングする範囲を意味する」カメラFOV (cFOV)とか、色々な使い方がされているので、理解するには基礎から勉強する必要がありそうです。

 まあ、とりあえず、Pimax 8KXで、それぞれのFOVがどんな値をとるのか、調べてみました。

実際に見えるFOV

 VRヘッドセットを被って実際に見えるFOVは、アイレリーフやIPDの設定などによって変わるため、同じヘッドセットでも顔の形で人によって違うことや、同じ人でもフェースパッドの厚みを変えただけで大きく変わることは、良く知られています。

 人によっても条件によっても変わって一義的に数字を決めることができないので、FOVの公称値は100°とか110°とか130°とか170°とか、おおっざっぱな値でしか示せません。また、往々にして宣伝上の都合から、「嘘とまでは言えない最大の値」のことが多いようです。例えば、ハードの設計上から決まる限界値で、ヘッドセットを被ってもほとんどの人には実際には見えない値とか。

 実際に見えるFOVの本当の値はどうなっているのか、興味が湧くところです。

 iNFINITE Productionが「The Tool」というツールで収集したデータを公表しています。平均視野角とデータの範囲が( )内の値です。このデータが重要なのは、平均値だけでなく、ユーザーが実際に見ているFOVの範囲を提示していることです。

 一番上のHTC Vive Cosmosを例に取ると、水平FOV(HorizontalFOV)が、人によって72°~95°と23°も違います。個人差が予想以上にものすごく大きいのです。

 この差は、ユーザーが調整することで詰める事が出来ます。ミロドンが、レンズと目の距離の調整は、覚悟を決めて、手間暇惜しまずに、納得するまでやるべきだというのは、このためです。

 Pimax 8K/5Kシリーズは、水平FOVが155~160°で、平均値が158°です。平均値が公称値170°よりちょっと小さい(93%)ですが、公称110°が平均値82~87°(75~79%)よりはマシな公称値でしょう。約160度でも他機種の1.5倍から2倍の圧倒的なFOVです。

Headset NameHorizontal FOVVertical FOV
HTC Vive Cosmos / Elite84 (72 – 95)87 (83 – 88)
HTC Vive Pro82 (74 – 90)91 (87 – 95)
Valve Index108 (107 – 110)105 (95 – 108) *
Oculus Quest95 (88 – 103)92 (86 – 100)
Oculus Rift S86 (77 – 89)85 (67 – 98) **
Oculus Rift CV187 (83 – 90)84 (83 – 93)
Pimax Artisan128 (125 – 130)95 (94 – 95)
Pimax 8K Series ***158 (155 – 160) ****105 (102 – 109)
Samsung Oddysey+103 (103 – 104)107 (106 – 108)
Star VR One174 (171 – 177)114 (106 – 122)
iNFINITE Production「The Tool」による実際に見えるFOVの機種比較

 Pimaxの項で注目して欲しいのは、垂直FOV(VerticalFOV)が平均105°と大きいことです。上下の視野が広いので、臨場感がさらに増します。

iNFINITE公式サイトです:https://www.infinite.cz/blog/VR-Field-of-View-measured-explained

moguraVRの紹介記事:https://www.moguravr.com/the-tool-infinite-production/

 ちょっと意外なのは、Valve Indexが、水平FOV107~110°、平均108°で、他のヘッドセットよりは広いですが、公称値130°から見ると振るわないことです。
 公称値130°は、たぶんハードの設計から決まる限界値で、130°を実際に見ることは出来ないのでしょうが。でも、Valve Indexは、レンズと目の距離を調整する物理的な機構を持っていて、調整機構を積極的に使って大多数の人が最大限の視野角を得られるように設計されています。もっと大きな値、120°位は行くかと思っていたのですが。

 もう一つ意外なのは、HTC Vive ProとCosmosの水平FOVの平均値が82°、84°で、Oculus Rift S、CV1の86°、87°より小さいことです。一般にViveの方が、RiftよりFOVが大きいと信じられているのに、測定値の平均値は逆の結果を示しています。
 ミロドンもViveの方が大きいと信じていたので、これは、ちょっと驚きました。後の項で少し考えてみます。

ヘッドセットの設計で決まる限界FOV

 Pimax 8KX、8K/5Kシリーズの値は見つかりませんでした。残念。

 ヘッドセットの設計で決まる限界FOVの機種別に一覧出来るような表も見つかりませんでした。昔、何所かで、その手の表を見たような気がするのですが。

 ハードで決まる限界FOVを正確に推定するには、スクリーンのサイズ、レンズの径と焦点距離、スクリーンとレンズの距離、レンダー・マスクの形とか、その他の設計に必要なすべてのパラメーターを測定する必要があります。また、そのパラメーターから計算できるだけのヘッドセットの設計についての知識が必要ですから、一般ユーザーの手には余る課題です。  

ヘッドセットドライバーから取得されるグラフィックジオメトリーから計算されるFOV

 そこで、最近注目されているのが、risa2000さんが提案しているヘッドセットドライバーから取得されるグラフィックジオメトリーから計算されるFOVの値です。

 OpenVRには、各目に投影される描画領域の上下左右の点の角度のタンジェントを返すファンクションがあります。返される値はヘッドセットドライバーから取得されるため、基本的にはヘッドセットが決定するハードウェア機能であり、ヘッドセットの設計と光学特性によって定義されます。つまり、ヘッドセットごとに一義的に決まるので、ヘッドセット間の比較に使えます。

 このデータから、FOVを計算することができます。この値が、理論的に見える最大のFOVということになります。

 Pimax 8KXの計算されたFOVは、下の通りで、この値に近いところまで実際に見えるようです。
    ラージ:  水平160.29°、 垂直102.70°
    ノーマル: 水平140.29°、 垂直102.70°
    スモール: 水平120.29°、 垂直102.70°
    タイニイ: 水平100.29°、 垂直102.70°

 Valve Indexは、水平108.06°、垂直 109.16°です。

 Indexは、計算FOVはViveと変わらない!?公称値の130°は何だったの?けれども、実際に見えるFOVの値と比べるとそのほとんどが見えていることになります。

 Vive、Vive Proは、計算FOVは広いけれども、実際には74~ 90°しか見えず、大きく見える人と小さくしか見えない人の差が大きいので、実際に見えるFOVの平均値を取ると小さくなるようです。Oculus Rift CV1では、計算FOVが狭いけれどもほとんどの人がそれに近い値で見えるので、平均値を取るとViveより大きいようです。どちらが良いかは、設計思想の違いなので何とも言えません。

