新規コンテンツで大ヒットは困難な時代に

――スマホ向けゲームの『グルミク』は20年10月25日のリリースに先駆けて事前登録を受け付けていますが、現在の登録者数はどれくらいですか?

木谷氏 10月に入り、80万人を超えました。1週間に2万~3万人というペースで増えています。リリース前に100万人を突破することは、企画当初から想定していました。というのも、僕は「D4DJ」で「生涯ベストスコア」を狙っているんですよ。

スマートフォン向けゲーム『D4DJ Groovy Mix』はオリジナルストーリーのあるリズムゲームだ。上はストーリー画面、下はゲーム画面
スマートフォン向けゲーム『D4DJ Groovy Mix』はオリジナルストーリーのあるリズムゲームだ。上はストーリー画面、下はゲーム画面

――DJという題材だからこその期待ですか?

木谷氏 そうです。幅広い年齢層に仕掛けられるDJだからですね。

 悲しいことですが、僕は子供向けコンテンツの新規立ち上げはかなり難しいと考えているんですよ。子供たちは、かつてのテレビのような力がないと取り込めない。友達同士で同じコンテンツを話題にするような状況がないと、なかなか浸透しません。でも、今は少子化の時代。テレビの力が落ちる一方で、スマホに触れる年齢はどんどん下がっていて、小さいときからみんなYouTubeを見ている。

「D4DJ」で「生涯ベストスコア」を狙うという木谷会長
「D4DJ」で「生涯ベストスコア」を狙うという木谷会長

――子供向けは「ポケモン」や「ドラえもん」「仮面ライダー」など、シリーズものが強いですしね。

木谷氏 新規のコンテンツを仕掛けるのが難しいから、子供たちはすでにあるもののバージョン違いを楽しむことになるんでしょう。

 そんな中、芽があるのが10代、20代です。若い人は新しいものが好きですから、彼らに刺さるものにするしかない。この層が起点となって大ヒットする作品も定期的に現れます。

 ところが、20代は層が薄いのです。20代と40代の人口を比べると40代が1.4倍です。しかも40代の約4分の1は独身で、20代の2倍以上の金額をエンタメに使っていると言われます。トータルで考えると、20代と40代のマーケットサイズは1対4ということになる。

――若い世代に刺さる新しいものを作っても、それだけではヒットにならないと。

木谷氏 ええ。国内のゲームのヒット作を見ても、昨今は昔のタイトルばかりが目につきます。20年前、30年前のタイトルをスマホ用に焼き直したものや、既存のシリーズをバージョン違いで出したものなどです。もちろん例外もありますが、結局のところは30代後半から40代、団塊ジュニアに受けたものしかビジネス的に大ヒットしていないということです。

――そうなると、若い世代だけでなく、40代にも受けるものを作らなければなりませんね。

木谷氏 10代、20代にファーストアプローチをしながら、30代後半から40代も味方につけるにはどうしたらいいか。トータルで考えると、僕の中には音楽というアイデアしかありませんでした。

 DJを題材にすれば、最近の曲やオリジナル曲はもちろん、1980年代、90年代、2000年代のヒット曲も入れられる。いろいろな世代にアプローチしやすく、結果、大きな塊にできる可能性があります。

 実際、20年10月28日にはTBS系列全国ネットで「D4DJ presents CDTV 特別編 みんな歌える!神プレイリスト音楽祭」という番組を放送することになりました。CDTVの番組内では懐かしい楽曲が紹介されるのですが、合間にD4DJのテレビCMが流れます。こうした取り組みにつなげられたのも、DJという題材ならではでしょう。