これは、かねてから要求していた決算書類の開示請求に、共済会側が応えて実現したものであった。
当日、合田和男、竹内弘、中村義隆の3会員が参加し、共済会からは石川悟(きずな共済会会長、きずな労組執行委員長)、伊藤信広(きずな共済会専務理事、きずな労組常任執行委員)の両氏が出席した。共済会側は、私たちの求めた決算書類を開示し、質問には丁寧に対応した。
共済会幹部諸氏にはご多忙の中、時間をいただき感謝している。
この開示請求の目的は、「きずな裁判」の中で明らかになった共済会決算報告書の疑問点の解明にあった。
愛知地域労働組合きずな(以下、きずな労組)は、裁判で原告側が求めた「共済会の決算書を最初から現在まで開示」することに応えぬままに「認諾」という形で裁判を終わらせた。そのため、共済会の決算報告書の疑問点がそのままになっているので、私たちは決算書類を閲覧することによって解決しようとしたのである。
以下はその主な疑問とそれに対する共済会側の回答である。
また、裁判書面における甲号は原告合田享子、乙号は被告きずな労組による準備書面及び証拠提出物である。
1)2002年度、きずな労組が共済会へ返済した「97万5,134円」とは何か?
きずな労組の2001年度決算書の支出欄には「共済会へ-975,134円」と記載されている。(乙7号証/支出欄のマイナス表示なのでこれは収入を意味する)。 きずな労組は、これは「共済会への未払い金が975,134円あるという意味である」(乙第1準備書面8頁③)と答えている。
そして、きずな労組の2002年度決算書(乙8号証)では、収入欄に、前年度繰越としてではなく闘争資金の「借入金」として975,134円が計上され、支出欄には「975,134円きずな共済会へ」と記載されている。繰越借入金の名目はともかく、2002年度には共済会へ返済したことになる。
ところが、共済会の決算書では、2001年度支出欄及び2002年度収入欄に、きずな労組への貸付金及び返済金はどこにも記載されていないのである。
共済会が2001年度にきずな労組に貸し、2002年度にきずな労組から返済された97万5,134円とは一体何なのか?
共済会側は「わからない。調べて回答する」と返答。
2)2000年度、共済会からきずな労組への貸付金「213,016円」はどこへ消えたのか?
きずな労組の2000年度決算書(乙6号証)には、次年度繰越金に「-213,016」の記載がある。
きずな労組は、「これは共済会からの借入によって21万3,016円の赤字があるという趣旨である」(乙第1準備書面)と答えている。
しかし、共済会の決算書には貸付21万3,016円の記載はない。きずな労組が借りた記録はあっても、共済会が貸した記録はないのである。
そして、きずな労組の2001年度決算書(乙7号証)には、この前年度繰越金の記載はない。これはどういうことなのか?
共済会側は「わからない。調査する」と返答。
3)きずな労組は偽造した2000年度決算書を裁判所に提出したのか?
上記2)を検討する上で、非常に不可解な問題がある。きずな労組の2000年度決算書は2種類あるのだ。両書面の監査2名(西川卓氏及び早川治氏)の署名や捺印、日付の筆跡及び位置は完全に一致するが、数字や項目は異なる。つまり、どちらかは偽造なのである。 この2種類の決算書とは、被告きずな労組が裁判所に提出した乙6号証と、原告が提出した甲21号証(組合大会で配布されたもの)である。労組が書類を捏造して裁判所に証拠提出したとなると、これは重大な問題である。
きずな労組が提出した2000年度きずな労組決算書(乙6号証)には、前年度の繰越金実績(参考用の数字)140,308円が誤って14,030円と記載してある。また、(上記2)の次年度繰越金は支出欄に「-213,016」とマイナス表記されている。さらに、2001年度きずな労組決算書の繰越金や各項目の前年度実績数字との整合性はない。
しかし、原告が提出した2000年度きずな労組決算書(甲21号証)には、前年度の繰越金実績は140,308円と正確に記載されている。また、次年度繰越金は「一時借入金」として収入欄に213,016円と記載されている。そして、2001年度きずな労組決算書の繰越金や各項目の前年度実績数字とは整合性がある。故に、こちらが真正の決算書と判断できる。
同一署名の2枚の決算書には、このような差異があり、支出・収入欄の合計数字は異なっている。
きずな労組は、決算書を偽造して乙6号証として裁判所に提出したのではないか?
共済会側は「よくわからない」と回答。
4)共済会の貸借対照表は奇怪ではないか?