 計算FOVなどの一つの数字の比較だけで優劣を決めつけてしまうのは、危ないので注意が必要です。

 他のヘッドセットは、下表の通りです。

ModelConfigFOV hor.FOV ver.FOV diag.OverlapHAMRot LERot RE
10.0°HP ReverbNative+90Hz95.76°90.43°111.78°86.99°0.04%0.2°-0.2°
HTC Vive EliteNative+90Hz97.24°103.01°118.89°89.72°   
HTC Vive ProNative+90Hz107.06°107.71°110.48°90.46°20.20%  
HTC ViveNative+90Hz108.77°111.53°113.18°93.45°19.10%  
Oculus Rift CV1Native+90Hz87.95°89.66°98.07°71.15°14.07%  
Oculus Quest 2Native+72Hz104.00°98.00°113.46°90.00°9.13%  
Oculus QuestNative+72Hz104.00°100.00°115.52°84.00°5.69% 
HMD Geometry Databaseより抜粋

HMD Geometry Database: https://risa2000.github.io/hmdgdb/

risa2000による基本の解説: https://risa2000.github.io/vrdocs/docs/hmd_fov_calculation.html

HMDQ Tools: https://community.openmr.ai/t/hmdq-a-new-tool-for-an-openvr-headset-and-other-hw-introspection/21485

 ゲームなどのグラフィックエンジンが実際に描画しているFOV

 このFOVは、ヘッドセットドライバーから取得されるFOVと通常は一致するはずですが、別のものと考えたほうが良いと思います。

それは、Skyrimでは一致していない疑いがあるからです。詳しくは下のリンクで。Skyrimが描画できるFOVの限界が150°で、8KXが要求する160°のFOVに対応していない可能性が考えられます。

ディスプレーパネル

 Pimax 8KXが使っているディスプレーのスクリーンパネルは、公式には明らかにされていません。

 旧モデルについては、Pitool v0.90のインストールフォルダー中にあるファームウェアーのファイルP2.dfuから抽出したストリングにスクリーンパネルの型番が記載されていたので、判明しています。現行バージョンのP2.dfuでは、5Kpanelとか8Kpanelとかがあるだけで、型番が消されていて、8KXなど新しいモデルのパネル型番を知ることは出来ません。

 そこで、たぶん本邦初公開!、ミロドンが推定する8KXパネルの有力候補です。

8KXパネルの有力候補発見

モデル:    VS055QUM-NH0-6KP0
ブランド名:  BOE
説明:       LTPS TFT-LCD, 5.5 inch, 2160×3840
種類:       LTPS TFT-LCD, LCM
サイズ:      5.5 インチ
色域:       16.7M 72% NTSC
ピクセル形式:   2160(RGB)×3840 [UHD] 806PPI 
構成:       RBG Vertical Stripe
アクティブエリア: 68.04(H)×120.96(V) mm
外枠:       70.26(H)×133.1(V) mm
輝度:       150 cd/m² (Typ.)
コントラスト比:  700:1 (Typ.)
View Direction:   Symmetry
反応時間:     5.5 (Max.)(G to G)
フレームレート:  90Hz

 Panelook.comのデーターベースを見ていて、Pimax 8KXのスクリーンパネルの有力候補を発見しました。このパネルで、まず、間違えはないとミロドンは睨んでいます。

BOE製の VS055QUM-NH0-6KP0です。Panelook.comのデータは、下のリンクにあります。

https://www.panelook.com/VS055QUM-NH0-6KP0_BOE_5.5_LCM_overview_43073.html
https://www.panelook.com/VS055QUM-NH0-6KP0_BOE_5.5_LCM_parameter_43073.html

 8KXがこのパネルを使っていると考える理由は、以下の通りです。

1、現在、市場で商社などから入手できる唯一の5.5インチRGBストライプ配列液晶の4Kパネルです。
 市場に流通している5.5インチ4Kパネルは、ほかに3種ありますが、3つともダイヤモンド配列の液晶です。うち2種は、シャープ製で、Pimax8Kが使用しています。
 他に、パネルメーカーがスマホメーカーの特注で特定機種用に開発・生産していて、市販していないモデルがあると思いますが、1000枚単位かせいぜい1万枚程度しか発注しない小口ユーザーのPimaxが、そうした特注品を入手できるとは思えません。

2、事実、判明しているPimaxが使用しているパネルは、すべて市場に流通していて容易に調達出来るるパネルです。
 また、8Kのパネル入手が困難になり生産が遅延した時のPimaxの説明から、Pimaxはシャープとの直接取引ではなく、商社から調達していることが、容易に推測できます。

3、Pimaxは、5K+用にBOE製の VS055QHM-NH0-69P0を採用しています。型番から見ても、スペック表の記載から見ても、VS055QUM-NH0-6KP0とVS055QHM-NH0-69P0は、姉妹品種です。
 5K+の実績があるので、8KXに姉妹品種を採用すれば、開発等が楽になるはずです。

4、BOE製の VS055QUM-NH0-6KP0のスペック表から見られるパネルの特性と、8KXで観察されるパネルの特性に矛盾はありません。

判明しているPimax 8K/5Kシリーズのパネル

8K: シャープ製 LS055D1S02 ・・・ PaneLookのスペック表は、下のリンクです。

https://www.panelook.com/LS055D1SX02_Sharp_5.5_LCM_overview_33361.html

シャープ公式の詳細なデータシートです。:https://ds0.me/LS055D1SX04.pdf

 この液晶は、ソニーの最高級機種の4KスマホだったXperia Z5 Premium用に開発されたパネルです。ソニーの最高機種に相応しい、液晶としては最高のモデルで、OLEDに引けを取らない性能を持っています。

ソニー Xperia Z5 Premium : https://ascii.jp/elem/000/001/828/1828602/

5K+: BOE製の VS055QHM-NH0-69P0と、TIANMA製の TL055BDXP03の2種があります。

 5K+の初期リビジョンに使われたパネルは、黒いドットが目立つため不評で、途中でパネルを変更したためです。現行モデルはBOEだろうと思うんですが、どちらのパネルを現行モデルが使っているかは未確認です。

BOE VS055QHM-NH0-69P0 Overview - Panelook.com
BOE VS055QHM-NH0-69P0 datasheet 2 files, stocks, price, suppliers, photos, compatible models. Specs: LTPS TFT-LCD, 5.5', 2560×1440, 70 nit, 600:1 (Typ.), 16.7M ...
https://www.panelook.com/TL055BDXP03_Tianma_5.5_LCM_overview_32560.html

