対北朝鮮政策を事実上放棄していたオバマ政権の「戦略的忍耐」路線についても、バイデン政権がこれをそのまま踏襲することは望ましくない。ショーに対する未練を捨て、北核廃棄に向けた実質的かつ創造的な構想を準備しなければならない。同時に韓米連合訓練など安全保障体制も正常な状態に戻すべきだ。
バイデン候補は政権を握れば中国へのけん制を強化する一方で、同盟国との連携を通じた「多者主義方式」を取る考えを示している。トランプ大統領による中国への圧力が米国による一方的な行動だったとすれば、バイデン候補は韓国、日本、欧州など従来の友好国との協力を通じ、通商問題はもちろん、環境問題や人権問題にまでその範囲を広げた上で中国への圧力を強める可能性が高い。この点においてはある程度の取引が可能なトランプ大統領よりも、原則を重視するバイデン候補の方がより難しい相手になるかもしれない。「経済は中国、安全保障は米国」という二股戦略はこれ以上通用せず、米中間の選択を迫られるのではないか。
2013年6月に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領(当時)は中国北京で習近平・国家主席と会談し、韓中FTA(自由貿易協定)の早期締結などを含む「韓中未来ビジョン共同声明」を発表したが、同年12月に韓国を訪れたバイデン副大統領(当時)は「米国に反対する側に『賭ける』ことは決して良い賭けではない」と警告した。韓国も用意周到かつ綿密な準備と戦略が必要だ。