共済会決算書の貸借対照表は、1996年度から、現在(2005年度)も、きずな労組への貸付金が「資産の部」と「負債・資本の部」の両方に同額が記載されている。 「貸付金は資産であり、このような貸借対照表はおかしい」と指摘した。
共済会側、伊藤信広専務理事は「なぜこういう記載をするようになったのかわからない。今後は貸借対照表については専門家の指導を受け正しく作成したい」と返答。
※わからないはずはない。貸借対照表は伊藤信広氏自身が作成し、毎年共済会の大会で決算内容の説明さえ行っている。また、その奇怪さを職員合田享子氏から再三にわたり指摘されていた。
5)共済会は会員数の管理に不備があるのではないか?
共済会会員数を遡って閲覧したところ、2003年10月に84名もの脱退者が出ていた。それはなぜか?
共済会側は「きずな共済会の専務理事を引き継いだとき、実際の会員より多くを支払っていたので整理した」と返答。
ならば、上部組織の愛知共済会へ支払う共済掛金を、実際の会員より多く払っていたという意味か?このような多額で無駄な過払いのお金はどこから支払われてきたのか?
共済会側は「どこか別のところから持ってきて払ったのではなく、きずな共済会から払ってきたと思う」と返答。過払いは認めたが、会計上の処理は不明。
まとめとして、
①きずな労組が返済したと主張する97万5,134円は、共済会の決算書を見る限りその事実はなく行方不明になっている。
②きずな労組が共済会から借りたと主張する21万3,016円は、共済会の決算書には貸付の事実も返済の事実もない。
③きずな裁判に当たって、きずな労組は偽造決算書を裁判所に証拠提出した。これは、職員合田享子の解雇理由である財政難の裏づけ証拠であり、自らの不当労働行為を正当化する詭弁として利用された。
④共済会の決算書を作っている人物は、会計の基本的知識を持っていない。
⑤共済会は、会員の実数を長年にわたって把握していないか、把握しておきながら実数よりはるかに多く水増しした会員数で運営していた。
きずな労組と共済会との間では、このように多額の金が不明金となっており、きわめて杜撰な会計処理をしている。この状態では、共済会としての保障が全うできるとは思わないし、貸付返済をめぐって、きずな労組の無軌道な会計処理を促進することになる。
これらは、共済会員ならびにきずな労組組合員の利益を損ねるものであるから、早急に財務の健全化が求められる。
また、竹内会員から、共済会には保険証書がないことに疑義が唱えられたが、これは、きずな労組組合員と共済会会員がほとんど重なっているために、事務手続き上の煩雑さを避けるために行っていないということであった。しかし、それならば、きずな労組も組合員の実数を性格に把握していないと考え得る。
今回、私たちは、これらのことを確認はできたが、共済会ならびにきずな労組の正常化に向けて、数々の疑問への調査と速やかな回答を要求する。
貸借や組合費の計算などという、大人として当たり前のことがやれていないようでは、無責任のそしりを免れることは出来ない。共済会ときずな労組には、幹部ならびに会員、組合員相互の不断の努力が求められているのである。
※きずな労組と共済会の一部決算書は、過去ログ2005年11月kessan.pdfをクリックするとご覧になれます。
この単式簿記では貸借対照表は絶対に作れません。ですから、きずな共済会の貸借対照表が奇怪なのは当然です。作成するためには試算表等を作成していく複式簿記の手続きが必要となります。これは株式会社であろうがNPO法人であろうが事業体は関係ありません。
日商簿記の資格を持つ私は「きずな」職員として、石川悟委員長、加藤健二副執行委員長、伊藤信広専務理事などに、かねてから、業務として共済会経理をまともにやりたいと希望し、彼らも「よろしくお願いします」と同意していました。裁判後、復職してからも当然、希望していますが、彼らからは全く返事がありません。きずな労組と共済会の不正経理がこれだけ明らかにされ問題化し、彼ら自らも認めているわけですから、私に経理の仕事を与え、速やかに疑問解明のために踏み出すことを求めてやみません。
こんなものを根拠に、賃金月5万円程度の労働者を整理解雇しようとしていたと思うと本当に腹が立ちます。それでも労組か、と言いたい。
理想さえあれば、何をしててもいいのかねえ。
多少の争議を解決したとしても、それをアリバイにして、みんなで「ごっこ遊び」をしているだけでしょう。しかも、それだって労組の看板を背負って数人が交渉するだけ。
会員は執行部にまかせっきりで、何が起ろうとも波風立てず、いざというときは自分だけは助けてもらおうという保険のつもり。たまに党の掛け声に乗って、政治とやらのイベントに顔を出す。
そうしてみんなが形ばかりの労組運営に慣れてしまっている。
労働者戦線にとって、本当は労組とは何なのか?
考え直す良い機会でしょう。
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