5K BE: SAMSUNG製 AMS567JD09 ・・・OLEDモデルです。

https://www.panelook.com/AMS567JD09_Samsung_5.7_OLED_overview_31433.html

 こうしたスペック表やデータシートをじっくりと見比べていると、色々面白いことが見えてきます。

解像度とスクリーンドア・エフェクトSDE

 Pimax 8KXは、片目4K(3840×2160)、液晶LCD、RGBストライプ配列です。コンシューマ用としては最大の解像度を誇っています。今までのどのヘッドセットよりも高精細で、次元が違う描写性能を見せてくれます。
 HP Reverbは、片目2160×2160なので、解像度ではPimax 8KXと同レベルです。解像度での競争相手は HP Reverbですが、Pimax 8KXは、横にもその解像度が広がって170°のFOVを誇っています。

 SDEは非常に小さく、SDEが大っ嫌いなミロドンの目で見ても、大抵の場合ほとんど気にならないレベルになっています。

 見るところを見ればSDEがはっきりあります。ただし、SDEを目の敵にしているミロドンが一生懸命探しても見えない場所があります。Skyrimでは、空や遠景以外ではSDEがほとんど見えず、女性の肌にSDEが無くすべすべしていて本当に感激しました。

 片目ネイティブ4K(3840×2160)解像度 

 Pimax 8KXは、片目4K(3840×2160)、液晶LCD、RGBストライプ配列です。旧型となったPimax 8Kは、片目4K(3840×2160)、液晶LCD、ダイヤモンド配列です。両者の違いは、パネルが違うのと、8Kは、2560×1440の画像を4Kにアップスケーリングしているのに対して、8KXはネイティブで4Kを表示していることです。その差は、予想以上に大きいです。

 フライトシュミレーターのコックピットで計器類や表示盤の文字が、屈んで覗き込まないでも操縦席に座ったままはっきり読めます。
 8Kでは計器に顔を近づけないと読めなかったのですが、8KXでは操縦席に座ったまま読めます。8KXは8Kに比べてクラリティー、鮮鋭度や解像感が段違いに非常に高いです。

 Pimax 8KXは、解像度の高さと視野角FOVの広さ(ラージ水平170°)で、フライトシュミレーター用として十分実用になるレベルに達したと思います。

 Pimax 8KXは、解像度が高いので、バーチャルデスクトップでエクスプローラを開いて、8Kでは読めなかったファイル名の文字がちゃんと読めます。バーチャルデスクトップの実用性が格段に上がりました。

 解像度と鮮鋭さは、8Kより格段に高くなっています。8Kではスケーリングの性能が悪かったためと遠景の細部がSDEによって潰れてしまうため、全体がややぼんやりした描写になっていました。それが、8KXでは描写が非常に鮮明になったこととSDEの細かさが相まって、今まで見る事が出来なかった細部や遠景も、すべてがクッキリ、はっきり見えます。

 8KXでは、今まで見えなかったこと、認識できなかったことが、視界と意識に入って来るため、やりなれたゲームでも、今までとは全く違う新しい経験になります。

SS=Super Samplingの設定値

 8Kは、アップスケーラーの性能が悪いためぼけたような画像になっていて、鮮鋭度が低くなります。そのため、併用しているオデッセイと同じぐらいの鮮鋭度にしよう思うとSteamのSSを300%などの極端に高い値にする必要がありました。
 8KXでは、十分に精細で解像感も高いので、高いSSは必要ありません。

 SkyrimでSS設定による画質の変化を確認してみました。FOVの設定は、ラージです。SSの設定は、「steamvr.vrsettings」ファイルの内容を変更している場合や、Pitoolのバージョンによっても変わることがあるので、SSの数字でなく、その時に設定される解像度で判断してください。

 SS100% 7608×4740以上では、SSを上げても画質の変化はごくわずかで、変化を判断するのが難しく、実用的には画質に目に見えるような変化がありません。SS100%でほぼ最高の画質になります。「わお!」、マインドブローイング、言葉がないほど美しい、です。SSを100%以上に上げるのは、無意味で必要がありません。

 SS34% 4436×2764で、遠景では少しボケたような感じが残りますが、十分許容範囲で実用的な画質になります。SS34%は、ミロドンがたびたび挙げているPimax5K+の推奨レンダー目標解像度(recommended render target resolution)のLarge 4267×2633をちょうど超えた値です。この表は、8KXにも適用できます。

    FOV    PP off      PP on
    Small   2638 x 2633   2787 x 3291
   Normal  3202 x 2633   3852 x 3291
    Large   4267 x 2633   6949 x 3291

 SS70% 6364×3964で、遠景でも鮮鋭な十分にな画質になります。

 結論として、ミロドンは、ラージFOVではSS100%(7608×4740)を標準として、パフォーマンスが不足する場合は、SS70%(6364×3964)からSS34%(4436×2764)の間でパフォーマンスを満足する値にまでSSを落とすという使い方をしています。

 場合によっては、無理にSSを上げていた8Kより、パフォーマンスが良いこともあります。

SDE

Pimax 8K
Pimax 8KX

 SDEについては、この2枚の写真を見てもらえば、多くを語る必要がないぐらいです。SewViverによるマクロレンズによるスルー・ザ・レンズ写真で、Skyrimの人物のアップです。上が8K、下が8KXです。

 8Kと8KXの違いは本当に大きいのです。これだけで8KXを買った値打ちがありました。

 8KXは、8KよりもSDEが圧倒的に細かく、液晶プロジェクターの代用にして大画面で映像を鑑賞しても実用上問題がなく、SDEが大っ嫌いなミロドンにとっても、現時点ではこれ以上SDEを問題にする必要がないと言って良いレベルに到達しています。

 SDEのサイズは、40インチの4Kディスプレイを50cmぐらいの距離から見た時のドット感と同等です。27インチの2560×1440ディスプレーでは20cmぐらいまで接近する必要があります。1920×1080ディスプレイの場合には、24~27インチで40cmぐらいの距離からドットがどう見えるか見てください。ドットがはっきり見えるかなどうかなと言うあたりのドット感が、8KXのSDEのドット感です。

 今までに試したことがあるVive Cosmos(片目1440×1700)、Pimax5KX(片目、2560×1440)、オデッセイ(片目1440×1600)、富士通製のWindowsMixReality(片目1440×1440)より格段に細かく、また、今までのLEDのヘッドセットのように、ピクセルの境界となる縦横に太く黒い線が、格子状にはっきり見えるということがありません。

 SDEは、本当に小さく、明るいシーンや、空などの明るい単色が広がっている所などには、はっきりありますが、SDEが大っ嫌いなミロドンが、一生懸命探してもても見えないところがあります。濃い色や細かいテクスチャーで距離が近い場合は、ほとんど見えません。

