バイデン氏が圧勝するとの見方もあったが、両候補は僅差で競り合う=AP
【ワシントン=中村亮】3日の米大統領選をめぐり、主要な世論調査では全米の平均支持率で民主党候補のバイデン前副大統領が共和党候補のトランプ大統領を大きく上回っていた。激戦州でもバイデン氏が優位を保ったまま投開票日を迎えたが、実際には異例の大接戦となっている。
主要な世論調査を集計する米政治サイトのリアル・クリア・ポリティクス(RCP)によると、バイデン氏の全米支持率は3日時点で51.2%とトランプ氏を7.2ポイント上回った。東部ペンシルベニアや南部フロリダなど激戦6州の平均支持率でもバイデン氏は2.3ポイントの差でリードしていた。
バイデン氏が圧勝するとの見方もあったが、両候補は僅差で競り合う。RCPによるとフロリダ州ではバイデン氏の支持率がトランプ氏を0.9ポイント上回っていたが、実際にはトランプ氏が勝利を確実にした。トランプ氏は前回2016年の大統領選で同州を1.2ポイント差で制したが、今回は得票差がさらに開く勢いだ。
中西部オハイオ州でも世論調査ではトランプ氏のリードが1ポイントだったが、トランプ氏はこれを大きく上回る得票差で勝利するとみられる。
世論調査が外れた背景には、トランプ氏の支持を公言しない「隠れトランプ支持者」の存在が考えられる。トランプ氏は人種差別と受け取られかねない言動も少なくないため、周囲の目を気にして世論調査で本音を打ち明けない人々だ。
16年の大統領選では、世論調査がペンシルベニアや中西部ミシガン、同ウィスコンシン各州でトランプ氏を劣勢としていたが、いずれの州も予想に反してトランプ氏が勝利した。このときも「隠れトランプ支持者」の存在が指摘された。
16年の世論調査が誤ったのは、民主党支持者が多い大学卒の有権者をサンプルに加えすぎていたことが一つの原因とされた。世論調査会社は教育水準に応じて生データを調整をするようになったが、今回も予測の精度に課題を残した。