紙の書類の廃止、電子申請・電子承認、ペーパーレス化、
ニュースや現場で、デジタル化についての話題を目にしたり、話を聞いたり、
実際にデジタル化が起こって、その成果物を体験することが、増えてきていると思います。
美容院や居酒屋の予約も、電話でなく、スマホで行うのが、当たり前になってきましたね。
デジタル化について、善し悪しの評価を行う際に、注視しておきたい判断基準があります。
「それは誰にメリットがあるものか」という物差しです。
以下1~5に分けて、俺的偏見を述べます。
1.国のメリットのためのデジタル化
諸外国が効率化を進めている以上、
日本としても、同じことをやっておかねば、長期的相対的に、競争力が劣ることになります。
日本円や、日本国債の価値を、高めるためのもので、
企業や国民に、直接的なメリットが、あるかどうか?が論点でない施策としての、デジタル化です。
2025年の壁、や、DX(デジタルトランスフォーメーション)は
「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる※」と言いますが
人々、国民や企業がどうという話ではなく、DXはあくまで、国のための施策です。
※引用 総務省 情報通信白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd102200.html
2.会社の決算、株主にメリットを生むためのデジタル化
競合他社が効率化を進めている以上、
自社としても、同じことをやっておかねば、長期的相対的に、競争力が劣ることになります。
決算の速さと、正確さで、他社に劣ると、
株主が他社へ資金を移動する動機を、与えることになってしまいます。
自社の従業員や、顧客に、直接的なメリットがあるかどうか?が論点でない、
経営方針としてのデジタル化です。
このデジタル化は、現場に不平不満をもたらすことがあります。
従業員は仕事がやりにくくなって、
デジタル化のための荷物(タブレットなどのデバイス)と作業が増えるからです。
少ない従業員で、同じ仕事がこなせるようになる、という効率化は、
従業員の一人ひとりにメリットがあるわけでなく
顧客としても、何のメリットもありません。
「結果、安い単価で特定のサービスを提供できるようになる」はただの言い訳です。
顧客としても、理不尽意味不明な作業を、要求される場合があります。
なんでタブレットに指で書きにくいサイン書かなアカンねん!?とか、思ったことありませんか?
でも、これは、どの会社も、生き残りがかかっていることなので、しょうがないことです。
時代の流れということで、黙って協力してあげるしかありません。
3.従業員にメリットがあるデジタル化
従業員の働きやすさに、フォーカスしたデジタル化です。
残業したくなければ、残業を減らすことができる、休みを取りやすい環境にする、
賃金や成績について、評価根拠がわかりやすいアウトプットを得る、
仕事のミスや、作業の漏れを予防し、ストレスを軽減する、など
会社経営や、顧客に、直接的なメリットがあるかどうか?が論点でない、デジタル化です。
経営方針として導入することもあれば、従業員が個人裁量で、勝手にやってる場合もあります。
自分でもやりますよね。紙と電卓の資料を黙ってExcel化したり、
Excelファイルを共有して、他の人にも使えるようにしたりというアレです。
4.顧客にメリットがあるデジタル化
顧客のメリットにフォーカスした、デジタル化です。
個人的に「これは嬉しい」「これ無しでの生活はもう考えられない」と思うものがあれば
それは、この項目に該当するデジタル化ですが
ターゲットが少し狭く感じる、そういうサービスもあります。
(飲食店のタッチパネル注文システムは、高齢者にとって使いにくい、など)
5.個人の趣味によるデジタル化
○○だけど、デジタル化してみる、というデジタル化の個人的挑戦です。
○○には以下の文言が入ります。
- 遠方に居る他人とデジタル的に共有する必要があまりない
- 検索を行う必要があまりない
- パスワードなどで守る必要がない
- ミスや記録漏れを予防する必要があまりない
- 記録にアクセスする方法が一つだけでもべつに構わない
- 物理的に劣化してもべつに構わない
- 記録を失ってしまったり、見つけられなくなってしまっても、そこまで困らない
- 数値的な記録を時系列でグラフィカルに見る必要も特にない
デジタル化ならではのメリットが、特に必要というわけでもないが、
広告記事などに、購買意欲をかきたてられて
「やってみたい、試してみたい」で始めるデジタル化が、該当します。
スマート家電を試してみる、手書きの買い物メモをiPadでやってみる、などですね
──
以上です。
上記の項目1~4それぞれについて、独立せず、複数を同時成立させるデジタル化もあります。
上記の項目1~5に関わらず、何らかのデジタル化を検討する場合は
「誰にどんなメリットがあるか」「誰にどんなデメリットがあってもOKとするか」
の観点で、求めるものを列挙してみると、より目的目標が策定しやすく
ブレないデジタル化が、達成できやすいと思います。
目的目標が明確にならないものは、あえてアナログのまま残すことをお勧めする
目的目標が明確なものから順番にデジタル化を進めることをお勧めする
が、本件に関しての俺的偏見です。