 Skyrimでは、1~2mの距離では女性の顔にSDEが見えますが、SexLabで不埒な行いに及ぶ距離まで近づくと女性の肌にSDEは見えなくなります。

 8KXは、まだまだ人がSDEを感じなくなる解像度には至っていません。SDEを感じなくなるには、片目8Kが必要と言われています。でも、8KXの4Kネイティブの解像度は、実用性という意味では一つの壁を越えたと思います。

  下の図は、視力1.0の人が識別できる限界を示したものです。視力1.0の人は、1 arc minute(1分)の角度のものまで識別することができます。1mの距離から見ると0.3mmの幅の白黒の線が見えます。

視力1.0の人が識別できる

  人の視野は、片目で175×120°あるので、11K×7Kが視力1.0の人が識別できる理論的限界と考えられています。8KXは4K×2Kですから3分の1でしかありません。

 ただ、識別能の1分という値は、白黒交互の線のパターンでの識別能力で、相互のコントラストが小さくなると識別能力は低くなります。そのため、コントラストが小さい部分では8KXの4K×2Kでも、SDEが見えなくなるのだろうと思います。

LCDのサブピクセル配列

 8Kは、2560×1440の画像をアップスケーリングして4Kとし表示しているのに対して、8KXはネイティブで4Kを表示しているという違いはありますが、両方とも4Kパネルです。
 どうして、上のSDEの比較写真ほどの違いが出るのでしょうか。

 Pimax 8KXは、片目4K(3840×2160)、液晶LCD、RGBストライプ配列です。Pimax 8Kは、片目4K(3840×2160)、液晶LCD、ダイヤモンド配列です。

  8Kの液晶のサブピクセルの配置は、下の写真のように特殊な配列になっています。斜めに配置するダイヤモンド配列の一種ですが、4列ごとに向きを変えています。シャープは、レインボー配列と呼んでいます。

 縦横にサブピクセルを配置するストライプ配列では、画素数がそのまま3840×2160です。ところが、サブピクセルを45°の斜めに配置するダイヤモンド配列では、ストライプ配列に換算すると{3840×sqrt(2)}×{2160÷sqrt(2)}=5430×1527となります。sqrt(2)は、ルート2=1.414です。

 8Kでは、RBGピクセル数は8KXと同じ8.3MegaPixelsで4Kのピクセル数を持っていますが、縦方向の有効画素数が、ストライプ配列の70%にしかならないのです。

 この縦方向有効解像度の差が、SDEの大きな違いになります。 

 上の写真は、ストライプ配列の5K+とダイアモンド配列の8Kの比較です。8K(3840×2160)は、5K+(2560×1440)の1.5倍の画素数があります。

 横のピクセル数は、8kが4ピクセル、5K+が2.6ピクセルで確かに1.5倍です。ところが、縦のピクセル数を数えると、5K+が18ピクセルで、8Kが14ピクセルで、8Kの方が小さくなるというものです。
 実は、8Kは、横2列の緑のサブピクセルを互い違いに数えていくと27ピクセルで、5K+の1.5倍です。しかし45°傾斜して配列しているので、有効画素数は、27÷sqrt(2)=19ピクセルで、5K+の18ピクセルと大差がなくなります。

 これが、8Kは4Kパネルを持っているのに、5K+よりSDEが少し良いだけに留まっている理由です。

スルーザ・レンズ・フォトによる機種比較

 Pimax 8KXの凄さは、一度被ってみればすぐにわかるのですが、口で説明しても判りにくいものです。

 他の機種と比較すると分かりやすいと思うのですが、ミロドンは一番比較したいIndexとReverbを持っていないので、両機種との比較は、SewViverさんが撮影した機種比較のスルーザレンズ・フォトを見てください。

 Skyrimの人物像のSDEは、2mぐらいの距離から見た顔に出るSDEと同じ程度です。

左:Pimax 8KX  右:Valve Index

 Pimax 8KXは、Indexと比べても圧倒的に高精細で、SDEが小さいのが見て取れると思います。LCDで1600PのIndexと1700PのVive Cosumosとは、ほぼ同じSDEになります。
 HP Reverbは、2160Pなので8KXと同じ細かさです。下の方に比較があります。Quest 2は、片目1,832×1,920のLCDなので、Indexより大分細かく8KXやReverbに迫りそうです。

左:Pimax 8KX  右:Pimax 5K+
左:Pimax 8K  右:Pimax 8K+

 5K+は、縦の解像度が1440のストライプLCDですから、WMR(LCD1440p)、VIVE Proとオデッセイ(OLED1600P)、Oculus Rift-S(LCD1440P)、Oculus QuestのSDE(OLED1600P)は、皆な5K+と同じぐらいです。8KXは、それらのヘッドセットとはまったく 別次元の解像度とSDEだと言えます。

 8Kは、ダイヤモンド配列のため、RBGストライプ鉛直構造の解像度に換算すると、垂直解像度が1527Pになります。1440Pの5K+より細かいですが、1600PのIndexとほぼ同じになります。写真の比較でも見て取れるでしょう。

  8K+は、1440Pを2160Pにアップスケールしているので、ネイティブ4Kの8KXよりぼけたような描写になります。8KXのアップスケール・モードは、8K+と同じです。SDEは、8KXと同じです。

左:Pimax 8KX  右:Pimax 5K+
左:Pimax 5K+ 中:Pimax 8K+  右:Pimax 8KX
左:Pimax 8KX  右:Valve Index
左:Pimax 8KX 中:Pimax 8K+  右:Pimax 5K+
左:Pimax 8KX 中:Pimax 8K+  右:Vive

 初代Viveとの比較例も一つありますが、「比較にならない」というレベルの違いです。

HP Reverbの比較です。Reverbは、2160PなのでSDEは、8KXと同じレベルの細かさです。

左上から右下へ、8KX  8K+  HP Reverb  Index  5K+  8K

 上3つの8KX、8K+、HP Reverbは同着で、Indexと8Kが次点(ちょっと8Kに甘い?)で、5K+がやや劣ると言ったところでしょうか。

 もっと詳しくは、下のSewviverのビデオで見てください。

VR Through The Lens (photos & video): Pimax 8KX, 8K+, 8K, 5K+, Valve Index, HP Reverb v1, HTC Vive
The photo comparison is between: Pimax 8KX, Pimax 8K+ Pimax, 8K, Pimax 5K+, Valve Index, HP Reverb v1 & HTC Vive

SweViverさんの 写真のリンク:1個所にはまとまっていません。あちこちのスレッドでの議論の中で何枚かづつ小出しに出しています。長いスレッドの中から見つけてください。

SDE Through the lenses MACRO: Pimax 8KX vs 5K+. Just a teaser!
Pimax 8KX vs Pimax 5K+ Now please tell me. Do you really think 1,299 USD is too much to ask for? 🙂 Taken with MACRO 1:1.25 lens. Same distance, same save slot...
8KX vs 8K+ vs HP Reverb (Macro shots)
Interesting! This is the first time I see such a dramatic difference due to 8K+ upscaling. A closer look: Just for fun: 😉 Edit: Now, This is a tric...
SDE comparison (Macro) - Guess the VR headsets!
Regarding the text, stepping down the camera exposure with 1 step on HP, I get this comparison (Note, this photo is NOT Macro. This is taken with 12mm lens (sa...
8K X vs HP Reverb - Just a teaser 🙂
Bizarre your default position is to assume people don’t or simply cannot have integrity.
8KX vs HP Reverb, a new sample clip
Of course not and ppl know he has a defect HP shipped out a lot of bad hmds. Whats worst is HP is ignoring some in getting it replaced. No surprise as they ar...

色合い

 色は、Pimax8Kの方が良いです。8KXは、淡い浅い感じの色調で、鮮やかさがなく全体に彩度が低いようです。

 8Kのシャープ製4K液晶は、液晶としては鮮やかな色をしています。Pitoolの色調調整で調整すると、Samsungのオデッセイ(ミロドン所有は旧型、片目OLED1440×1600、Windows Mix Reality)に匹敵するとまでは言えないけれども、それに近いレベルになります。8KXの液晶は、鮮やかさという点では8Kに及ばず、一般的な液晶のレベルのようです。

 ただし、8KXは、色としては、そう悪い色ではなく、SkyrimでもMocuMocuDanceでも十分に満足できる綺麗な色をしています。また、5K+の青被りや8Kの黄色被りの様な色の偏りがなく、ニュートラルな色調な点は好印象です。

 Pimax8KXは、8Kよりダイナミックレンジが広く、白飛び耐性があります。8Kではベッタっと白くつぶれてしまうところが、ある程度階調が残っています。白飛びに強いとまでは言えませんが、8Kよりは白飛びが少ないのは確かです。

 MocuMocuDanceは、モデルの手足などの肌の立体感をハイライトを使って表現しています。そのため、白の階調が非常に重要で、白飛びしやすく白の階調が弱い8Kは、べったりとした立体感がない肌になってしまいます。
 OLEDのオデッセイは、白に強く肌の立体感が非常に良くて、8Kは色では負けていないのですが、立体感では完全に負けています。8KXは、オデッセイに負けない立体感があり、SDEが細かいのでもっときれいに見えます。

 逆に、オデッセイの弱点は、黒潰れで、髪の毛や黒い衣装、黒色のオブジェクトや背景などが、べたの黒一色に潰れてしまいます。髪の毛の描写も悪く、立体感がない髪の質感なども感じられないべったりした描写になります。8Kは、黒の階調に非常に強いので、髪の毛の描写、立体感はオデッセイを圧倒します。

 8KXは、髪の毛や衣装の黒は、ちゃんとした黒です。階調も十分にあり、髪や布、レザーなどの立体感、質感もきちんと描写しています。髪の毛の描写は、Pimax 8Kと同等で、OLEDのオデッセイを圧倒しています。

 従って、色の鮮やかさでは8Kに負けるものの、MocuMocuDanceでは総合的にはバランスが良い8KXの方が8Kよりも優れています。

 Pimax8KXの唯一の不満点は、一部での黒の発色です。簡単に黒飛びして、しかも、黒が黒くなくて、不自然で本当に醜い鼠色になることがあります。

 黒の発色の悪さは、LCDの宿命で、Pimaxに限らず、IndexもRift Sも50歩100歩だと言います。8KXが特に酷いと言う訳ではないようですが、8Kの黒の良さと比べるとため息が出ます。OLEDでなければいやだと、固くなに主張する人たちの気持ちも、初めて理解できました。

 Pitoolによる色調調整

 Pimax 8K/5Kシリーズは、Pitoolでコントラストと明るさを調整することが出来ます。

 Pitoolの「Setting、設置」タブを選択し、「Games、ゲーム」パネルの下の方にある「Color,カラー」で「Contrast、コントラスト」と「Brightness、光度」のスライダーを動かして調整します。

 スライダーは、左右のパネルについて、1刻みで-5~+5の範囲で設定できます。また、「全部のチャンネル」を選ぶと全体のコントラストと光度を変えますが、「赤」、「緑」、「青」を選んで個別に色の調整が出来ます。この機能は、青被りや黄色被りを取ったり、ゲームごとの色味の調整に使います。

 Sweviverのお勧めは、コントラスト+2、光度ー2で、暗いシーンが多いゲームで鮮やかな色になる設定です。フォーラムでは、このお勧めに従っている人が多いです。この辺は、やるゲームと好みで合わせるとよいでしょう。ミロドンは、基本設定はコントラスト+1、光度ー2にしています。

 明るくてビビッドな絵が好みだという人が、下に示すもっと極端な値を紹介しています。ゲームによって、コントラスト+1~+2ぐらいが実用的なようです。

Contrast +3, Brightness -3: 明るくもっともビビッドな絵になり、イメージをOLEDに近いぐらいに明瞭に向上させる。しかし、ハイライトが白飛びし過ぎる。

Contrast +2, Brightness -3: 明るさとビビッドさは明瞭に向上するが、白飛びはそれほどでもない。たいていのケースで白飛びが許容できる程度になる。

Contrast +1, Brightness -3: 白飛びが起こらないが、少し明るいイメージになる。コントラスト+3ほどのビビッドさはない。

 Pitoolでコントラストと明るさを調整するには、色の三原色だとか補色だとか色彩理論の基本位はかじって理解してから調整する方が良い結果が得られます。Pitoolによってどうやって色を調整するかについては、別記事で書くつもりです。

スペック表による比較

 Pimax 8K/5Kシリーズのパネルのスペックの比較です。

5K BE(XR)は、色域がNTSC(CIE1931)103%と群を抜いています。さすが、サムソン製のOLEDです。OLEDの色域はLCDでは敵いません。8Kは、シャープ製ダイアモンド配列のLCDですが、sRGB130%です。他のシャープの資料によると NTSC(CIE1931)95%です。LCDとしては優秀な値です。5K+と8KXは、NTSC72%でやはり一歩遅れていて普通のLCDのレベルです。ただ、NTSC72%はsRGB100%なので、PCでのゲーム用としては十分な性能を持っています。

 実際にゲームをしての体験的な評価が、スペック表から見ても裏付けられると思います。

5K BE  8K  5K+  8KX
モデル:AMS567JD09    LS055D1SX02    VS055QHM-NH0-69P0  VS055QUM-NH0-6KP0
種類:AM-OLED , OLED    CG-Silicon , LCM    LTPS TFT-LCD, LCM  LTPS TFT-LCD, LCM
形式:1440(RG/BG)×2560   2160(RG/BR/GB)   2560×1440(RGB)    2160(RGB)×3840
Quad-HD, 518PPI  ×3840[UHD]    Quad-HD, 537PPI  [UHD] 806PPI
         658PPI
構成:RG/BG PenTile    Rainbow-RGB   RGB Horizontal Stripe  RBG Vertical Stripe
色域:16.7M 103% NTSC  16.7M 130% sRGB   16.7M   72% NTSC  16.7M 72% NTSC
輝度:120 cd/m² (Typ.)   500 cd/m² (Typ.)  70 cd/m² (Typ.)   150 cd/m² (Typ.)
コントラスト比: ー  1200:1 (Typ.) (TM)    600:1 (Typ.) (TM)   700:1 (Typ.)

 スペック比較で注目して欲しい点のひとつは、形式の項にあるPPIの値です。5Kが518~537,8Kが658に対して、8KXは806PPIで、5Kの1.5~1.6倍、8Kの1.2倍です。これだけ精細になっているわけです。

 もう一つは輝度です。8Kの500cd/m2を除いて、70~150cd/m2という輝度の低いパネルを選んでいることです。今どきの普通のパネルは300cd/m2程度、最高級スマートホンでは600~700cd/m2ぐらいで輝度競争をやっています。低輝度のパネルを選んでいるには、何か理由があるはずです。
 ヘッドセットの明るさの項で考えてみます。

光学センサーによる測定

 モニターのキャリブレーション用のプローブを使って、VRヘッドセットの計測をしている人達がいます。8KXは、まだ計測した人がいないようですが、5K+でキャリブレーションを試みている人と、Index、Rift-S、Viveを計測した人を見つけました。

Pimax 5K+の色域

 上の図は、neelrockerによる5K+のColor gamut Chartです。黒線の三角がsRBG領域で、白線が5K+です。色域の面積は確かにsRGB100%あります。カタログスペックは正しいです。しかし、惜しいことに右上にシフトしていてsRGBのカバー率が100%に至りません。面積から概算するとカバー率は97%です。

 三角の真ん中にある黒い曲線は、色温度を示しています。2700とか4000、5500などの数字が色温度です。赤や緑や青、シアンやマジェンタやイエローなどの丸が乗った3本の直線の交点が5K+の色温度です。色温度がPC標準の6500°より高く9000°に近い値になっているため、5K+は青被りした色になります。

 8KXは、色域は5K+と変わりませんが、色かぶりがないナチュラルな色なので、5K+で右上にはみ出している部分が左上側のRec2020の頂点の方向に伸びていて、sRGBやRec. 2020のカバー率が向上していると推定できます。E5K+より色調がよくなっていると期待できます。

 誰か早く8KXを計測してくれないかしら。計測結果が楽しみです。

neelrockerによる5K+のキャリブレーション: https://community.openmr.ai/t/i-have-color-calibrated-a-5k-with-a-probe-long-technical-article-about-hmd-color-calibration/26173

 下の図は、EagleshadowによるColor gamut Chartで、Index、Rift-S、Viveの計測結果です。

Vive、Index、Rift-Sの色域

Rift S は、95.4% sRGB、70.4% DCI-P3、50.4% Rec. 2020、最大輝度 74cd/m2、Min black levels 0.16

Index は、99.4% sRGB、87.7% DCI-P3、66% Rec. 2020、最大輝度95、black levels 0.153

Vive は、100% sRGB、97.4% DCI-P3、75.63% Rec. 2020、最大輝度214、black levels 0

r/ValveIndex - Brightness, blackpoint and gamut measurements of Index vs Rift S - with extra details this time around
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 Rift-Sは、sRGBカバー率が95%で、ちょっと欠けている並の液晶です。5K+も同じレベルです。Rift-Sは、2,560×1,440のパネル1枚を使っています。5K+と同様に中級スマートホン用のパネルを使っていると考えられます。8KXは、新しいパネルを使っているし、色域がIndexの様にRec2002の頂点の方に伸びていると推定しているので、もうちょっと良いかなと期待しているんですが、どうでしょうか。

 Indexは、最新のVR専用のパネルを使っているので、ずっと優秀です。IndexはLCDとしては色が非常に良いという人が多いですが、測定結果から見ても確かにその通りです。

 Viveは、OLEDですから、やはり最高の結果を出しています。

ヘッドセットの明るさ

 Pimax 8KXの明るさは、ミロドンにとって非常に快適な明るさです。ミロドンは輝度の高いディスプレーは目が痛くなるので苦手で、PCのモニターも暗い設定にしています。

 VRヘッドセットでは、Oculus Rift CV1は快適でした。HTC Viveは、ギラギラ明るすぎるので、ナイトモードで使っていました。
 現在は、Pimaxとサムソンのオデッセイを併用しています。オデッセイは、Pimax8K/8KXと比べると顕著に明るいです。明るい分ビビッドですが、オデッセイで1時間ほどゲームをして、ヘッドセットを外して目を閉じると、細かい輝点の様な残像が網の目のように全視野に広がって見えます。Pimaxでは、一晩中4、5時間ぶっ続けでゲームをしなければ、そのような事は起こりません。Pimaxは、目への負担がずっと小さいのです。

 という訳で、ミロドンは、Pimaxの明るさを大いに気に入っています。

 Pimaxは、Indexに比べるとすごく暗いという人が多いですが、5ちゃんなどのユーザーの意見では、Pimaxの明るさ(暗さ)にすぐに慣れてしまって問題がないという人が多いので、実用上問題になることはない十分な明るさを持っていると考えられます。
 IndexとかVive Proとかのほかのヘッドセットと併用して、両者をとっかえひっかえ使っているようなユーザーは、明るさの違いにちょっと困っているようです。ミロドンは、オデッセイは週1しか使わないし、Pimaxと同時に使うことも、比較試験をする時以外はないので、併用していても特に明るさの違いを意識することがありません。

 明るさは、個人的な好みの問題なので、Viveの様な明るいヘッドセットが大好きな人からは、Pimaxは暗すぎるからバックライトの輝度を調整して明るく出来るようにしろという要求がフォーラムなどにたびたび上がってきます。Pimaxは、その度にバックライトの調整機能をPitoolに入れるのですが、いつの間にか、そっとPitoolからその機能を外しています。最新β版のPitoolでは、Index派の人たちの要求でまたバックライト調整機能を復活しています。
 最新β版でなくとも、実は、Pitoolのコントラストと光度調整で、輝度を明るくすることが出来ます。

 明るいのがいいという人でも、自分で調整すれば、ちょっと手間はかかりますが、そこそこ好みの明るさにすることが出来るので、心配は無用です。

輝度実測値の機種比較

 さて、ではPimaxは、実際にはどのくらいの明るさなのか、実測データーを探してみました。

 下の表は、Arian Mehrfard etal. (2019) “A Comparative Analysis of Virtual Reality Head-Mounted DisplaySystems”が示している輝度Brightness( cd/m2)と色差Color accuracy(∆e)の実測値による機種比較です。

 この測定結果では、Pimax 5Kは、輝度が44.4cd/m2と驚くほど暗く、他機種に比べて最も暗いのです。

 見た感じでは、ミロドンはPimaxはOculus Riftと同じかやや暗い程度で70~80cd/m2程度かと思っていたので、ちょっと信じがたい値です。他のデータを探すと、Olaf Clausen etal.による80cd/m2という測定値が見つかりました。
 どちらの測定値が正しいか、もう1つ2つデーターがあれば確定できるのですが。ただ、低い測定値は、Pitoolの光度設定などが間違っていることで説明可能ですが、低い値を2倍に高く誤測定するとは考えにくいので、80cd/m2の方が信用できそうです。

          Brightness( cd/m2)  Color accuracy(∆e) Heat(℃)
Samsung Odyssey+      127.5      11.8     31.4
HTC Vive Pro         133.3       6.5      37.4
Oculus Rift S         80.5      11.7      32.3
Pimax 5k          44.4       8.1      28.6
HTC Vive          190.5       8.9      27.6
Samsung Odyssey     126.5      7.1      30.8
Lenovo Explorer      88.7      15.5      37.6
Dell Visor         76.2       7.7      32.2
Acer WMR         76.6       28.6      35.2
HP WMR         101.0       16.6      33.8

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https://arxiv.org/pdf/1912.02913.pdf

Olaf Clausen etal. ”Towards Predictive Virtual Prototyping:Color Calibration of Consumer VR HMDs”

          HTC Vive Pro  Pimax 5k+
Display technology  AMOLED   LCD
FOV         110◦      200◦
Resolution      1440 x 1600  2560 x 1440
Colorspace     ∼ AdobeRGB   ∼ sRGB
Max. Luminance    130 cd/m2  80 cd/m2
Min. Luminance    0.04 cd/m2  0.21 cd/m2
Contrast ratio     3250:1    377:1
Max. dE        2.3      3.4
Mean dE        0.5      0.5
http://graphics.tudelft.nl/~marroquim/publications/pdfs/clausen-GIARVR2019.pdf

 この手の測定値は、測定方法、測定条件などによって、また、最大値か平均値かによって、同じヘッドセットでも測定者によって±数cd/m2ぐらいのバラツキがあります。細かい数値にとらわれず、大きな傾向としてとらえることが必要です。

 全体を総観してみると、上の表から、VRヘッドセットの輝度は、70~80cd/m2のグループと120~130cd/m2のグループのふたつのグループに分かれ、それらに属さない特異な値をとるヘッドセットが、Pimaxを除いて2つあることが分かります。

 70~80cd/m2のグループは、OculusとWindowsMR各社です。この表には無いですが、Oculus Rift CV1も70~80で、Oculusは一貫してこの値を採っています。明確なポリシーがあって採用した値と考えられます。WMRは、Oculusの追随者です。

 120~130cd/m2のグループは、HTC Vive ProとSumsungです。HTCは、Viveでは 190cd/m2(他の測定値では180~200)と特異に高い値を採っていたのですが、さすがに高すぎたのか、Vive ProとVive  Cosumosでは120~130に下げています。SumsungはHTCに追随しています。

 特異な値101cd/m2ののHPは、両グループの中間路線です。

 特異値最後のPimaxは、80cd/m2が正しければOculusの追随、44cd/m2が正しければ完全に独自路線ということになります。

 この表にはありませんが、Valve Indexは、Viveの後継ヘッドセットですから、当然HTC路線だろうと思っていたのですが、実は最初はOculus追随でした。初期の設定値が下のリンクにあります。
 平均78.706cd/m2、最大86.012cd/m2です。Indexは、先行のヘッドセットを実によく研究していますから、HTCでなくて、あえてOculusに追随したのは、Oculusのポリシーに理があると判断したからでしょう。
 ところが、Viveの明るいのが大好きな人たちの猛攻撃を受けて、あっさり日和ってしまいました。ソフトウェアの更新のたびにオプションで輝度を上げています。95cd/m2にしたのでHPと同様な中間派になるのかと思ったのですが、ついには140cd/m2まで上げて完全にHTC派に鞍替えしました。

Index Brightness per Hz:
https://docs.google.com/spreadsheets/d/15_tDnxwcwOleIkBwqTtiqIWeaLYFkWPSiAiBOPGmwWw/edit#gid=0

輝度設定のポリシー

 さて、Oculus、HTCは、それぞれ独自のポリシーを持って輝度の値を設定しているようです。Indexが、最初はHTCでなくて、あえてOculusに追随していることを見ると、それぞれのポリシーには何らかの客観的な根拠があるはずです。

 どちらも自分のポリシーを説明してくれないので、ミロドンが勝手にそれぞれのポリシーの根拠を推測してみようと思います。以下は、根拠がかなり薄弱な推測とミロドンの妄想なので、塩を振って読んでください。

 まず、前提として、SMPTEが制定しているST 431-1:2006スタンダードがあります。このスタンダードでは、デジタルシネマスクリーンの輝度は、48 cd/m2であるべきだと規定しています。グレアーなどの鑑賞の妨げになる現象が起こらず、かつ最良の映像経験ができる値としています。

ST 431-1:2006 - ST 431-1:2006 - SMPTE Standard - D-Cinema Quality — Screen Luminance Level, Chromaticity and Uniformity - SMPTE Standard
SMPTE | The home of media professionals, technologists, and engineers
SMPTE people form a global professional society of individuals and corporations collaborating for the advancement of all things technical in the motion picture,...

 この規定は、VRヘッドセットの輝度に関する論文では、よく引用・参照されている重要な規定です。

 VRヘッドセットは、被ると外界と完全に遮断されるので、映画館と同様に周囲は暗黒でスクリーンのみを見ることになります。そのため、VRヘッドセットの快適な使用のためには、デジタルシネマのスクリーンの48cd/m2を準用できるとされています。

 しかし、VRヘッドセットの場合は、映画のように暗黒の同じ環境に長時間いるわけではなく、短時間で着けたり外したりを繰り返すことが多く、外した場合は明るい室内に戻ります。また。鼻の穴などヘッドセット周辺からの光の漏れもあります。
 そのため、ヘッドセット内と外の環境との兼ね合いを取って、48cd/m2より大きな値に設定していると推測されます。具体的な値は、メーカーごとにターゲットユーザーとその使用環境を想定して決めていると思います。

 Oculusは、個人ユーザーを主対象としているので、70~80の低い値に設定し、HTCは、アーケードやゲームセンターなどを主力販路の一つとしているので高い値を設定しているのだと考えられます。HTC Viveも、個人ユーザーが夜間に使うことを想定したナイトモードでは、63cd/m2で、Oculusより低い値に設定しています。

 それでは、Pimaxですが、80cd/m2なら、単純にOculusに追随しただけでしょう。対象ユーザーから考えて、まあ、妥当な判断です。

 もし、44cd/m2の測定値が正しいとしたら、ヘッドセットの外の環境などは無視して、素直にST 431-1:2006スタンダードに従って48cd/m2を設定目標にしていると考えられます。
 Pimaxが対象としているユーザーは、ヘビーゲーマーですから4~5時間ぶっ続けでゲームするなど普通だという人達です。外の環境との兼ね合いより、長時間使用時の快適性を取るという選択もありうると思います。

 また、PimaxやIndexのフォーラムだけ見ていると明るいのが好きな人の方が多数派に見えますが、彼らの声が大きいだけで、実際には暗い方を好んでいる人の方が多いと思われます。
 Googlでも、Redditのr/Oculusやr/Viveでも、Oculus brightnessやVive brightnessで検索すると、出てくるのはヘッドセットを暗くする設定を探し求めている人たちばかりです。Oculusでも明るすぎるという人がたくさんいます。
 Pimaxが48cd/m2路線に走ったとしても、支持者は、確保できるでしょう。

 さて、でも人のデーターで議論しようとしても無理があることが分かったので、ミロドンは、モニター・キャリブレーション・センサーを買って自分で測定してみようかと思い始めています。
 ミロドンは、写真をやっているので、前からセンサーが欲いと思っていたのです。ただ、ミロドンの主な用途は、モニターの色とプリンターで出力したプリントの色を合わせる事です。モニターとプリンターを同調させることができる機種は高いのと、プリンターで印刷すること自体が少なくなったため買っていません。でも、ヘッドセットの測定ならモニターだけを測定する安い機種でも出来そうなので、食指が動きだしています。

消費電力と発熱量

 輝度の設定に大きく影響するのが、パネルの消費電力と発熱量です。

 輝度を高くすれば、当然パネルの消費電力と発熱量が増えます。Pimax 8KXは、2本のUSBで電力を供給していますから、電力供給量に制限があります。発熱量が増えると熱対策のため筐体を大きくする必要があります。

 輝度が120~190cd/m2のVive、Vive Pro、Odyssey、Odyssey+は、他のヘッドセットと比べて非常に大きくバルキーな筐体です。Vive,Odysseyは、高さが11~12cmあり手に余る大きさで重くなります。大きくなったのは、頑丈にするためもありますが、熱対策の影響が大きいと思われます。
 輝度が70~80cd/m2のOculusや他のWMRとPimaxは、高さが10cm以下でずっとコンパクトで軽量です。

 Pimax 8KXは、4K(3840×2160)のパネルを2枚使っています。パネルの面積が他のヘッドセットの2倍ですから、パネルの消費電力と発熱量も当然2倍になります。熱対策の上では他のヘッドセットよりずっと不利です。大きさも顔からはみ出すほど横に長くなり、重量的にも不利になります。

 しかし、Pimaxは、高さを93mmに抑え、直線による箱形のデザインを採用することで、必要最小限の内部容量のコンパクトな筐体とVive以下の本体重量を実現しています。
 この手の設計は、トレイドオフが伴います。コンパクトにすれば発熱量を抑えなければなりません。

 Pimaxは、デザイン決定の最初からHTCの路線には組せず、Oculus路線に追随する選択をしたと思われます。
 明るいのが大好きな人もPimaxを使っていると暗いのに慣れて文句を言わなくなる人が多いようですし、Oculusでも明るすぎる派の人たちは歓迎するでしょうし、ミロドンはとっても快適と満足しているので個人的には妥当な選択だと考えています。

  色差=Color accuracy(∆e)の実測値

 Arian Mehrfard etal. (2019)が示している色差=Color accuracy(∆e)の実測値は、ちょっと面白いデータなので、一言触れておきます。

 Pimax 5Kの色差=Color accuracy(∆e)は、8.1で、LCDのヘッドセットの中ではDell Viserの7.7に次ぐ上位の値です。OLEDのViveの8.9を上回っていて、色が比較的に正確であることを示しています。

 OLEDのVive ProとOdysseyは、さすがOLED、6.5~7.1で、最高の値です。Viveの値が悪いのは、明るさで無理をしすぎているからだと思います。

 LCDでは、Rift-Sは、11.7と冴えない値です。WMR勢はDellを除き15.5~28.6で、D級許容差になり別の色名になるほど色が変わってしまうので落第です。WMRが、「色が悪い」と一言で片付けられるのも無理がない値です。

<色差Δeの許容差の分類>

 A級許容差 1.6~3.2 色の離間比較では、ほとんど気付かれない色差のレベル。一般的には同じ色だと思われているレベル。

 B級許容差  3.2~6.5 印象レベルでは同じ色として扱える範囲。塗料業界やプラスチック業界では色違いでクレームになることがある。

 C級許容差  6.5~13.0  JIS標準色票、マンセル色票などの1歩度に相当する色差。

 D級許容差  13.0~25.0 細分化された系統色名で区別ができる程度の色の差で、この程度を超えると別の色名のイメージになる。

後編予告

 長くなり過ぎて、何時になったら書き終わるか分からなくなったので、一度打ち切って、前編ということにします。

 レイテンシー、リフレッシュレート、レンズ、スウィートスポット、ゴッドレイやグレアー、ディストーション、ワールドスケール、オーディオと内蔵マイク、トラッキングとコントローラー、パフォーマンスなど、書くべきことは沢山あるので、ハード編(後編)で続きを書くことにします。

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